日本の物価上昇率は、総務省の2020年基準消費者物価指数の発表にあったように、直近1年間は前年同月比で2%を超えて推移し、日本もインフレのある世界になっています。そのため、金融資産の選択でもインフレ率を上回る利回りが期待できる商品に注目しておくことが必要です。
その中で今回は、現在5%前後の年利回りが期待できるJ-REIT(リート:不動産投資信託)への3つの投資方法(個別REIT、ETF、投資信託)について見ていきます。

  • 個別のJ-REITは価格にばらつきがある。多くは年2回分配金が支払われる
  • J-REITのETFは大半が指数に連動し、数千円程度の少額で投資が可能
  • J-REITの投資信託はアクティブ型が多く、定時定額の積立投資がしやすい

REITの仕組みと金利との関係についてはこちら

金利上昇とインフレがREITに与える影響は?

個別REITへの投資

現在(2025年3月5日現在。以下同じ)、東京証券取引所に上場されているJ-REITの銘柄数は57銘柄です。

J-REITの銘柄は、オフィスや住宅、商業施設など投資対象の業種を絞った「特化型」と、投資対象が複数の業種にまたがる「複合・統合型」に大きく分かれます。個別REITの購入単位は、100株単位の株式と異なり、全て1口単位です。

現在の投資口価格を確認しますと、5万円前後のものから30万円を超えるものまで銘柄によりバラツキがあります。
多くの銘柄が年2回決算を行い、その時の収益に応じて投資家に分配金を支払います。

個別REITの購入窓口は証券会社に限られます。また、個別REITは、NISAの成長投資枠での投資が可能です。

ETFを利用したJ-REITへの投資

現在、東京証券取引所に上場されているJ-REITを投資対象にしたETF(上場投資信託)の銘柄数は23銘柄です。そのうち22銘柄が、指数(インデックス)への連動を目指すインデックス型運用です。

トラリピインタビュー

連動するインデックスの多くが、上場REIT全銘柄を投資対象にした「東証REIT指数」または「東証REIT指数(配当込み)」です。
それ以外には、「東証REITオフィスフォーカス指数」「東証REIT物流フォーカス指数」「東証REIT住宅フォーカス指数」「東証RETホテル&リテールフォーカス指数」といった業種を絞ったインデックスに連動した運用を目指す銘柄や、上場銘柄の中から浮動株時価総額および売買代金を基準に30銘柄を選んだ「東証REIT Core指数」に連動するような運用を目指す銘柄などがあります。

ETFは、個別REITに比べ少額(数千円程度)からの投資が可能な点、ご自身が気になる業種に絞って投資ができる点などのメリットがあります。
また、個別REITの多くが年2回の決算頻度であるのに比べ、ETFでは年4回、6回の決算頻度のものが多く、分配金を受け取る回数を多くしたい人に向いています。

ETFも個別REITと同じように購入窓口は証券会社に限られ、NISAの成長投資枠での投資は可能です。
また、ETFの購入は口数単位(1口、10口、100口など)になるため、通常は定期定額の積立投資ができない点(*1)に注意しましょう。

*1:株式累積投資ができる証券会社では、定期定額積立投資が可能な場合もあり。

投資信託を利用したJ-REITへの投資

一般的な投資信託(株式投資信託)を利用したJ-REITへの投資では、上記のETFのように東証REIT指数などに連動した「インデックス型のファンド」と、インデックスを上回る運用を目指す「アクティブ型のファンド」があります。

アクティブ型ファンドの数はETFに比べて多く、指数を上回る運用を期待したい方は投資信託の利用を検討してみましょう。ただし、アクティブ型はインデックス型に比べ販売手数料や信託報酬が高めになるため、運用報告書や月次レポートで過去のパフォーマンスなどをよく確認してファンドを選ぶようにしましょう。

投資信託は、そのファンドを取り扱っている金融機関であれば証券会社以外でも購入可能です。
購入に際しては、口数指定、金額指定ともできますので定時定額の積立投資が可能です。また、金融機関によりますが定期定額の積立投資では、100円から投資することもできます。

決算頻度はファンドごとに異なり、1回、2回、4回、6回、12回など個別REITやETFに比べ選択の幅が広くなります。ただし、年12回(毎月)決算するファンドは、NISAの投資対象商品から外れるため、税制上のメリットを重視したい方は避けた方がいいでしょう。

最後に

購入窓口、購入方法、決算頻度など、個別REIT、ETF、投資信託の特徴について一覧表にまとめました。ご自身の投資スタイルに適した投資方法を選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。

個別REIT ETF 投資信託
購入窓口 証券会社 証券会社 証券会社・銀行など
購入方法 口数での購入
(1口単位)
口数での購入
銘柄により購入単位
(1口、10口、100口など)
が異なる
金額指定・
口数指定が可能
最小購入
金額の
目安
数万~数十万円
(銘柄により異なる)
数千円程度~ 金融機関によっては
100円からの
積立投資も可能
決算頻度 大半が年2回 4回または6回
(銘柄により異なる)
1回、2回、4回、6回、12回
(ファンドにより異なる)
NISAの
対応
成長投資枠で投資可能 成長投資枠で投資可能 成長投資枠で投資可能
(株式とのバランス型では、
つみたて投資枠での
投資可能なファンドもある)
*決算回数12回はNISAの対象外