現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第80回は、レンタルショップチェーン「ゲオ」を祖業として、最近では「セカンドストリート」を国内外に積極展開するなど、リユース事業に注力するゲオホールディングス(2681)をご紹介します。
- ゲオHDは「ゲオ」を祖業に、衣料やブランド品などのリユース事業を展開している
- 「セカンドストリート」を海外に積極展開。海外のリユース事業が成長戦略の柱
- 株価は調整が続いたが、リユースの需要と市場の拡大を追い風に株価の反騰に期待
ゲオホールディングス(2681)はどんな会社?
ゲオホールディングスはビデオ・DVDレンタルチェーン「ゲオ」を祖業に、中古の衣料・スマホ、ブランド品などのリユース事業を展開しています。リユース事業の中核は、ファッションアイテムを中心に総合リユースを手がける「セカンドストリート」です。このほか高級時計やラグジュアリーブランドをリユースする「OKURA」、中古スマホやタブレットの取り扱いに特化したゲオ併設店の「ゲオモバイル」、アパレルの余剰在庫の新品を販売する「ラックラック」などを運営しています。
同社は、1986年に創業者の遠藤結城氏が愛知県豊田市にビデオレンタルを開業し、事業を開始しました。1989年には社名を「ゲオミルダ」と変更し、ゲオの屋号が用いられました。「ゲオ」はラテン語で「大地」を表しており、大地にしっかりと根ざしたくさんの人に楽しみを提供したい、というメッセージが込められています。
ビデオレンタル業では先行する業界大手の「TSUTAYA」に対抗するため、店舗や内装などになるべくお金をかけて、値段で勝負するという戦略をとり業容を拡大していきました。その後は、ビデオレンタル業が動画配信に押され業界が縮小する中、店舗のスペースを活用したリユース事業へのシフトを進めていきました。
拡大するリユース市場で強固なポジション
同社の強みはリユース事業での国内シェアと店舗網です。「セカンドストリート」は全国で850店舗以上を実店舗展開し、海外への進出も進めています。グループ全体では2100超の店舗となり、国内のリユース企業としては規模はトップです。ECサイトも運営していますが、郊外型の店舗展開から首都圏、駅前立地への出店も進めており、地域に合わせた経営戦略や対面の利点を生かした買い取り、販売を強みとしています。
業界メディアの「リユース経済新聞」によりますと、2023年とリユース市場の規模は前年比7.8%増の3兆1227億円と、14年連続で拡大したと予想されています。
物価上昇に対する消費者の生活防衛意識の高まりやインバウンド(訪日外国人観光)需要が、リユース市場を底上げしています。内訳としては、インバウンド需要で「ブランド品」が伸びたほか、「衣料・服飾品」、トレーディングカードなどの「玩具・模型」も伸びています。
さらに、海外のリユース事業を成長戦略の柱の1つとして定義しています。10月には台湾で「セカンドストリート」の店舗をオープンし、海外で100店舗目を出店しました。米国では2028年3月末までに100店舗、台湾でも2030年3月末までに100店舗の展開を目指しています。同社によると、リユースの世界市場はさまざまな世代からの支持を高めていることを背景に、2022年の1430億ドルから2034年には8400億ドルを超えるマーケット規模に拡大すると見られています。
ゲオホールディングス(2681)の業績や株価は?
ゲオホールディングスの今期2025年3月期決算は、売上高が前期比0.5%増の4360億円、営業利益が29%減の120億円を見込んでいます。
国内外でのリユース需要増や積極的な出店により売上高は過去最高となった前期をわずかに上回る計画です。一方、利益面では賃上げの影響、電気代、物流・資材価格高騰によるコスト増で減益を見込んでいます。
12月6日の終値は1653円で、投資単位は100株単位となり、最低投資金額は約17万円、予想配当利回りは2.1%です。
株価は2023年9月の高値2735円からは下落基調が続き、2024年8月には1271円と半値以下まで株価調整が続きました。ただ足元では底値固めが続いており、株価は中期のトレンドである13週と26週の移動平均線をそれぞれ上回ってきており、上昇への兆しが出ています。SDGsのトレンドにより、今後リユース市場はさらに国内外で規模が拡大すると期待されており、株価もさらなる反騰に期待したいところです。