投資商品の収益の源泉は、キャピタルゲイン(値上り益)とインカムゲイン(利子・配当など)の2つがあります。ただし、キャピタルゲインは、購入時の価格より値下がるとキャピタルロス(値下がり損)が発生します。インカムゲインは、会社の業績悪化などにより無配になることはありますが、マイナスになることはありません。そのため、キャピタルゲインに比べ安定した収益を見込むことができます。
この記事では、投資商品の中から債券、株式、REIT(リート=不動産投資信託)について、それぞれのインカムゲインの特徴について見ていきます。

  • 債券の利子は、発行体の財務状況が悪化しなければ定期的に一定額を受け取れる
  • 株式の配当は企業業績などに左右されるほか、配当性向によっても金額が変動する
  • REITの分配金は主な原資が賃料収入のため、安定したインカムゲインが期待できる

債券の利子とは

債券は、国や地方公共団体、企業が直接、投資家から資金(お金)を調達(借り入れ)するための借用書のようなものです。債券の利子は、借りたお金のレンタル料に該当します。

多くの債券は、発行から満期まで利率が変わらない固定金利で発行され、定期的に利子を支払い、満期に元本を額面金額で返済するという投資商品です。

利子は「利率×額面金額」で計算されますので、発行体(債券を発行した国や企業)の財務状況が悪化(財政破綻・倒産)しない限り、一定した利子を受け取ることができます*1

*1 変動金利型利付債、割引債を除く。

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株式の配当とは

株式の配当は、一般的に当期純利益の中から支払われます*2

配当金の金額は、通常*3取締役会で案を作り、株主総会で承認を得た後に、保有株数に応じて株主に配当金を支払います。株式の配当金は債券のように発行時点で決められている利率(固定金利の場合)を基に金額が決まるのではなく、その企業の業績などに左右されます。
それ以外に、当期純利益の何%を配当に回すか(配当性向)によっても配当金額は変動します。

*2 過去の利益剰余金や資本剰余金からの支払いも可能。
*3 会社法の改正に伴い一定の条件をみたし、定款で定めれば取締役会の議決でも可能。

例えば、従来は配当性向が30%の会社が、配当性向を50%に引き上げた場合、1株当たりの純利益が100円のケースでは、1株当たりの配当金は30円(100円×30%)から50円(100円×50%)と20円増えます。逆に配当性向を10%に引き下げると、1株純利益は同じでも配当金は10円に減ってしまいます。

【図表1】株式の配当性向と配当金の関係
株式の配当性向と配当金の関係

また、企業の業績が良く1株利益が100円から120円に増えた場合には、同じ配当性向30%でも1株当たり配当金は、30円(100円×30%)から36円(120円×30%)と6円多くなります。

【図表2】株式の1株利益と配当金の関係
株式の1株利益と配当金の関係

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REIT(リート)の分配金とは

REIT(リート=不動産投資信託)は、多くの投資家から集めた資金と金融機関からの借り入れを元手に不動産(マンション、オフィスビル、商業施設、倉庫など)を購入し、管理運営することで得られる賃料収入や、保有している不動産の売却益を原資として分配金を定期的に支払う投資商品です。

分配金の主な原資は賃料収入になるので、株式の配当に比べると安定したインカムゲインが期待できます。また、J-REIT(日本のREIT)は利益の90%以上を分配金に回すことで法人税がほぼ免除されるREIT税制があり、それにより高い利回りを期待することもできます。

ただし、保有している物件の空室率の上昇や、火災や地震などで物件が使用できなくなるケース、金利上昇に伴い金融機関へ借り換え時の利払い負担が増えることなどにより分配金が減るリスクや、REIT価格が下落するリスクがあります。

金利上昇とインフレがREITに与える影響は?

まとめ

借りたお金のレンタル料にあたる債券の利子と企業の収益を原資にする株式の配当金、主に不動産の賃料収入を原資とするREIT(リート)の分配金では、インカムゲインの原資が異なります。

それぞれのインカムゲインの原資を理解して、ご自身の投資スタイルやリスク許容度に合った投資商品を選ぶようにしましょう。