分散投資の3つの方法「銘柄分散」「地域分散」「時間分散」は、いずれも投資信託を活用して行うのが一般的です。今回は「地域分散」に着目して、3つのインデックス型ファンドの投資対象地域や構成銘柄などを比較しながら、投資信託を使った地域分散について考えていきます。

  • 地域分散の効果を米国株式・先進国株式・全世界株式のインデックスファンドで比較
  • いずれも米国株の比率が高いが、地域分散をすると米国株式の影響を低くできる
  • ただし直近3年の騰落率は、地域分散をしたファンドより米国株式の方が高くなった

3つのインデックス型ファンドを比較

分散投資の方法は、「銘柄分散」「地域分散」「時間分散」の主に3つになります。

「銘柄分散」は、株式で複数の個別銘柄(会社)に投資することでも実行することはできますが、投資信託を活用することが一般的です。
先進諸国、全世界などに分散投資をする「地域分散」は、個人が個別銘柄に投資して行うことが難しいため、投資信託が利用されます。
「時間分散」は、証券会社など金融機関が提供している定額定期買付ができる積立投資のサービスを利用します。

水への投資 世界的に不可欠な資源への投資機会 BNPパリバ・アセットマネジメント

今回は「地域分散」について、インデックス型ファンドの『eMAXIS』シリーズ(三菱UFJアセットマネジメント)を参考に、米国株の代表的な株価指数「S&P500インデックス」から、分散範囲を「MSCIコクサイインデックス」(日本を除く先進国の株を対象にした指数)、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」(全世界の株式を対象にした指数)に拡げ、それぞれの国別の投資比率や上位銘柄を比較しながら地域分散について見ていきます。

【地域分散なし】米国S&P500インデックスに連動する『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』

S&P500インデックスは、ニューヨーク証券取引所などに上場している、米国を代表する企業約500銘柄の時価総額を加重平均し算出した指数(インデックス)です。

「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(以下:米国株式(S&P500))の組み入れ上位10銘柄だけを見てみますと(2023年7月末時点。以下同じ)、上位8位までは、時価総額が巨大な大手IT企業が占めています。9位の「BERKSHIRE HATHAWAY INC-CL B」は、米国の著名な投資家であるウォーレン・バフェットが経営している企業です。

S&P500インデックスはアメリカの株式を対象にしている指数なので、国・地域の比率はアメリカ100%です。
この時点(2023年7月31日時点)の組入銘柄数は503銘柄です。

【図表1】『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の組み入れ上位銘柄(2023年7月末時点)
順位 銘柄 国・地域 比率
1 APPLE INC アメリカ 7.3%
2 MICROSOFT CORP アメリカ 6.3%
3 AMAZON.COM INC アメリカ 3.0%
4 NVIDIA CORP アメリカ 2.9%
5 ALPHABET INC-CL A アメリカ 2.0%
6 META PLATFORMS INC-CLASS A アメリカ 1.8%
7 TESLA INC アメリカ 1.8%
8 ALPHABET INC-CL C アメリカ 1.7%
9 BERKSHIRE HATHAWAY INC-CL B アメリカ 1.6%
10 UNITEDHEALTH GROUP INC アメリカ 1.2%

出所:『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の月報(2023年7月)

【先進国で地域分散】MSCIコクサイインデックスに連動する『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』

MSCIコクサイインデックスは、日本を除く先進国22か国の株式約1300銘柄で構成された指数です。

この指数に連動する『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』(以下:先進国株式インデックス)の組み入れ上位銘柄を見ますと、米国株式(S&P500)とほとんど変わらないものの、米国株式(S&P500)では9位に組み入れられていた「BERKSHIRE HATHAWAY INC-CL B」が上位10銘柄から外れ、「UNITEDHEALTH GROUP INC」が9位順位を上げ、10位に「JPMORGAN CHASE&CO」が10位に入っているのが異なる点です。

【図表2】『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』の組み入れ上位銘柄(2023年7月末時点)
順位 銘柄 国・地域 比率
1 APPLE INC アメリカ 5.4%
2 MICROSOFT CORP アメリカ 4.2%
3 AMAZON.COM INC アメリカ 2.1%
4 NVIDIA CORP アメリカ 2.0%
5 ALPHABET INC-CL A アメリカ 1.4%
6 META PLATFORMS INC-CLASS A アメリカ 1.3%
7 TESLA INC アメリカ 1.3%
8 ALPHABET INC-CL C アメリカ 1.2%
9 UNITEDHEALTH GROUP INC アメリカ 0.8%
10 JPMORGAN CHASE&CO アメリカ 0.8%

出所:『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』の月報(2023年7月)

また、組入銘柄数は1275銘柄と米国株式(S&P500)に比べ約2.5倍になっていますので、ファンド全体から見た組み入れ上位10銘柄投資比率は、米国株式(S&P500)に比べ低くなります。

国・地域の投資比率は下表の通りで、アメリカが71.3%、他の先進国(日本を除く)が28.7%に地域分散がされています。主な投資先は北米と欧州です。

【図表3】『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』の国・地域別比率(2023年7月末時点)
順位 国・地域 比率
1 アメリカ 71.3%
2 イギリス 4.1%
3 フランス 3.4%
4 カナダ 3.3%
5 スイス 2.8%
6 ドイツ 2.4%
7 オーストラリア 2.1%
8 オランダ 1.3%
9 スウェーデン 0.9%
10 デンマーク 0.8%

出所:『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』の月報(2023年7月)

【新興国を含めた地域分散】MSCI―オールカントリー・ワールド・インデックスに連動した『eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)』

MSCI―オールカントリー・ワールド・インデックスは、先進国23か国(日本を含む)と新興国24か国の株式約2900銘柄で構成された指数です。

この指数に連動する『eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)』(以下:全世界株式(オールカントリー))は、上位10位銘柄を見ますと、銘柄順位は上記の「先進国株式インデックス」と変わりませんが、組み入れ比率は「先進国株式インデックス」に比べそれぞれ低下しています。また、組入銘柄数は2837銘柄と米国株式(S&P500)502銘柄の6倍弱、先進国株式インデックス1275銘柄の約2.2倍です。

【図表4】『eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)』の組み入れ上位銘柄(2023年7月末時点)
順位 銘柄 国・地域 比率
1 APPLE INC アメリカ 4.5%
2 MICROSOFT CORP アメリカ 3.5%
3 AMAZON.COM INC アメリカ 1.8%
4 NVIDIA CORP アメリカ 1.7%
5 ALPHABET INC-CL A アメリカ 1.2%
6 META PLATFORMS INC-CLASS A アメリカ 1.1%
7 TESLA INC アメリカ 1.1%
8 ALPHABET INC-CL C アメリカ 1.0%
9 UNITEDHEALTH GROUP INC アメリカ 0.7%
10 JPMORGAN CHASE&CO アメリカ 0.7%

出所:『eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)』の月報(2023年7月)

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスは、MSCIコクサイと異なり日本も対象になっています。日本の比率は5.5%です。また、新興国株式を約10%組み入れています。そのため、アメリカの比率は59.7%に低下しています。

【図表5】『eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)』の国・地域別比率(2023年7月末時点)
順位 国・地域 比率
1 アメリカ 59.7%
2 日本 5.5%
3 イギリス 3.5%
4 フランス 2.9%
5 カナダ 2.7%
6 スイス 2.4%
7 ドイツ 2.0%
8 ケイマン諸島 1.8%
9 オーストラリア 1.7%
10 台湾 1.5%

出所:『eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)』の月報(2023年7月)

まとめ

上記の3つのインデックスから、地域分散の効果として考えられるのは、銘柄では組み入れ上位10銘柄の投資比率が下がることで、米国の巨大IT企業の株価変動の影響を軽減できる点があります。

地域では、米国の影響を先進国株式インデックスで約7割、全世界株式(オールカントリー)で約6割に軽減できる点です。

一方で、それぞれのファンドの月次レポート(2023年7月末時点)で3年間騰落率を比較しますと、地域分散がされていない米国株式(S&P500)が97.7%に対し、地域分散をしている先進国株式インデックスが89.9%、全世界株式(オール・カントリー)が81.3%になっています。そのため、どこまで地域分散するのがいいのか、悩ましい点があります。

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