長期的な成長力はあるものの、ときおり暴落を起こす米国株。投資をしてみたいと考えていても、いつか起こるかもしれない暴落が怖くて手が出せないと考えている人も多いのではないでしょうか。本記事では、2000年以降に起きた米国株の暴落をまとめました。

  • 2000年以降、米国株式市場では数年おきに「ショック」が発生
  • 株式市場では数々の暴落が過去に起こっているが、その後着実に回復
  • 投資経験の浅い人は積立投資を軸に据え、長期の上昇トレンドに乗る

2000年以降、頻発するショック

米国株式市場は長期の上昇トレンドが継続していますが、急激に株価が下がることもあります。急激な下落が起こった際には「○○ショック」などと名前がつけられています。2000年以降に発生した主な下落相場について振り返ってみましょう。

【図表】NYダウの推移と「ショック」の発生
NYダウの推移と「ショック」の発生
※2000年1月~2021年8月、月足、終値

ITバブル崩壊

インターネットの普及により、1990年代後半からIT関連銘柄を中心に株価が急上昇しました。ITベンチャーの起業も相次ぎましたが、期待されたほど業績が伸びず、倒産する企業も続出。実態を伴わない相場が続くことはなく、ITバブルは2001年に崩壊し、株価は大幅に下落しました。

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マイクロソフトのWindows95が発売された1995年が、インターネット関連株ブームの始まりとされている
Roland Magnusson / Shutterstock.com

リーマン・ショック

リーマンショックとはアメリカの大手投資銀行であるリーマン・ブラザーズが、2008年に破綻したことによって発生した金融恐慌です。当時のアメリカでは、サブプライムローンと呼ばれる信用力の低い個人向けの住宅ローンを組み込んだ金融商品が、住宅バブルの崩壊によって暴落したために、多くの金融機関が損失を被りました。特にリーマン・ブラザーズはサブプライムローン問題の影響が大きく、巨額の損失を抱えて経営破綻しました。

大手投資銀行が破綻したことで、株式やREITなどのあらゆるリスク資産の引き揚げが起こり、株価が大幅に値下がりしました。リーマン・ショック後の世界経済の低迷は100年に一度の大不況とも呼ばれ、アメリカを中心に世界中で不景気をもたらしました。アメリカ発の金融恐慌であるリーマン・ショックは、アメリカ経済の影響の大きさを物語ったものともいえるでしょう。

ちなみに「リーマン・ショック」という呼び方は日本独自のもので、アメリカなどでは「2008年金融危機」のように呼ばれているようです。

チャイナ・ショック

チャイナ・ショックとは、2015年の中国市場の大幅下落に端を発する世界同時株安のことを指します。チャイナ・ショックの直前まで、中国政府の大規模な金融緩和などによって、中国の株価は大きく上昇を続けていました。しかし、急速な成長を続けてきた中国経済に陰りが見え始め、景気鈍化の見方が強くなったことで株価の暴落が発生したのです。

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また、中国株の暴落を受けてアメリカ、日本にも株安が波及しました。中国が経済大国となったことで、中国の景気後退が世界の株式市場にも大きな影響を及ぼすようになりました。

コロナショック

コロナショックは、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックにより、2020年春に株価が暴落したことを指します。得体の知れない未知のウイルスによって都市封鎖(ロックダウン)をする国が増え、経済活動停滞の懸念により株価が大幅に下落しました。

しかし、コロナショック後すぐに各国政府が大規模な金融政策を実施したことや、ワクチンが当初の見通しよりも早期に開発されたことによって、株価はV字回復しました。アメリカでは過去にさまざまな形で株価は暴落してきましたが、そこから多くのことを学んでいます。アメリカの中央銀行にあたるFRB(米連邦準備制度理事会)が金融緩和を速やかに決定するなど、緊急時の対応がうまく行えたことで、特にアメリカでは株価の早期回復が実現しました。

米国株の長期上昇トレンドは継続か

アメリカは経済大国として長期的な成長を続けています。株式市場では数々の暴落が過去に起こっていますが、その後株価は着実に回復しています。今後も暴落が起こったとしても、長期的な上昇トレンドが続く可能性が高そうです。

長期間運用できるのであれば、積立投資が成功しやすい投資スタイルと考えられます。積立投資は一定金額を定期的に購入していくため、相場が下落している間も購入し続けます。株価が下落し低迷している間は割安で購入できるため、相場の回復後に利益を得ることができます。

個別株をメインで投資をするのであれば、空売りを利用するなど、下げ相場で利益を狙う方法もあります。ただし、空売りは売買のタイミングが難しく、上級者向けの投資方法です。投資経験の浅い人は、長期の上昇トレンドに乗れるように、積立投資を軸に据えるとよいでしょう。

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