現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第95回は、「GiGO」ブランドでアミューズメント施設を全国展開している、総合エンターテインメント企業のGENDA(9166)をご紹介します。

  • GENDAはクレーンゲーム中心のゲームセンターやカラオケ事業などを手がける
  • M&Aで業容を拡大。カナダの企業も買収し、日本のIPを生かした戦略を進める
  • 直近で株価は下落したが6月以降は値固め。事業の成長余地は大きく株価上昇に期待

GENDA(9166)はどんな会社?

GENDAは総合エンターテインメント企業で、2023年に東証グロース市場に上場しました。主な事業はアミューズメント施設の運営で、その他にもオンラインクレーンゲーム事業、カラオケ事業、キャラクター商品の企画・販売なども手がけています。

主力のアミューズメント施設運営では、全国で「GiGO」ブランドでクレーンゲーム中心のゲームセンターを展開しています。カラオケでは「カラオケBanBan」ブランドで事業展開しています。

アート投資を資産形成に!

同社はイオンファンタジーやイオンエンターテイメントの社長を歴任した片岡尚氏と、元ゴールドマン・サックス証券の申真衣氏が共同で、2018年に前身のミダスエンターテイメントとして設立しました。

社名の「GENDA」は、「Global Entertainment Network for Dreams and Aspiration」の頭文字を取ったものです。「世界中の人々の人生をより楽しくする」という熱望(Aspiration)をグローバルなエンターテイメントのネットワークで実現するという意味が込められています。

クレーンゲーム
昨今のアミューズメント施設ではクレーンゲームが稼ぎ頭となっている(写真はイメージです)

巧みなM&A戦略が成長ドライバー

GENDAの強みは、巧みなM&Aを軸とした非連続的な成長です。

同社は同業の複数企業を連続的に買収し、シナジー効果を高める「ロールアップM&A戦略」に長けています。内部には金融や法務、経営、M&Aに精通した人材を抱えています。資産査定や買収交渉の得意な人材も多くスピード感のあるM&Aを重ねて、業容の拡大を続けてきました。

2020年にはセガエンタテインメントを買収し、国内のアミューズメント施設運営ではトップクラスの規模になりました。

GENDA(9166)の業績や株価は?

GENDAの今期2026年1月期決算は売上高が前期比40%増の1570億円、営業利益が32%増の105億円と、ともに過去最高を見込んでいます。

予想は未確定のM&A案件を含んでいないため、M&A成立後は業績予想の上方修正が期待されます。4月には米国、カナダの老舗エンターテイメント企業のプレイヤーワン・アミューズメントグループのM&Aを発表しました。同社として過去最大の案件になります。北米など海外では日本のアニメ・キャラクターのグッズの人気も高く、日本のIP(知的財産権)を生かした事業戦略を進めるもようです。

GENDAは自社の役割を「オフラインのプラットフォーマー」と位置づけており、今後も名だたる日本アニメのIP景品を北米エリアでファンに拡散すると見込まれています。

同社はデジタルトランスフォーメーション(DX)に精通した人材も多く抱えています。店舗ではアプリによるスマート決済といったDX化も進めている最中です。キャッシュレス決済が可能になるだけでなく、来客データの精密な分析、顧客ごとの来店頻度に応じたクーポンの送信などのマーケティング能力も向上するとみられます。

【図表】GENDAの株価(2024年11月1日~2025年7月18日)
GENDAの株価(2024年11月1日~2025年7月18日)

7月18日の終値は924円で、投資単位は100株単位となり、最低投資金額は約9万円です。配当は現在実施していません。株主優待はゲームセンターやカラオケなど自社グループ店舗で使えるクーポン券です。権利確定月は1月と7月で、6カ月以上株式を保有している株主を対象としています。

東証グロース市場に2023年に上場してから、長期の株価チャートは右肩上がりに値上がりしていました。しかし24年11月の高値1570円からは調整局面となり、6月に775円まで下落しています。その後は株価に底入れ感も出てきたことから値固めを続け、直近では中期のトレンドである25日移動平均線を上回って推移しています。

予想PER(株価収益率)は34倍と、日経平均株価などの指数に比べると高水準に見えますが、高成長のグロース株としてはさほど割高感はありません。M&Aを含めた成長戦略で国内外で成長の余地はまだ多く、今後の株価上昇に期待したいと考えています。