2000年以降のインターネットの普及や、最近では新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、多くの人がネット通販で買い物をするようになりました。ネット通販の成長は物流の需要を生み、拡大する需要に応えるために物流業界では技術革新が進んでいます。そこで今回は、物流全体の現状と、物流業界に投資する方法について解説します。

  • インターネット通販の成長で物流のニーズが高まり、コロナ禍も需要を後押し
  • 物流業界では人手不足などの課題を解決すべく、自動化などの技術革新が進んでいる
  • 今後も成長が期待される物流業界に、ETFやJ-REITで投資する

通販市場は拡大中。高まる物流のニーズ

21世紀に入ってからのインターネットの爆発的な普及により、「モノの買い方」が大きく変わりました。実店舗だけでなく、インターネット通販で購入することが日常になっています。日本通信販売協会の調査によると、日本の通信販売の売上高は23年連続で増加しており、特にコロナ禍においては、外出自粛などの制限もあって、生活必需品をネットスーパーなどの通販で購入する需要も大きく伸びました。

ネット通販
コロナ禍の「巣ごもり需要」で、インターネットの通信販売の需要はさらに伸びた

インターネット通販の業界では支配的な企業も出てきています。アメリカではAmazon、日本では楽天が巨大な経済圏を作り、顧客を囲い込んでいる状況です。もちろん、インターネット通販を手がけるのは大企業だけではありません。中小規模の小売店も、通信販売などのEC(電子商取引)市場で販売を増やさなければ生き延びていくことが難しい時代になっています。

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技術革新が進む物流業界

EC業界が急激な拡大を遂げたことで、物流の需要が急激に高まっています。例えば宅配業者では、トラックの運転手をはじめとして人手不足が常態化している状況です。拡大を続ける物流の需要に応えるために、物流業界では人手不足を解決するために、さまざまな技術革新が進んでいます。

物流の技術革新の例としては、倉庫を自動管理するシステムや搬送ロボット、配車のシステム化などが挙げられるでしょう。このような分野においては、スタートアップ企業の活躍も目覚ましく、短期的に急成長を遂げる企業もあります。

物流ロボット
無人のロボットが荷物を運ぶ物流倉庫。ハイテク化が進む物流業界

需要拡大と技術革新の相乗効果により、物流業界は今後も成長を続けることが期待されます。投資対象としても魅力的な業界だといえるでしょう。

物流業界に投資できるファンド

物流業界に投資をする際には、物流関連の企業の株式に直接投資をするのが一般的です。しかし、すべての物流企業が必ず成長するとは限らず、銘柄選びは難しいものです。物流関連の複数企業に分散投資をしたいと思っても、十分な資金が足りないケースもあるでしょう。

そのような場合には、投資信託の仕組みを使って投資することをおすすめします。投資信託を活用すれば、複数の物流関連企業に少額で投資することが可能です。

しかし、通常の投資信託には今のところ物流をテーマにしているものはないため、ETFやREITに投資をすることになります。ここからは、物流業界を投資対象とするETFとREITの具体的な銘柄を紹介します。

物流業界に投資できるETF

NEXT FUNDS 運輸・物流(TOPIX-17)上場投信

NEXT FUNDS 運輸・物流(TOPIX-17)上場投信』は、TOPIXの業種別株価指数への連動を目指すETFのひとつです。業種別ETFは、対象となる業種の株式に連動する値動きをします。同ETFは運輸・物流業を対象としていますが、どちらかというと物流より、旅客などの運輸業が多く組み込まれているようです。2022年11月末時点の上位組み入れ銘柄にはJR各社や大手私鉄、航空会社が含まれています。物流業では日本郵船、商船三井が上位10銘柄に入っています。

2022年12月時点の価格はコロナ前を下回っています。物流銘柄の上昇を、運輸銘柄の下落の影響が上回ったようです。コロナ禍が終われば旅客の需要も回復するため、今後に期待したいところです。

銘柄コード:1628
上場日:2008年3月25日
基準価額:165,145円(10口当たり)
決算日:毎年7月15日
直近の分配金:3,740円
過去1年騰落率:22.6%
過去3年騰落率:-0.7%
信託報酬:年0.352%以内(税込み)
運用会社:野村アセットマネジメント

※2022年11月30日時点。騰落率は分配金を非課税で再投資したものとして計算

物流業界に投資できるJ-REIT

J-REITは、主に日本国内の不動産に投資をする金融商品です。J-REITは住宅やオフィスビル、ホテル、商業施設などさまざまな不動産に投資をして、その賃料収入などが投資家に分配される仕組みです。

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ここでは、倉庫や物流施設に特化したREITを3つ紹介します。

日本ロジスティクスファンド投資法人

日本ロジスティクスファンド投資法人』は、2005年に上場した最も歴史のある物流施設特化型のREITです。リーマン・ショックや東日本大震災などさまざまな危機を乗り越え、投資家に安定した分配をしており、実績も申し分ないでしょう。

希少価値の高い都心へのアクセスが良好なエリアへの投資に優れており、先行して立ち上げられたREITの強みを活かして運用されています。投資口価格はコロナ前より高くなっています。

銘柄コード:8967
上場日:2005年5月9日
投資口価格:314,000円
決算月:1月・7月
直近の分配金:4,955円
予想分配金利回り:3.3%

※2022年12月27日時点

GLP投資法人

GLP投資法人』は、物流不動産を運営する日本GLPの持つ不動産に投資をする投資法人です。物流不動産のプロフェッショナル企業として、関東圏や関西圏だけでなく、中国地方や東北地方にも投資をしています。

先進的な物流機能を持つ大規模な倉庫などへの投資を得意としているのが特徴です。投資口価格は、2022年に入って下落基調となっています。

銘柄コード:3281
上場日:2012年12月21日
投資口価格:150,600円
決算月:2月・8月
直近の分配金:3,051円
予想分配金利回り:3.6%

※2022年12月27日時点

日本プロロジスリート投資法人

日本プロロジスリート投資法人』は、米国の物流不動産開発会社プロロジス・グループのサポートを受けて、日本の物流不動産に投資をするREITです。関東エリアを中心に5,000坪以上の大型の物流施設にも投資しています。

こちらも投資口価格は2022年1月頃をピークに、やや下落しています。

銘柄コード:3283
上場日:2013年2月14日
投資口価格:310,500円
決算月:5月・11月
直近の分配金:4,906円
予想分配金利回り:3.2%

※2022年12月27日時点

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