死亡保険はその名の通り、被保険者(保険の対象者)が亡くなった際に家族へお金を遺すための保険です。とはいえ、死亡保険によっては、生存中に所定の状態となった場合にも、保険金を受け取れる仕組みが用意されているものもあります。今回はその仕組みの活用について考えてみましょう。

  • 生存中であっても所定の状態になった場合、保険金が受け取れる死亡保障もある
  • 例えば、高度障害保障。ただし、高度障害の定義は保険会社によって異なる
  • リビング・ニーズ特約は、余命6カ月以内と診断された場合に受け取れる保障

死亡保険で備えられる生存中の不測の事態とは?

定期保険や終身保険といった、被保険者の死亡に備える保険では、被保険者が亡くなられた際にまとまったお金を受け取れます。しかし、病気やケガで一命はとりとめたものの、身体に重篤な障害が残ってしまう場合もあるでしょう。そうすると、住宅のバリアフリー化などで大きな費用がかかることも考えられます。あるいは、病気などで余命宣告を受け、緩和ケアを受けるための医療費などを必要とするケースもあるかもしれません。

亡くなった際にではなく、亡くなる前にお金を受け取って活用をしたい。そのようなときは、保険会社所定の条件を満たしていると、死亡保険に用意されている「高度障害保障」や「リビング・ニーズ特約」を利用できる可能性があります。

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「高度障害保障」とは?

「高度障害保障」とは、被保険者が保険の責任開始日以降に病気やケガを原因として、高度障害状態となった時の保障です。保険会社所定の高度障害状態となった場合に、死亡保険金を高度障害保険金として受け取れるのが一般的な内容です。

高度障害状態の定義は保険会社によって異なりますが、下記のような例が挙げられます。

【高度障害状態】

  • 両眼の視力を全く永久に失ったもの
  • 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
  • 中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
  • 両上肢とも手関節以上(手首から先)で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  • 両下肢とも足関節以上(足首から先)で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  • 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
  • 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

なお、身体障害等級認定を受けていても、保険会社所定の高度障害状態に該当しない場合は、高度障害保険金の受け取りはできません。また、責任開始日前の病気やケガが原因の場合も同様に保険金の受け取りはできません。

トラリピインタビュー

高度障害のイメージ高度障害状態となった場合に、死亡保険金を高度障害保険金として受け取れる死亡保険もある

「リビング・ニーズ特約」とは?

「リビング・ニーズ特約」とは、被保険者が余命6カ月以内と診断された場合の保障です。保険加入時にこの特約を付加していた場合、死亡保険金のすべてまたは一部を生前に受け取れます。

余命6カ月以内と診断されて保険金を受け取ったのち、容体が安定し余命期間を超えて生存できた場合も、原則として受け取った保険金の返還は必要ないようです。

リビング・ニーズ特約のイメージ容体が安定し余命期間を超えても保険金を返還する必要はない

特約と名前があるようにオプション扱いの保障ではありますが、死亡保険に自動付加されていることも多く、保険料はかかりません。

いざという時のQOL維持に2つの仕組みを活用!

病気やケガで身体に障害が残ったり、余命宣告を受けたりした場合、QOL(クオリティ・オブ・ライフ、日常生活の質)の維持向上も大切になるでしょう。そうした場合、まとまった資金が準備できていれば、受ける治療やケアなどの選択肢が広がる可能性もあります。

ただし、高度障害保障とリビング・ニーズ特約を活用して生存中に保険金を受け取った場合、受け取った保険金を使い切ったかどうかなどにより税金の取り扱いが変わる可能性があることと、死亡保障がなくなる(保険金の一部を受け取った場合は死亡保険金額がその分減額される)ことには留意しておきましょう。

死亡保険の保険金を活用することができれば、自分や家族の生活をより穏やかに過ごせる工夫もできるようになるかもしれません。死亡保険を検討する際は、高度障害保障が用意されているか? リビング・ニーズ特約が付加されている(できる)か? この2つもぜひチェックしてみてくださいね。

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