石油や石炭などの化石燃料の大量消費によって、大気中の二酸化炭素濃度の増加に対する懸念が高まっています。その影響で地球温暖化や人為的な要因による気候変動リスクへの対応は喫緊の課題といえます。投資の世界でも気候変動リスクは重要なテーマであり、気候変動リスクの抑制に貢献する企業は、株式市場からの評価も高い傾向にあります。最近は、個人投資家向けの投資信託でも気候変動をテーマにした商品が登場しています。本記事では、気候変動をテーマにした投資信託をいくつかセレクトし、内容を比較しています。

  • 気候変動リスクは世界的なテーマ。それは投資の世界でも避けられない
  • 気候変動リスクの低減に資する個人投資家向けの投資信託が増えている
  • 気候変動リスクは長期的なテーマなので、長期の構えで検討したい

気候変動リスクは、世界中で避けられない問題

日本は世界の中でも、特に災害の多い国です。毎年発生する台風や地震、津波など、常に災害と隣り合わせの生活を送ってきました。さらに近年は、気候変動が原因だと思われる大雨による災害も頻発するようになりました。

この状況は諸外国でも同様です。フランスの熱波やオーストラリアの森林火災、アメリカのハリケーン、島国ツバルは海面上昇によって水没するといわれるなど、世界中の人々の生活に大きな影響が発生しています。

投資の世界でも米大手資産運用会社が企業の長期的な見通しの決定的な要因として気候変動を挙げ、「気候変動リスクは、投資リスクであると投資家が認識するようになった」として、石炭関連会社や化石燃料関連会社への投資を控えることを表明しました。また世界最大の機関投資家といわれる日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG投資(環境や社会への影響を重視した投資)の割合を増加させるなど、環境や気候変動リスクへの意識は、機関投資家の間で急速に高まりつつあります。そうした流れを受け、個人投資家向けの商品でも、銘柄選定の際に気候変動リスクを重視する投資信託が増えています。

気候変動リスクをテーマにした投資信託が続々誕生

気候変動リスクが世界的に重要なテーマであることは間違いありません。しかし、個人投資家が気候変動リスクの低減に貢献する企業だけを厳選して投資することはハードルが高いと思われます。そこでおすすめしたいものが、気候変動をテーマに組成された投資信託を購入するという方法です。いくつか代表的な商品を紹介しましょう。

気候変動リスクのイメージ
気候変動リスクは世界的なテーマとして重視されている

ニッセイ気候変動関連グローバル株式ファンド(資産成長型)(愛称:フォー・ザ・フューチャー)

日本を含む世界中の株式から、気候変動関連の事業を展開する企業に幅広く投資するファンドです。設定は2021年4月26日です。『資産成長型』と『予想分配金提示型』の2タイプあり、『資産成長型』のほうは、なるべく分配頻度を抑え、中長期的な成長を目指す方針を取っています。

ニッセイ気候変動関連グローバル株式ファンド(資産成長型)(愛称:フォー・ザ・フューチャー)

  • 資産運用会社:ニッセイアセットマネジメント
  • 純資産総額(2021年10月14日現在):130億円
  • 設定日:2021年4月26日
  • 騰落率(2021年10月14日現在):2.66%(設定来)
  • 信託報酬(実質的な負担):純資産総額に年率1.9325%(税込)程度をかけた額

信託報酬がやや高めな点と、取扱販売会社が地方銀行のみである点は気になるところですが、パフォーマンスはまずまずといったところでしょう。2021年8月末時点の組入上位10銘柄は次の通りです。

『ニッセイ気候変動関連グローバル株式ファンド(資産成長型)』の組入上位10銘柄(2021年8月末現在)
  銘柄名 業種
1 ダーリン・イングレディエンツ 情報技術
2 マイクロソフト 情報技術
3 シュナイダーエレクトリック ヘルスケア
4 シグニファイ 資本財・サービス
5 ゾエティス 資本財・サービス
6 ヴイエムウェア 公益事業
7 ファーストソーラー 資本財・サービス
8 ネクサンズ 素材
9 キャリア・グローバル 生活必需品
10 コーニンクレッカDSM 情報技術

アムンディ環境・気候変動対策ファンド(愛称:グリーン・ワールド)

ESG投資で豊富な実績を持つ仏系運用会社のアムンディが運用する投資信託です。主に世界の企業を対象に、環境・気候変動の課題解決に貢献する企業の株式に投資します。設定は2021年4月9日ですが、当ファンドは、すでにアムンディ・グループが運用している、環境・気候変動をテーマとする複数のファンドに投資するため、実質的な運用実績はもっと長いと考えていいでしょう。

アムンディ環境・気候変動対策ファンド(愛称:グリーン・ワールド)

  • 資産運用会社:アムンディ・ジャパン
  • 純資産総額(2021年10月14日現在):396億円
  • 設定日:2021年4月9日
  • 騰落率(2021年10月14日現在):7.6%(設定来)
  • 信託報酬(実質的な負担):純資産総額に対して年率1.8855%(税込)を上限とする

販売網はメガバンクから地方銀行、大手証券、ネット証券など幅広く、それだけ純資産総額の規模も大きくなっています。

『アムンディ環境・気候変動対策ファンド』の組入上位10銘柄(2021年8月末現在)
  銘柄名 業種
1 ヴェオリア・エンバイロメント 公益事業
2 ユナイテッド・ユーティリティ・グループ 公益事業
3 マイクロソフト 情報技術
4 イベルドローラ 公益事業
5 ファースト・ソーラー 情報技術
6 グリーンコート・リニューアブル 公益事業
7 ナショナル・グリッド 公益事業
8 ダナハー ヘルスケア
9 エッセンシャル・ユーティリティーズ 公益事業
10 アンドリッツ 資本財・サービス

UBS気候変動関連グローバル成長株式ファンド(愛称:クールアース)

環境関連投資に豊富な経験と実績を持つスイスのUBSアセット・マネジメント・グループが運用する投資信託です。2007年8月に設定された定期分配のないファンドと、2021年5月21日に新たに設定された『年4回決算・予想分配金提示型』の2タイプあります。

UBS気候変動関連グローバル成長株式ファンド(愛称:クールアース)

  • 資産運用会社:UBSアセット・マネジメント
  • 純資産総額(2021年10月15日現在):49億円(定期分配なしタイプ:41.4億円、年4回決算・予想分配金提示型:7.7億円)
  • 設定日:2007年8月1日(定期分配なしタイプ)
  • 騰落率(2021年10月15日現在):9.9%(定期分配なしタイプ、設定来)
  • 信託報酬(実質的な負担):日々の純資産総額に対して年率1.837%(税込み)を乗じて得た額
『UBS気候変動関連グローバル成長株式ファンド』の組入上位10銘柄(2021年8月末現在)
  銘柄名 業種
1 マイクロソフト 情報技術
2 スペクトリス 情報技術
3 ダナハー ヘルスケア
4 リーガル・ベロイト 資本財・サービス
5 アゼク 資本財・サービス
6 アメリカン・ウォーター・ワークス 公益事業
7 ローパー・テクノロジーズ 資本財・サービス
8 エコラボ 素材
9 ユニリーバ 生活必需品
10 VMウェア 情報技術

気候変動関連銘柄の歴史はまだ始まったばかり

今回紹介した3つの投資信託(『クールアース』は予想分配金提示型)は、いずれもまだ設定されて間もないこともあり、資産規模が小さく、パフォーマンスもそれほど大差ありません。この段階で運用の優劣を決めるのは、まだ早いでしょう。ただし、組入上位10銘柄を見てみると、意外と重複する銘柄は少なく、各社厳選している様子が窺えます。今後のパフォーマンスに期待しましょう。

気候変動は将来にわたって重要になるテーマであることは間違いありません。長期投資の選択肢の一つとして、検討してもいいかもしれません。

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