IFA(Independent Financial Advisor)とは、特定の金融機関に属さない金融アドバイザーのこと。本連載では、資産運用のプロとして活躍するIFAの情報や、IFAの活用法についてお伝えします。
独立系の資産アドバイザーであるIFA(Independent Financial Advisor)。はじめて資産運用に取り組む資産形成層からも支持を得ているようです。今回は、IFA大手のファイナンシャルスタンダードと契約する2人に「IFAを選んだ理由」を聞いてみました。
- IFAは銀行や証券とは違い、パーソナルな関係性が築ける点が魅力。
- IFAの一歩踏み込んだ投資戦略と、わかりやすい説明に納得感が持てた。
パーソナルな感じで付き合える方が自分には向いている
Aさん:42歳・女性
夫と2歳の子どもの3人家族。現在の住まいは都内にある夫の実家。これまでの資産運用の経験はゼロ。
資産運用について興味を持たれた理由を聞かせてください。
Aさん 出産するまで仕事一筋で暮らしてきました。資産運用のことも趣味も、じっくり取り組むような状況じゃなかったと思います。収入で得た、まとまったお金はありましたが、そのお金を増やそうという発想は乏しかったです。
契機となったのは、育児休暇でぽっかり時間が生まれたことです。生まれた子どもが20歳になる頃には、私も60歳を迎えます。自然と老後のことを想像したとき、お金について何も考えていないのはまずいなと思いました。いったい、お金って何なんだろう? お金と経済の仕組みについて関心を寄せるとともに、今あるお金をもっと増やせるのではないかと考えるようになりました。
ちなみに家計は、どのようにやり繰りをされていますか。
Aさん 自営業の主人の収入を生活費として充てています。今のところ、住居費が不要という環境でもあり、私の貯蓄は余裕資金として資産運用に回せるなと思ったところでもあります。
主人は主人で資産運用をしているようですが、お互いの運用方針で意見が合わなくなるのは嫌なので(笑)、あえて話題にはしないようにしています。ただ、私が資産運用を始めたことは、家に届く郵便物の内容で、何となく分かっているみたいです。
IFAのサービスを利用することになったのは、どんな経緯からですか。
Aさん フリーペーパーにお金のことを勉強するセミナーの案内が載っていて、それがファイナンシャルスタンダードさんの主催だったのがきっかけです。セミナーに参加して初めて、運用の世界についてじっくり話が聞けました。世界経済の動きや長期で投資するメリット、分散投資で将来的にリターンを高める考え方なんかに共感しました。
投資初心者を対象としたセミナーは、参加者の知識レベルに合わせて講師がわかりやすく説明してくれるので、資産運用を考える良いきっかけになる(写真はイメージです)
証券会社や銀行に口座を開いて、自分でやろうとは思いませんでしたか。
Aさん 金融機関の店頭に足を運ぶと、勧められた提案を断れないのではないかと危惧したこともありますし、性格的にも能力的にも、自力では多分うまくいかないだろうなと思ったので、選択肢から外しました。そもそも忙しい子育ての合間を縫って、こまめに運用状況をチェックするのは無理だろうなと感じています。もっとパーソナルな感じで付き合えるアドバイザーの方が自分には向いているんだろうなと思います。
セミナーに参加したあと、どのような手順で相談が進んだのですか。
Aさん 個別に2回、ファイナンシャルスタンダードさんに足を運びました。私のリクエストは、数百万円の余裕資金を中長期で運用しながらも、毎月5万円ほどのインカム収入を得たいといったものでした。ライフプランや運用戦略について、ボードを使って説明してもらいました。結構かみ砕いて説明してもらいましたが、ポートフォリオについては、考えるべき要素や組み合わせる商品パターンが多く、これは自分一人では無理だなと思いました。
提案を受けて、数カ月前から5本の投資信託で運用しています。国内外の株式と債券を投資対象にした、ニッチな投資信託が多いのですが、恥ずかしながら、自分では商品の中身までうまく説明できません(笑)。
IFAはコストが掛かることは説明を受けてもちろん承知しています。自分にとっては価値があると信じているわけで、あとはこれからの結果に期待するだけです。
運用によって、将来叶えたいことはありますか。
Aさん 着物が趣味なので、師範の免許を取るのと英語力を身に付けて、外国の方に着物を着てもらえる仕事をしたなと思っています。できれば10年後に自分の会社を興すような心づもりで、運用で得た収益をその開業資金に充てられるといいですね。
不安を取り除いてもらえるメリットを求めてもよい
Bさん:30歳・男性
埼玉県の賃貸住宅で一人暮らし。病院で管理栄養士の仕事をしている。近い将来、結婚することを視野に入れながら、2年程前から資産運用を実践。
これまで、投資による資産運用の経験はありましたか。
Bさん いえ、ありません。仕事が忙しく定期預金は貯まる一方だったのですが、ある時、銀行から営業の電話があって“資産運用でお金を増やしませんか”と提案されたことが、意識付けのきっかけになりました。それが2年程前の話です。いままで貯めた大事なお金を運用するのであれば、ちゃんと勉強してから始めようと思いました。
「投資信託」というキーワードは理解していたので、ひとまず無料のセミナーならすべて行こうといった心づもりで、銀行や証券会社、直販の投信会社が主催するセミナーや勉強会に足を運びました。まずはNISAやiDeCoを優先して活用しようと決めましたが、どこで買うかまでは決めかねていました。
IFAという存在を知ったのは、どうした理由からですか。
Bさん ネットで検索している中でたどり着きました。ファイナンシャルスタンダードのセミナーに参加したのもネットからです。これまでも、NISAやiDeCoを通じて投資信託を購入するのであれば、銀行はあまりお勧めできないといった評判を聞いていました。銀行が儲かるような商品を勧められるからといった理由です。
資産運用について、長期投資や分散投資の大切さなどを学ぶことはできましたが、適切な商品選択や付き合い方は、個人では難しいと感じていました。仕事をしながら投資状況をチェックするにも全部は見ていられません。ネット証券ではなく、的確なアドバイスをしてくれる中立的な人がいたら安心だろうなという思いが、IFAの活用を考えるようになった背景です。
IFAの選び方について、ご自身の中で基準はありましたか。
Bさん ファイナンシャルスタンダード以外にも、いくつかのIFAに相談を持ち掛けました。それぞれにお勧めのポートフォリオを提案いただいたのですが、なぜお勧めなのか、その説明への納得感を基準にしました。「株式が中心」「相場が良好」といったレベルより一歩踏み込んで戦略を感じられたのが評価ポイントになりました。
もちろん、こちらは素人なので、理解が難しそうな言葉は簡単な言葉に置き換えたり、絵で見た方が分かりやすい解説は、ホワイトボードを用いたり、専門的な分析はチャートを多用したりといった、説明に対する工夫も安心できると思いました。
金融商品の価値は目に見えないので、それをいかに絵や言葉でわかりやすく説明してくれるかは、アドバイザーに求められる必須の能力といえる(写真はイメージです)
投資金額や運用目標を含め、ポートフォリオの概要を教えてもらえますか。
Bさん 数百万円といった一括投資に、月々8万円の積立投資を組み合わせた運用を5本の投資信託で実践しています。長期での運用期間を前提に年利7%程度を目標に据えています。
投資信託の対象は、世界の優良企業に投資するものや、トレンドフォロー、株式キャッシュ戦略など株式を中心に様々です。個別の商品ではリスク値が10%を超えるものもありますが、ポートフォリオでは一桁に抑えた組み合わせになっています。
投資を始めてから2年程、厳しい市況環境で不安になることもありましたが、面談して話をすると気持ち的にはすっきりします。
今後の目標やIFAに対する期待を聞かせていただけますか。
Bさん もしかして、近い将来に結婚などで資金ニーズが生まれた際は、一部解約の相談が必要になるかもしれませんが、基本的にはじっくり取り組みたいと思っています。銀行や証券会社以上のリターンを期待したいし、30歳より以前に資産運用を始めておいてよかったと、将来思えるようなサービスを期待しています。
仕事が忙しい人やお金を動かすのに不安が強い人は、コストを払ってでも不安を取り除いてもらえるメリットをIFAに求めてみてよいと思います。
【取材後記】
お二人に共通するのは、資産運用について真面目に考えていること。そして、自分にできることと自分には難しいことを理解して、難しいことをIFAにお願いするというスタンスを取っていることです。コスト面の説明を受けたうえで判断したということですが、後はコストに見合ったリターンは期待したいというコメントも印象的でした。