資産運用に興味があっても、初心者にとって株式投資のハードルは高いもの。本連載では、現役の証券アナリストが株式投資の魅力や付き合い方をやさしく伝えます。
- テーマ投資はタイミングが遅れると高値づかみのリスクも
- これから対応エリアが増える5Gは息の長い投資テーマ
- 村田製作所、アンリツ、ネットワンシステムズに注目
5Gはこれから本格化する息の長い投資テーマ
今回はテーマによる銘柄選びについてのお話です。
株式相場では、現実世界と同じように流行りすたりがあります。ここでいう流行りとは投資のテーマのことです。投資家は次の人気になりそうなテーマを見つけるべく、常にアンテナを張り巡らせているのです。
例えば人工知能(AI)が人気のテーマになった時、買われたのは人工知能を開発する企業の株だけではありません。人工知能を使った広告を展開する企業、人工知能のベンチャーに出資する企業のように、関連すると思われる企業の株が買われていき、連想ゲームのような状況になりました。
このような投資テーマに関連した株に初期で投資することができれば、大きな値上がり益を狙うこともできます。ただし、投資テーマとして人気化した株は投資のタイミングが遅れると高値づかみになってしまうリスクもあります。
このため、慣れないうちは息の長い大きなテーマで投資を考えるのが良いでしょう。
例としてご紹介したい投資テーマは、次世代の移動通信システム(5G)です。5Gは現状の4GLTEと比べて高速大容量通信、同時多接続、低遅延の通信が可能となります。これによりスマートフォンやタブレットだけでなく、自動車やロボット、産業機械などあらゆる場面で活用が進むと見られています。
すでに5Gは昨年から米国や韓国、中国などでいち早くサービスが始まっており、5G対応のスマホが発売されています。日本でもまだ大都市の一部のエリア限定ではありますが、ドコモやソフトバンクが5G対応のスマホと料金プランの提供を開始しました。
今後さらに対応エリアが増える見込みであり、息の長い投資テーマと考えられます。そこで、いくつかのおすすめ銘柄を紹介していきます。
国内の5Gサービスは2020年3月に始まったばかり。今後のエリア拡大が期待される
おすすめ① 村田製作所(6981)
まずは村田製作所をご紹介します。村田製作所は京都に本社のある電子部品メーカーの老舗です。スマホに欠かせない高周波部品やコンデンサなどの電子部品を作っています。中でも積層セラミックコンデンサと呼ばれる電気の流れを安定させるための電子部品は、世界シェアNo1となっています。
今後5Gが本格化してくると村田製作所の製品の需要が高まると見られており、5Gへの投資をする上では外せないでしょう。4月21日の終値は5739円。最低投資単位は100株なので、およそ58万円程度から投資できます。
おすすめ② アンリツ(6754)
次にアンリツをご紹介します。アンリツは通信に使われる電波の計測機メーカーです。5Gの技術開発には必要不可欠のため、携帯端末メーカーや半導体メーカー、携帯通信キャリアなど色々な企業からの需要があります。
通信の計測機は信頼性が重要視されます。現在、通信向け計測機の業界では大手3社でシェアを分け合っており、アンリツはそのうちの1社です。今後も5Gの開発研究はさらに進むと見られるため、株価の伸びも期待できそうです。4月21日の終値は2149円。最低投資単位は100株なので、およそ22万円程度から投資できます。
おすすめ③ ネットワンシステムズ(7518)
ネットワンシステムズは、ネットワークシステムやクラウドのシステム構築を得意としているシステム開発企業です。5Gで大量のデータがやりとりされるようになると移動通信システムだけではなく、ネットワーク全体のデータ通信量が増えるため、ネットワークの増強が不可欠になります。
実際に新型コロナウイルスの影響で外出自粛やテレワーク、動画コンテンツの利用が増えたため、世界的にネットワークの通信量が増加しています。このような背景から同社の業績は拡大が見込まれるため、投資の魅力は高いといえるでしょう。4月21日の終値は2677円。最低投資単位は100株なので、およそ27万円から投資できます。
5Gが身近になる前に投資しておく
今回は3銘柄をご紹介しましたが、これらはほんの一部です。5Gに関連する有望銘柄はこの他にも沢山あります。
実際に5Gのネットワークが張り巡らされて高速通信が身近になるにはもう少し時間がかかりそうですが、その時に備えて有望銘柄に投資しておくのはいかがでしょうか?