レポート提供:アセットマネジメントOne(2019年3月25日)

  • 世界景気減速懸念の再燃から、22日の米国株式市場が大幅に下落したことを受け、日経平均株価は前週末比▲3.01%と大幅に下落。
  • 逆イールドは景気後退に先行するとされるものの、過去の局面から判断すると足もとの懸念はやや行き過ぎと考えられ、株価は市場が落ち着きを取り戻すにつれて値を戻すと想定される。

日経平均株価が大幅に下落

22日の米国株式市場が大幅に下落したことを受け、25日の国内株式市場では日経平均株価が前週末比▲650.23円(▲3.01%)安の、20,977.11円と大幅に下落しました。下落率は昨年12月25日以来の大きさを記録しました。

世界的な景気減速懸念が背景に

22日の米国株式市場下落の背景として、世界景気減速懸念の再燃が挙げられます。

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22日に発表された3月のドイツ製造業購買担当者景気指数(PMI)が好不況の節目とされる50を下回り、2012年8月以来の低水準となったほか、米国の製造業PMIが1年9カ月ぶりの低水準となったことから世界的な景気減速懸念が改めて意識されました。また、米国の債券市場において、景気後退に先行するとされる、長期金利が短期金利の水準を下回る逆イールドが一部の年限で発生したこともリスク回避姿勢を強める要因となりました。

こうしたことなどから、22日のダウ・ジョーンズ工業株価平均は前日比460.19米ドル(▲1.77%)安の25,502.32米ドルと大幅に下落しました。

【図表1】日米株価の推移
【図表1】日米株価の推移

※期間:2018年9月21日~2019年3月25日(日次)
※NYダウは3月22日まで
出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成

トラリピインタビュー

逆イールドに対する市場の懸念は行き過ぎか

昨年12月4日に3年債と5年債の利回り水準が逆転した際にも、NYダウは前日比▲3.10%と大幅に下落しており、逆イールドの動向に注目している市場参加者が多数いる様子がうかがえます。実際、過去の局面をみると、逆イールド発生後に景気後退に陥る傾向があることから、先行指標として注視する必要があります。
もっとも、過去の局面では、逆イールドが発生してから景気後退に陥るまでには約1年4カ月~2年半と相応の期間があります。その間のNYダウの動きをみると、20~30%程度上昇しています。

22日の米国株式市場の下落とそれを受けた25日の国内株式市場の下落は、景気後退を早期に織り込みすぎているとみられ、過度なリスク回避姿勢が先行していると考えられます。市場参加者が逆イールドに敏感に反応する傾向にあることから市場の変動性には留意が必要ですが、各国中央銀行が緩和的な金融政策を維持するなか、早期の景気後退は避けられるとみられ、市場が落ち着きを取り戻すにつれて、株価も値を戻す展開が想定されます。

【図表2】過去の逆イールド局面
【図表2】過去の逆イールド局面

※期間:1989年1月2日~2019年3月22日(日次)
※網掛けは景気後退局面
※NYダウは逆イールド突入後から、景気後退前までの推移
※NYダウは各逆イールド突入時点を100として指数化
出所:ブルームバーグ、NBER(全米経済研究所)のデータをもとにアセットマネジメントOne作成

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