株式や投資信託で長期間運用を続けていると、株価が下落する局面に遭遇することもあります。資産運用を成功させるためには、下落局面での心構えと行動が大切です。本記事では相場全体が下落する局面で利益を狙える「ベア型ファンド」について解説します。
通常のインデックスファンドは株価が下がれば価格が下落
日経平均株価やTOPIXなどの株価指数への連動を目指す投資信託やETFは、株式相場全体が下落するときには基準価額が下がり、投資家が損失を抱えてしまうこともあります。
株式や債券などさまざまな資産に分散投資を行なっていても、リーマン・ショックのような世界的な不況が起こった場合には、多くの資産が値下がりして大きな損失を抱える可能性があります。もし相場下落局面に強い投資の方法を知っていれば、損失を避けられる可能性があります。
相場と逆の値動きを目指す投資信託が「ベア型」
ほとんどの投資信託は、株価指数などが上昇したときに値上がりするように設計されています。しかし、中には相場とは逆の動きをするように設計されている投資信託もあります。
株価指数と逆の値動きになるように設計された投資信託は「ベア型」と呼ばれています。「ベア」とは熊のことで、熊は攻撃するときに前足を振り下ろします。そのため、下落局面に強い投資信託を「ベア型」と呼ぶのです。
一方、株価上昇局面に基準価額も上昇する投資信託が「ブル型」と呼ばれるものです。「ブル」は雄牛を表し、牛は攻撃するときに角を振り上げる動きをすることで、上昇局面に強い投資信託を「ブル型」と呼びます。
ブル型・ベア型の中には、株価指数の2倍以上の値動きになるように設計されているものもあります。大きく値動きするように設計することで、少額の投資で大きなリターンを狙うことが可能です。もちろん、相場が予想と逆方向に動けば大きな損失が出る可能性もあるので、投資する際には注意が必要です。
主なベア型投資信託一覧
主なベア型投資信託は以下の通りです。通常のインデックスファンドと比べると、信託報酬が高く設定されていることも特徴です。
投資信託名 | 運用会社 | 信託報酬 (税込み) |
---|---|---|
T&Dダブルブル・ベア・シリーズ7 (ナスダック100・ダブルベア7) |
T&Dアセット マネジメント |
実質 1.184%程度 |
日本トレンド・セレクト <リバース・トレンド・オープン> |
日興アセット マネジメント |
1.012% |
野村ブル・ベア セレクト8 (米国株スーパーベア8) |
野村アセット マネジメント |
1.155% |
One 日本株ダブル・ベアファンド | アセット マネジメントOne |
0.935% |
SBI 日本株3.7ベアIII | SBIアセット マネジメント |
0.913% |
SBI 日本株3.8ベア | SBIアセット マネジメント |
0.913% |
ダイワ・ブルベア・ファンド6 ベア2倍日本株ポートフォリオ6 |
大和アセット マネジメント |
1.023% |
楽天日本株3.8倍ベア | 楽天投信投資顧問 | 1.243% |
楽天日本株トリプル・ベアIV | 楽天投信投資顧問 | 1.023% |
野村 ハイパーブル・ベア8 (日本ハイパーベア8) |
野村アセット マネジメント |
1.122% |
ETFでは「インバース型」と呼ばれる
ETFにはインバース型と呼ばれる商品があります。「インバース」は英語で「逆」という意味で、ベア型の投資信託と同じように、価格が相場と反対に動くように設計されています。
主なインバース型ETF一覧
主なインバース型ETFは以下の通りです。
コード | ETF名 | 運用会社 | 信託報酬 (税込み) |
---|---|---|---|
1356 | TOPIXベア2倍上場投信 | シンプレクス・アセット・ マネジメント |
0.825% |
1357 | NEXT FUNDS 日経平均 ダブルインバース・インデックス 連動型上場投信 |
野村アセット マネジメント |
0.880% |
1360 | 日経平均ベア2倍上場投信 | シンプレクス・アセット・ マネジメント |
0.825% |
1366 | ダイワ上場投信-日経平均 ダブルインバース・インデックス |
大和アセット マネジメント |
0.825% |
1368 | ダイワ上場投信-TOPIX ダブルインバース(-2倍)指数 |
大和アセット マネジメント |
0.825% |
1456 | ダイワ上場投信-日経平均 インバース・インデックス |
大和アセット マネジメント |
0.825% |
1457 | ダイワ上場投信-TOPIX インバース(-1倍)指数 |
大和アセット マネジメント |
0.825% |
1459 | 楽天ETF-日経ダブルインバース 指数連動型 |
楽天投信投資顧問 | 0.385% |
1465 | ダイワ上場投信-JPX日経400 インバース・インデックス |
大和アセット マネジメント |
0.825% |
1466 | ダイワ上場投信-JPX日経400 ダブルインバース・インデックス |
大和アセット マネジメント |
0.825% |
1468 | JPX日経400ベア 上場投信(インバース) |
シンプレクス・アセット・ マネジメント |
0.825% |
1469 | JPX日経400ベア2倍 上場投信(ダブルインバース) |
シンプレクス・アセット・ マネジメント |
0.825% |
1471 | NEXT FUNDS JPX日経400 インバース・インデックス 連動型上場投信 |
野村アセット マネジメント |
0.880% |
1472 | NEXT FUNDS JPX日経400 ダブルインバース・インデックス 連動型上場投信 |
野村アセット マネジメント |
0.880% |
1569 | TOPIXベア上場投信 | シンプレクス・ アセット・マネジメント |
0.825% |
1571 | NEXT FUNDS 日経平均 インバース・インデックス 連動型上場投信 |
野村アセット マネジメント |
0.880% |
1573 | 中国H株ベア上場投信 | シンプレクス・アセット・ マネジメント |
0.935% |
1580 | 日経平均ベア上場投信 | シンプレクス・アセット・ マネジメント |
0.825% |
ベア型は長期投資には向かない。あくまで下げ相場の「回避策」
リーマン・ショックなど一時的な停滞はあるものの、株価は長期的には経済成長とともに上昇すると考えられています。
世界的に経済成長が続く上昇局面の相場であれば、下落局面で利益が出るベア型を長く保有するほど、損失が徐々に増えていくことになります。そのため、普段は経済成長の恩恵を受けられる通常の投資信託やETFに投資することが、資産運用の基本といえます。
ベア型はあくまで相場の下落局面で一時的な「回避策」に留め、景気が回復傾向に戻ったら手放すほうがよいでしょう。