4つの要件をすべて満たせば申請できる

1,807万円」。

これは、国税庁が公表した2017年分の相続税の申告状況で明らかになった、相続財産をのこして亡くなった方1人当たりの相続税額です。

相続税をめぐっては、税金がかからない範囲の金額である「基礎控除額」が2015年1月1日から引き下げられたことなどにより、相続税の課税対象者が急増しました。それまで4%台だった課税対象者の割合は、2015年分の公表値で8%台へと一気に増えました

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国税は金銭で一度に納めるのが原則です。のこされた家族にとって、相続税の支払いは大きな負担になっています。しかも、相続財産の多くが不動産であれば、税金を支払う期日までの現金化が難しいケースも少なくありません。
相続税法では、定められた条件に該当すれば、担保を提供することにより、毎月一定額ずつ支払う「年賦」で納付することを認めています。これを延納といいます。次の4つの要件をすべて満たす場合、延納の申請が可能です。

相続税延納の要件
1. 相続税額が10万円を超えること
2. 金銭で一度に納めることが困難な理由があること
3. 延納税額に見合う担保を提供すること(ただし、延納税額が50万円未満かつ、延納期間が3年以下の場合、担保は不要)
4. 相続税の納期限までに延納申請書を提出すること

利子税は手続き時の固定金利を適用

担保として提供できる財産には、「国債、地方債、社債、その他の有価証券」、「土地、建物」「自動車、船舶、機械」「財団」などがあります。相続税の延納を申請した場合には、ローンの利子に相当する「利子税」がかかります。相続する財産の割合によって、利子税と延納期間が決まっています(図表)。

利子税は、手続きをした際の固定金利が適用されます。相続税の未納付残高が多く利払い額が多額になる場合は、金融機関で借り換えを行うことも選択肢の1つです。自分のケースは延納が適用されるのか? できる場合の利子税はいくらになるのか? など、専門家のアドバイスをもとに検討してみましょう。

【図表】相続税の延納期間及び延納に係る利子

【図表】相続税の延納期間及び延納に係る利子
※「特例割合」は、2018年1月1日現在の「延納特例基準割合」1.6%で計算。
出所:国税庁

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