コロナショックによって株式市場は大きな調整局面を迎えたものの、足元は持ち直しつつあります。逆境に負けない実力派投信を取り上げる本シリーズ。今回は『フィデリティ・世界割安成長株投信(愛称:テンバガー・ハンター)』を紹介します。

参考ファンドは約30年の運用で約43倍のリターン!

「テンバガー」という言葉をご存知でしょうか?株価が10倍になると期待される銘柄のことをそう呼ぶらしく、使い始めたのはなんとあの伝説の投資家ピーター・リンチさんだそうです。

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ご存じない方のために簡単に説明すると、この方は米国を代表する投資信託の運用会社であるフィデリティ・インベストメンツの運用担当者で、彼が1977年から13年間運用を担当した『マゼラン・ファンド』は、長く低迷する米国株式市場をよそに、年率約30%の上昇という驚異的な運用成績を残したことで知られています。
自分が投資した銘柄の株価が10倍になるなんて、投資家なら誰でも一度は経験してみたいものですよね。でも株式投資はそんなに甘くありません。「お金預けるからピーター・リンチさん、運用してください」と言いたいところですが、そうもいきません。

そんなテンバガーにあこがれる投資家に朗報です!

コロナ禍で世界中の株式市場が大きな調整局面を迎える2020年3月、広く世界でテンバガー銘柄を発掘し、投資することを目指すファンドが設定されました。フィデリティ投信が運用する『フィデリティ・世界割安成長株投信(愛称:テンバガー・ハンター)』(以下、『テンバガー・ハンター』)です。

運用を担当するのは、同社のジョエル・ティリングハストさん。何とこの方、ピーター・リンチさんの愛弟子だそうで、師匠いわく「歴史を通じて最も偉大かつ成功したストックピッカーの一人である』とのこと。

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ジョエル・ティリングハスト氏の写真
出所:フィデリティ投信ホームページより

それもそのはず、ティリングハスト氏が運用する『フィデリティ・ロープライス・ストックファンド』は、約30年の運用で、約43倍という驚異的なリターン実績を誇るファンドなのです。

2003年に「ワークマン」を発掘・投資していた!

実際にこのファンドが発掘したテンバガーの一例が下記です。なんと日本のワークマンも含まれています。

『フィデリティ・ロープライス・ストックファンド』が世界で発掘したテンバガー世界で発掘したテンバガー
出所:フィデリティ投信ホームページより

ここ数年、ワークマンは一般顧客向けのアウトドアウェアの拡充や、新業態店のWORKMAN Plusの展開などで株価が高騰しました。そのワークマンに同ファンドは2003年から投資していたというから驚きです。当時はまだ演歌歌手の吉幾三さんがCMのキャラクターを務めていた時代。その時から将来の成長性を見出していたとすれば、銘柄選択の能力はずば抜けていると思います。

フィデリティの考えるテンバガーを見極める条件は、「成長」と「割安」がキーワードになります。まず成長の原動力になるのは、市場の予想を上回る需要の拡大や競争力です。こうした成長のポテンシャルを保有しているにもかかわらず、市場がそれを適正に評価していなかったり、悪材料の影響を過大に織り込んでいたりすることで、株価が割安に放置されている企業こそ、テンバガーになり得る銘柄というわけです。

そして同社独自のグローバルな調査網と徹底的な企業調査によって、成長力が高いにもかかわらず割安に放置されたテンバガーを発掘することで、先の『フィデリティ・ロープライス・ストックファンド』は、約30年の運用で、約43倍のリターンを上げたのです。

同ファンドは厳密には、今回日本で設定された『テンバガー・ハンター』とは異なりますが、同様の運用担当者、投資哲学、運用戦略に基づくということなので、十分参考になるでしょう。

『テンバガー・ハンター』のこれまでのパフォーマンスは下記の通り。嵐の中での船出でしたが、順調に推移しているようです。

『テンバガー・ハンター Aコース(為替ヘッジあり)』の基準価額の推移J-テンバガー・ハンター Aコース(為替ヘッジあり)の基準価額の推移)

『テンバガー・ハンター Bコース(為替ヘッジなし)』の基準価額の推移J-テンバガー・ハンター Bコース(為替ヘッジなし)の基準価額の推移)

でも本格的な回復局面はこれからでしょうし、「コロナ後」の世界の成長銘柄はこれまでと異なるかもしれません。その時に、このファンドの組入銘柄名の中からテンバガーがいくつ誕生するのか非常に楽しみです(残念ながら、フィデリティのホームページを確認しても、『テンバガー・ハンター』の組入銘柄は現状、公表されていないようです)。

世界にはまだまだ個人が知らない、大きな成長余力を秘めた企業がたくさんあるはず。そうした銘柄を厳選して投資してくれるのがアクティブファンドのいいところです。その意味で、『テンバガー・ハンター』は、アクティブファンドの王道を行くファンドといっていいでしょう。

こうしたファンドがフィデリティから登場したというのも、個人的にはうれしいポイントです。ハイ・イールド債券やREITファンドもいいと思いますが、やっぱりフィデリティは株式ファンドです! しかも『テンバガー・ハンター』を名乗れるのは、数ある運用会社の中でもフィデリティだけでしょう。大いに期待しています!