部位や進行具合、治療方法によって
がんの治療費は大きく異なる

生命保険文化センターが実施した『平成28年度生活保障に関する実態調査』によると、病気やケガへの不安がある人の割合は9割を超えました。具体的な不安の内容としては、「家族に肉体的・精神的負担をかける」(54.2%)に次いで「長期の入院で医療費がかさむ」(53.6%)という声が多く上がりました。

がんは早期に発見し、適切な治療を行えば完治する可能性が高まってきた病気とはいえ、適切な治療をするためには、費用がかかります。がん治療にはどれぐらい費用がかかるか心配な人も多いでしょう。

がんの治療費は、部位や進行具合、どのような治療を選択するかによって大きく異なるので一概にいえません。ただし、日本には高額療養費制度があるので、保険適用外の治療でなければ、窓口での支払いには上限があります。

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高額療養費制度の自己負担限度額は、所得や年齢によって異なります。69歳以下の場合の高額療養費制度の自己負担額は下図の通りです。

【図表】高額療養費制度の自己負担限度額(70歳未満の場合)

適用区分 ひと月の上限額(世帯ごと)
A

年収約1,160万円~

健保:標報83万円以上
国保:旧ただし書き所得901万円超

252,600円+(医療費-842,000)×1%
B

年収約770~約1,160万円

健保:標報53万~79万円
国保:旧ただし書き所得600万~901万円

167,400円+(医療費-558,000)×1%
C

年収約370~約770万円

健保:標報28万~50万円
国保:旧ただし書き所得210万~600万円

80,100円+(医療費-267,000)×1%
D

~年収約370万円

健保:標報26万円以下
国保:旧ただし書き所得210万円以下

57,600円
E

住民税非課税者

35,400円

出所:厚生労働省

上図のCに該当する一般的な収入の方であれば、1カ月におよそ9万円程度が自己負担額の上限になります。厚生労働省の「平成26年患者調査」によると、15~64歳の人ががんで入院した場合の平均在院日数は14日です。

がんの治療で入院しても1カ月以内で済むのであれば、自己負担額の上限は約9万円です。そう考えると、民間のがん保険には加入せず、治療費は貯蓄でまかなうという人もいるでしょう。それも考え方の一つです。

治療が長引けば負担は増える。
高額療養費制度と貯蓄だけで大丈夫?

しかし、万一入院や治療が長引き、1カ月以上になれば、高額療養費制度があっても経済的な負担は大きくなります。がんが進行・転移してしまうと、数年にわたって抗がん剤治療をうけることになるかもしれません。

それ以外にも通院のための交通費などは実費ですから、治療が長引けば長引くほど、負担は重くなります。先進医療を受けることになれば、数十万~数百万円の治療費が自己負担となります。

さらに注目して欲しいのが、上図のBに該当する方々です。標準月額報酬53万円以上というのは、40代以上の会社員であれば決して珍しい金額ではありません。しかし、高額療養費制度の自己負担額の上限はCの倍です。もし治療や入院が長引いたら……と考えると、不安になってきます。

やはり、金銭的な心配なくがん治療に専念するためには、民間のがん保険に加入しておくことも検討したいものです。かくいう私も医療保険には加入していますが、がん保険はついつい後回しになり、いまだに未加入。

実はいま、本気でがん保険に加入しようと考えています。というわけで、次回から実際にがん保険を検討し、加入するまでを記事にしたいと思います。ご期待ください!

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