2014年にスタートしたNISAが、2024年から新しくなります。今回は新NISAの概要とともに、その活用法について考えていきます。
- コアの部分が「つみたて投資枠」、サテライトの部分が「成長投資枠」に当たる
- コアの「つみたて投資枠」はバランス型や世界株ファンドを選択
- サテライトの「成長投資枠」ではある程度の期間で銘柄を入れ替えていく運用を検討
新しいNISAの概要
新しいNISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が設定されます。
1. つみたて投資枠の概要
「つみたて投資枠」は非課税保有期間を無期限化(現行のつみたてNISAは20年)し、口座開設期間も恒久化(現行は2023年まで)します。年間投資枠は120万円(現行は40万円)と3倍に増えます。また、非課税限度額は生涯投資枠という名称に変わり「成長投資枠」と合算して1800万円が上限(現行のつみたてNISAは800万円)です。
投資対象商品はつみたてNISAと同様に積立・分散投資に適した一定の投資信託になります。
つみたてNISA | つみたて投資枠 | |
---|---|---|
非課税保有期間 | 20年 | 無期限 |
口座開設期間 | 2023年まで | 恒久化 |
年間投資枠 | 40万円 | 120万円 |
非課税限度額 | 800万円 (40万円×20年) |
1800万円 (成長投資枠と合算で) |
投資対象商品 | 積立・分散投資に適した一定の投資信託 |
2. 成長投資枠の概要
「成長投資枠」も非課税保有期間を無期限化(現行の一般NISAは5年)し、口座開設期間も恒久化(現行の一般NISAは2023年まで)します。年間投資枠は240万円(現行に一般NISAは120万円)と2倍に増えます。
非課税限度額は生涯投資枠という名称に変わり「成長投資枠」は上限1200万円(現行の一般NISAは600万円)です。ただし、上限1200万円はつみたて投資枠と合算した1800万円の内数になります。
投資対象商品は一般NISA(上場株式・ETF・投資信託・REIT)より制限され、投資信託では信託期間20年未満、高レバレッジ型および毎月分配型は投資対象から除外されます。個別株では整理・管理銘柄へ投資が不可となります。
一般NISA | 成長投資枠 | |
---|---|---|
非課税保有期間 | 5年 | 無期限 |
口座開設期間 | 2023年まで | 恒久化 |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税限度額 | 600万円 (120万円×5年) |
1200万円 (生涯投資枠1800万円の内数) |
投資対象商品 | 上場株式・ETF・投資信託・REIT | 一般NISAの投資対象商品から、整理・管理銘柄と信託期間20年未満の投資信託や高レバレッジ型、毎月分配型のファンドを除外 |
また、現行のNISA(一般・つみたて)では、投資枠の再利用は不可でしたが、新しいNISAでは再利用が可能になります。以上が新しいNISAの概要です。
では次に新しいNISAの活用方法としてコア&サテライト運用について考えていきます。
コア&サテライト運用とは
コア&サテライト運用とは、守りの運用と攻めの運用を組み合わせた運用方法です。守りの部分のコアは比較的安定した運用を目指し、攻めの部分のサテライトはリスクを取って高いリターンを目指した運用を行います。
新しいNISAに当てはめますと、コアの部分が「つみたて投資枠」、サテライトの部分が「成長投資枠」と考えていいでしょう。
以下では、生涯投資枠の利用方法をシミュレーションしながらコア&サテライト運用について考えていきます。
生涯投資枠の利用方法をシミュレーション
生涯投資枠は、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて1800万円になります。例えば、20歳~70歳まで50年間、毎月2万円をつみたて投資枠に投資すると元本は、2万円×600か月(50年×12か月)で1200万円になります。同じ期間毎月3万円投資しますと1800万円です。1800万円は一見すると多額に思われますが、非課税期間が無期限化したことにより月々積立額が少額の場合でも「つみたて投資枠」で使い切ることも可能です。
コアの部分になる「つみたて投資枠」は、超長期の運用になるため安定した運用が期待できるバランス型や世界(先進国・新興国)の株に投資するファンドを選択するのがいいでしょう。
下表は毎月積立金と積立期間に応じてどれだけ投資できるかを示した表になります。下記の金額と1800万円の差額が「成長投資枠」に投資できる元本です。また、「成長投資枠」でも「つみたて投資枠」同様に毎月積立はできます。
毎月積立額 | 50年 | 40年 | 30年 | 20年 |
---|---|---|---|---|
2万円 | 1200万円 | 960万円 | 720万円 | 480万円 |
3万円 | 1800万円 | 1440万円 | 1080万円 | 720万円 | 4万円 | - | - | 1440万円 | 960万円 |
5万円 | - | - | 1800万円 | 1200万円 |
仮に毎月積立が2万円で50年間「つみたて投資枠」を利用したケースでは、600万円(1800万円-1200万円)を「成長投資枠」で利用できます。サテライト運用(リスクを取って高いリターンを目指す)から考えると、成長が期待される個別株などが投資対象になります。
期待通り株価が上昇し含み益がでたところで利益確定しても、元本(簿価)の部分は翌年新たに投資枠が設定され、他の個別株や投資信託を購入資金に充てることができます。
また、元本部分は再利用が可能なため、現行NISAに比べ自身の損切りルール(購入価額から10%値下がったら売却するなど損失を抑えるルール)を実行しやすくなるでしょう。「成長投資枠」ではある程度の期間で銘柄を入れ替えていく運用を検討してみましょう。
以上、新しいNISAの概要と活用法のひとつとしてコア&サテライトでの運用について考えてきました。