「孫の喜ぶ顔を見たいから、お年玉にはできるだけ多くの金額を入れてあげたい」──そう思う人は多いことでしょう。しかし、お年玉も厳密にいえば贈与の一種。金額や渡し方によっては、お年玉も贈与税が課税される可能性があるのです。

  • 金額によってはお年玉も贈与税の対象になる可能性がある
  • 贈与税の非課税枠は年間110万円まで。それ以上は課税の対象に
  • 110万円以下でも毎年挙げていれば、計画的な贈与と見なされるかも

お年玉に税金はかかるのか?

子どもにとってお正月の楽しみといえば、やっぱりお年玉でしょう。お年玉を受け取る子や孫、親戚の喜ぶ顔を見るのが楽しみという大人も多いのではないでしょうか。しかし、実は喜んでばかりもいられないのかもしれません。なぜなら、お年玉も厳密にいうと、お金を個人から個人に移転させることです。金額の多寡によっては、贈与税の課税対象となる可能性があるからです。

ここで少し贈与税の説明をしましょう。贈与税が課税される場合は、財産を受け取った方が贈与税を支払うことがルールです。受け取った人が居住する場所を管轄する税務署へ申告しなければなりません。遠方に住む祖父母が孫のために贈与したからといって、祖父母が申告してあげる訳にもいかないのです。

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また、贈与税は金額や贈与の種類によって税率が変わります。10%~55%の間で税率が変動するため、3000万円以上を贈与した場合に適用される最高税率の55%ともなれば、かなりのインパクトです。お年玉が3000万円を超える人はまさかいないと思いますが、200万円以下の贈与で10%の税率が掛かります。せっかくのお年玉が贈与税の課税対象にならないよう、お年玉と贈与税の関係はきちんと把握しておく必要がありそうです。

孫とじいじ
「今年のお年玉は、○○○万円だよ」……。そんな人はまさかいないと思うが、お年玉が贈与と見なされる可能性もある

「年末の贈答」なら非課税

ここからは、お年玉が贈与税の課税対象となる基準について説明していきます。国税庁の贈与税に関する記述によると、贈与税がかからない財産の移転として「年末の贈答」というものが挙げられています。

参考:No.4405 贈与税がかからない場合(国税庁)

年末の贈答が記載された項目では、社会通念上問題ない範囲であれば贈与税が非課税と明記されています。お年玉は「年末の贈答」に該当すると考えられるため、社会通念上相当と認められる範囲なら非課税ということです。

トラリピインタビュー

私たちが普段目にするお年玉は、数千円から多くて数万円程度ではないでしょうか。このように、数万円程度のお年玉であれば非課税の範囲内と考えて問題ありません

「お年玉」のトータルが数百万円……。それでも贈与税はかからない?

「年末の贈答」には明確な金額の基準は示されていません。そのため、どこまでが許されるのかという解釈は、あいまいだと言わざるを得ないでしょう。ただし、通常は贈与税の課税対象になるほどの金額を、年末の贈答と主張するのは無理がありそうです。

例えば、かわいい孫のためにお年玉を300万円というのは、明らかに年末の贈答の範囲を超えていますよね。贈与税がかかると思ったほうが無難です。贈与税の非課税枠は年間110万円までとなっているため、それを超える分については、年末の贈答を超え、贈与税の課税対象となる可能性があります。

もしお年玉として300万円を受け取ったなら、贈与税の非課税枠110万円を超えた190万円が贈与税の課税対象になると考えておきましょう。もちろん、この他に贈与を受けた金額があればそれも合算する必要があります。

高額なお年玉
お年玉が何十万、何百万というのは、「年末の贈答」の範囲を超えている

贈与税の非課税枠を意識する人の中には、税負担を避けるために110万円のお年玉を毎年あげればいい、と考える人もいるかもしれません。一見すると課税対象にはならないように見えますが、それが数年間続けば約束に基づく計画的な贈与とみなされます。今後贈与と見込まれる金額の合計額に課税される可能性があるためご注意ください。自分のお年玉の渡し方が税務上問題ないか不安な人は、税理士に相談してもいいかもしれません。

なお、非課税枠を有効活用して贈与を行いたい場合は、お年玉にこだわらずに「教育資金贈与制度」を活用するといいでしょう。この制度は、贈与を受ける人が30歳未満であること、教育資金として活用することなどの条件を満たせば1,500万円までの贈与が非課税になるというものです。教育資金贈与制度を使うには取扱金融機関に「教育資金非課税申告書」という書類を作成してもらう必要があるので、詳しくは金融機関に問い合わせてみてください。

お年玉をあげたら、そのお金は贈与税の対象になる?

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