離婚すると、多くの女性は苦痛から解放される
今離婚について思い悩んでいる方に対して、メッセージをお願いします。
トイアンナさん 私の周りで離婚した人はそこそこいますが、未練を引きずっているのは男性だけです。女性は、別れるまでにすごくいろんなことを考えています。「別れたほうがいいのかな」「でも私には彼しかいないかもしれない……もう結婚できないかもしれない……どうしよう……」と散々思い悩んで離婚を決め、実際に離婚した瞬間から「すっきり!」みたいな感じです。
離婚までは悶々、しちゃえばスッキリする女性が大多数
トイアンナさん 例外は、自分が予想していなかった理由で離婚した場合です。例えば、夫が別に家庭を持っていて、しかも夫から離婚を切り出してきた。こういった理由なら離婚後も引きずりますよね。でもそれは離婚そのもののせいで、トラウマを引きずっているわけではありません。普通に性格の不一致などで揉めて離婚した場合は、女性の復帰はとても早いです。
女性の場合、離婚後1週間から1カ月くらいは、占いに頼ってしまったり、誰かのコラムを見て泣いていたりするかもしれません。そういう人でも、3カ月も経つと「そろそろ婚活したいんだけど」なんて言っていることも多いです。
今離婚に悩んでいる女性には、「今が人生で一番つらい時のピークだよ」と伝えたいです。離婚したほうがいいか、しないほうがいいか、これに対する正しい答えはありません。離婚してもしなくても、どちらを選んでも後悔する日は来ます。結局のところ、自分が決めた道で選んだ後悔を取っていくしかないのです。ただし、離婚した場合はそこがピークになりますが、離婚しない場合はずっと続きます。本当に悩んで耐えがたいなら、離婚はありだと思います。
しかし男性は別です。男性はなぜか、離婚に対して思い切りがいいのに、離婚後は年単位で引きずるパターンが多いです。
どうして男性のほうが長く引きずってしまうと思われますか?
トイアンナさん たぶんですけど、男性のほうが、傷つくこと、「傷ついた」と泣きわめく権利がもらえていないからではないでしょうか?
自分が傷ついたことを認める機会がない?
トイアンナさん 認める場が、友達の前ですら用意されていない。女性は、友達に「離婚したんだけど……」とこぼせば、それを打ち明けられた女友達はすっ飛んでくるでしょう。一緒にお酒を飲んだり、一緒に泣いてくれたり……。こういった関係性が、男友達の間で許されていないのではないでしょうか。
「ワイワイ飲んで忘れようぜ!」とか、「新しい女を紹介しようか?」といった対応が多いですよね。一緒になって泣いたり、落ち込んだりしない。男女の関係がほぼ死ぬという意味では、離婚のショックは死の喪失にも近いと思いますが、泣く機会をもらえないせいで、男性のほうが引きずってしまうのではないかと思います。逆に言うと、男性でもべちょべちょに泣ける方であれば、立ち直りが早いかもしれませんね。
落ち込む機会・場所があまりに少ない男性の世知辛い事情
筋トレしても絞め殺せないけど、稼げば離婚できる
実際に離婚しようと考えた時、女性はお金がネックになることが多いようです。
トイアンナさん お金がないと離婚できません。専業主婦を選ぶことは、離婚する力を失うことにもつながります。たとえ親が資産家であったとしても、親に「離婚したいんだけど」とすぐに連絡できるでしょうか? 決意を打ち明けたところで、「子供もいるんだから、もう少し頑張りなさい」とか、「仲たがいがあっても、夫婦なのだから」となだめられて、離婚につながらないかもしれません。
離婚を決めた時に最初にするべきことは、お金を稼ぐことです。離婚するつもりがなくても、生涯食べていくため、子どもが留学したいと急に言い出した時のため、予定外の出費への備えなど、人生のオプションを増やす意味では、お金を稼ぐ力はとても大切です。
ライター業をしていると、よく「才能がある人はいいよね」とか、「好きな仕事で食べていける人はいいよね」といったコメントをいただくこともあります。しかし、それは誤解です。私が稼ぐ理由は才能などではなく、新卒で入社した会社が1日15時間以上の長時間労働が当たり前という環境で、激務だった習慣がそのまま今も残っているからです。
今はライター業をしていますが、ライターとしてもめちゃめちゃ働きます。才能を労働時間でカバーしているだけです。ただ、やみくもに働いても成長は望めません。例えば「ジュエリーを販売して生計を立てたい」なら、好きなアーティストの作品を、「どんなスタイルでやっているか」など勉強し、真似して作ってみて、さらに自分なりにアレンジしてまた作ってと繰り返していく。販売できる作品ができるのは、そのあとです。
離婚したいとき、お金がないと焦るとは思います。しかし、「すぐにデビューして稼げる」「寝ているだけでお金が入る」といった儲け話には飛びつかないよう注意してください。この手の話には、マルチ商法や詐欺商材などがつきまといます。怪しげな商材を買う前に、「自分が息をするようにできる仕事」がないかを考えてみてください。息をするようにできることなら、離婚したい時でも、子どもを抱えていてもできるはずです。こうした自分なりの特技は、楽しいかどうかはさておき、いざというときに自分を救ってくれる確率が高い仕事となります。自分が主観で信じる得意なことよりも、周囲から褒められて、本人は「こんなの簡単じゃん」ときょとんとしちゃうような得意なことをぜひ見つけてください。
息をするようにできることは、子育てしながらだってできる
自分では気づいていない得意なことを見つける相談は、どんな相手が適任ですか?
トイアンナさん 親と仲がいいなら、親ですね。子どもがいるなら、子どものコメントもバカにできません。例えば、子どもが「お母さんっていつも友達と電話しているよね」と言うなら、実は電話カウンセラーが適職かもしれません。また、旦那さんのコメントも参考になります。自分と付き合いの長い人の、「そういえばいつもあれやっているよね」とか、「それ得意だよね」など、褒めるつもりもないふとした言葉が仕事につながりやすいと思います。すごく目立つ特技ではないところがポイントです。
何か得意なことが見つかったら、次にどうやってお金になるのかを考えていきます。まずは、月20万円を目指しましょう。月20万円あれば、とりあえず離婚ができます。生活もできます。よく言われているのが、最初に月収5万円を目指して、できたら20万円を目指す。実現できたら、その得意なことが仕事になって、生活ができると思ってください。
女性が離婚を考えた時によく悩みがちなことは、「自分にはもう出会いがないんじゃないか」とか、「彼以上の人がいるだろうか」ではありませんか? その時はとても傷ついているので、自尊心が下がっているせいで「私なんかに、もっといい人なんていない」という考えに陥りやすい。でも、お金を稼ぐとこのモヤモヤがなくなります。
男性は自信をつけるために筋トレを勧められる、という話はよくありますよね。女性は、お金を稼いだほうがいいです。筋トレしても男性を絞め殺すことはできませんが、お金を稼ぐと「お前が離婚されないでいられるのは、私の気持ちひとつだからな」と思えるかもしれませんよ。
筋トレしても憎いあいつは絞め殺せない…?
バツイチ女性のモテ期は2年
離婚したあと婚活市場に参入する際、バツイチであることや年齢の部分がネックにならないかとても気になります。
トイアンナさん 安心してください、バツイチはモテます。ただし、モテるのは離婚してから2年間です。同年代の未婚女性よりもバツイチ女性のほうが、一度家庭を作った人として社会的な価値が与えられる風潮があります。バツイチの女性は、少し寂しそうで、傷ついていそうで、守りたくなる。なんなら飲みに誘う口実もある。「最近フリーになったんでしょ? 飲みに行かない?」なんて、すごく誘いやすいですよね。
なるほど……!ちなみになぜ2年間限定なのでしょうか?
トイアンナさん だいたい2年くらい経つと、周囲の認識が「離婚してたんだっけ?」となり、独身者と扱いが同じになってきます。離婚後の2年はただのボーナス期間です。離婚までにどうせストレスで痩せるので、ボーナス期間はウジウジ悩むよりも次の相手を見つけたほうがいいのではないでしょうか。