株式投資で安定的なインカム収入を重視するなら高配当株を保有したいところ。ただし、配当利回りがあまりにも高い銘柄は注意した方がいいかもしれません。YouTubeチャンネル「【投資家】ぽんちよ」(2022年10月24日現在登録者数35.3万人)を運営し、「投資家ぽんちよのブログ」も大人気の投資YouTuberぽんちよさんに高配当銘柄を見つける際の注意点について教えてもらいます。
- 個人投資家に人気の高配当株投資。ただし配当利回りが高すぎる銘柄には注意が必要
- 好業績は一時的なもので近い将来の減配を見越し株価が低い可能性がある
- 投資情報サイトでは最新のデータが反映されずに配当利回りが異常値になることも
高配当株の宝庫? 配当利回りランキングの落とし穴
どうもこんにちは、投資系YouTubeチャンネル「【投資家ぽんちよ】」や「投資家ぽんちよのブログ」を運営しているぽんちよです!
不労所得が欲しいと思った時に購入する高配当株。特に配当利回りが高ければ高いほど、投資額に対して多くの配当金を貰うことができます。ただ注意しなければいけないのは、利回りが10%台等、明らかに高すぎる銘柄です。そもそも日経平均の配当利回りが2.2%程度という中で、なぜこのような高利回りの銘柄が存在するのでしょうか?
利回りが高いけど配当金の持続可能性がない……?
現在、日本株の利回りランキングは、日本郵船・商船三井・乾汽船などの海運系の銘柄が上位を占めています。この理由は、これら海運系の銘柄がコロナショック以降急激に業績を向上させ、大幅な増配をしてきたのに対し、増配率に比べ株価はあまり上昇していないからです。
そもそも海運系の銘柄の業績が上がっている理由として、コロナ以降急激に物流需要が復活して、運賃が一時的に急上昇しているからです。ただ、この運賃上昇というのは今後もずっと続くわけではなく、そのうち収束することが予想されています。このため、「たとえ今業績が良くても、運賃価格が正常化すれば配当金は下がる」と警戒され、配当を目当てとして株の買い手が少ないのです。
また、業績不振により減配が明確に予想される場合には、減配発表のまえに株価が下降します。このため、一時的に配当利回りが「減配発表前の配当金÷減配を見越し下落した株価」で計算されるため、配当利回りが上昇している可能性もあります。
最新のIR・決算資料が反映されていないがゆえに……
上場企業は、その経営状態に応じて、配当予想の修正を行います。そして、減配発表が行われると、期待していた配当金を手に入れることが困難と判断した投資家が株を売却し、株価は下落します。
しかし投資情報サイトによっては直近の減配発表が反映されておらず、「減配発表前の予想配当金÷減配発表後の下落した株価」で計算されることがあり、その結果、異常な配当利回りが表示されることになるのです。
また、「株式分割の情報が反映されずに配当利回りが急上昇する」という例も考えられます。企業によっては、株式分割によって発行済み株式の総数を増やすことで、1株あたりの単価を下げ、株式の流動性を高める場合があります。
例えば、任天堂は2022年10月1日付では1株につき10株に株式分割を行いました。これにより10月以前は株価が1株あたり60000円ほど、100株購入するには600万円必要でしたが、株式分割により100株60万円で購入できるようになりました。
では株式分割がなぜ投資情報サイトなどで異常な配当利回り生み出す原因になるのでしょうか? この理由として、投資情報サイトによっては、株式分割前に発表されていた配当金のデータを、株式分割後の株価で計算してしまう場合があるからです。
例えば、任天堂の場合だと、株式分割前の株価は約6万円、1株あたりの配当金は2030円(2022年3月期)であり、配当利回りは3.38%です。一方、1株→10株への株式分割後だと、株価は約6000円で、1株あたりの配当金は203円となります。ただこの株式分割後の1株あたりの配当金の情報が反映されていない場合、「株式分割前の1株あたりの配当金2030円÷株式分割後の株価6000円」で計算され、配当利回りが33.8%と異常な値になってしまいます。
高配当株が欲しい場合に利回りランキングを見て銘柄を探すのは一つの有効な手段です。ただ利回りランキング上位の銘柄の中には、配当の継続性が不安視されていたり、最新の企業情報が反映されずに利回り計算が間違って表示されていたりする銘柄もあるので、注意が必要です。