子どもの誕生は、大きなライフイベントのひとつ。一大イベントなだけあり、まとまったお金が必要になるものです。費用負担を軽減するために、公的制度でもらえるお金をしっかり把握しておくと安心でしょう。今回は、出産・育児で活用したい制度とその概要について取り上げます。

  • 出産や育児に関連して受け取れる手当は複数ある
  • 最大42万円受け取れる出産育児一時金、児童手当金は中学生まで
  • 自治体独自の制度もあるのでチェックしておこう

出産・育児で活用したい5つの制度とその概要

出産や育児に関連して受け取れる手当には、いくつかの種類があります。また、加入をしている健康保険の種類によっては、受け取れるもの・受け取れないものがあります。

【図表】出産・育児で活用したい5つの制度と概要
  健康保険(協会けんぽなど)、
雇用保険
共済組合 国民健康保険
妊婦健診費用助成 自治体によってはあり
出産育児一時金
(出産費・家族出産費)
42万円または40万4,000円
出産手当金 支給開始日以前の12カ月間の
標準報酬月額を平均した額の3分の2相当
×
育児休業給付金 休業開始時賃金日額×支給日数×
67%(181日からは50%)
1日につき標準報酬の日額
(標準報酬の月額の1/22
相当額)×67%(181日目
からは50%)
×
児童手当 3歳未満:1万5千円
3歳以上から小学生:1万円(第3子以降は1万5,000円)
中学生:1万円
所得額が一定以上の場合:5,000円

※ここでは各制度の概要を説明しています。詳細は必ず各自治体・健康保険組合・共済組合などのウェブサイトや資料をご確認ください。

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妊婦健診費用助成は自治体によっては助成あり

各制度の概要を順番に見ていきましょう。まずは妊婦健診費用助成です。

妊婦さんと胎児の健康状態を確認するために受ける妊婦健診の費用は、基本的に全額自己負担ですが、自治体から助成を受けられる場合があります。所定の医療機関で健診を受けた時に、助成を受けられることが多いようです。また、里帰り時の受診でも、助成対象となることもあります。

ただし、助成には上限額が定められており、助成対象となる健診・検査内容や対象医療機関も決められています。受けた健診・検査の内容や回数などによっては、自己負担が発生する可能性もある点は把握しておきましょう。

1児につき最大42万円を受け取れる出産育児一時金

健康保険、共済、国民健康保険の被保険者(共済の場合は組合員)またはその被扶養者が出産をした場合に、出産育児一時金(共済の場合は出産費または家族出産費)を受け取れます。

トラリピインタビュー

受け取れる金額は42万円で、産科医療補償制度対象外(在胎週数22週未満や、産科医療補償制度に加入していない医療機関などでの出産)の場合は40万4,000円となります。これに加えて、健康保険組合や共済組合によっては、2万~5万円などの付加給付を受けられることもあるようです。

受け取り方法は、現金給付や、医療機関に直接支払われる直接支払制度または受取代理制度の3種類があります。それぞれ必要な手続きや書類が異なりますので、詳細は加入している保険または共済のサイトを確認してみてください。

産休中・育休中の収入減少に備える出産手当金・育児休業給付金

お仕事をされている方の場合、出産前後にいわゆる産休を取ることもあるでしょう。産休中の収入減少に備えるための給付として、出産手当金があります。出産手当金は、出産日以前の42日間と、出産の翌日以後56日間の範囲で(出産が予定より遅れた場合は、その期間分も)、給与の約3分の2程度の金額を受け取れます。

子どもが生まれてから1歳になるまでの育休期間には、育児休業給付金を活用できます。育休開始前6カ月間の給与を基準に、育休開始から180日までは1日当たりの給与の67%、181日からは50%を、育休取得日数分受け取れます。なお、保育園に入れなかったなど育休の延長が必要であると認められた場合には、最長で2歳まで育休延長が可能です。

育児のイメージ
子どもが1歳になるまでの育休期間には、育児休業給付金を活用できる

いずれの給付金も、会社から給与を受け取っている場合は、給与との差額を受け取れます。

加入しているのが国民健康保険の場合、出産手当金・育児休業給付金は原則受け取れません。また、出産手当金・育児休業給付金を受け取れる場合でも、その額は普段の給与より少なくなる可能性もあります。どちらの場合でも、出産前後の生活費への備えは考えておきたいポイントですね。

中学生までの子どもは児童手当の対象

子どもが中学生までの間は、児童手当の申請手続きも忘れずに行っておきたいところ。児童手当は、養育中の子どもが中学校卒業までの間に受け取れる手当です。3歳未満は1万5,000円、3歳以上から小学生は1万円(第3子以降は1万5,000円)、中学生までは1万円、所得額が一定以上の場合は年齢に関係なく一律5,000円が受け取り月額です。

申請月の翌月分から支給を開始され、6月に2~5月分、10月に6~9月分、2月に10~1月分がまとめて支給されるしくみです。

中学生のイメージ
児童手当は、養育中の子どもが中学校卒業までの間に受け取れる

毎年6月には受給要件を確認するための現況届提出が必須です。その時期が近付くと、郵送でもお知らせが届きますので、しっかり確認しておきましょう。

自治体独自の制度もあるので要チェック

これら健康保険・雇用保険による助成や給付に加えて、自治体が独自に出産・育児支援の制度を用意している場合があります。

例えば、0歳児を養育していると月々1万3千円を受け取れる「乳児養育手当」(江戸川区)、一妊娠につき一時金4万5千円を受け取れる「誕生準備手当」(千代田区)、1人の出産につき最大で10万円を受け取れる「ハッピーマザー出産助成金」(渋谷区)などがあります。

出産前後は何かと入用な時期ですので、お住いの自治体で活用できる制度がないか、ぜひ確認してみてくださいね。

<参考URL>
東京都福祉保健局「妊娠がわかったら
厚生労働省「出産育児一時金の支給額・支払方法について
全国健康保険協会「出産で会社を休んだとき
文部科学省共済組合「勤務を休んだとき
内閣府「児童手当制度のご案内

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