資産形成の近道は小型株にあり──。「小型株集中投資」を実践する気鋭の投資家・遠藤洋さんに、今からでも始められる小型株投資の極意を教えていただく連載。第14回は、株式投資に慣れてきた人が陥りがちな失敗とその対策を、遠藤さん自身の経験をもとに考えていきます。

  • 買った株が上がっているときこそ、冷静に時価総額や業績を確認して売り時を考える
  • たとえ結果が同じでも、自分で考えて判断したかどうかが大切
  • 株を買うときは企業業績だけでなく、業界の「旬」や投資家の動向も確認する

調子がいいときこそ冷静に考える

遠藤洋
遠藤 洋
投資家
投資コミュニティixi主宰

僕自身も経験したことで、僕の周りでもよく見るのですが、株式投資を始めて利益が出るようになると、調子に乗ってしまうタイミングがあります。買った銘柄が2~3回立て続けに上がったりすると、「投資なんて楽勝だ」と思ってしまうのです。

こういう局面がいちばん危険です。結論から言うと、調子がいいときこそ図に乗らず、冷静に考えなければいけません。

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株式相場には波があります。よほど変な銘柄を選ばない限り、何を買っても上がるような局面が訪れることもあれば、逆に何を買っても下がる時期もあります。
買った株が下がったら気分が落ち込みますし、だからこそ反省して、失敗を分析して次に生かそうと思えます。ところが、株が上がったときには成功した理由を振り返って分析することなく、ただ喜ぶだけで終わってしまいがちです。

買った株が上がっているときこそ、冷静にその会社の時価総額や業績を確認して、どのタイミングで売ればいいかを分析すべきです。利確するまでが株式投資ですから。「これだけ株価が上がったから、あとはいつ売っても大儲けだ」と思って株から目を離していたら、急に株価が大きく下がって、売り時を逃してしまうこともあります。

利確せずに「前祝い」をしてしまった反省

恥をさらしてしまいますが、僕が失敗したときの話をします。
20代前半の頃、買った株が上がって、ものすごく大きな含み益が出たことがありました。その日は金曜日で、まだ利確していなかったのですが、前祝いということで高いシャンパンを買って飲んでいました。そして次の月曜日に、株価が暴落して、含み益が半分消えてしまったのです……。

シャンパン
利益確定前にシャンパンで「前祝い」したが、翌営業日に株価が暴落してしまう

まだ利確が終わっていないのに、浮かれてしまったことを反省しました。

もちろん、冷静に判断しても同じ結果になった可能性はあります。金曜の午後にあらためて時価総額とチャートを確認して、上げすぎだと判断して利確したかもしれませんし、もう少し様子を見ようと思って持ち越したかもしれません。それは結果論です。

ただ結果が同じであっても、自分で考えて判断したうえで翌週に持ち越したのと、「勝った」と決めつけて、いつ利確すべきかを判断しないままお酒を飲んでしまうのとでは、大きな違いがあります。「勝って兜の緒を締めよ」ということわざの通りで、長い目で見て投資で勝てるのは、株価が上がっていても気をゆるめず、冷静さを失わない人です。

そして、前回もお話ししましたが、ある程度投資に慣れた人でも損切りは難しいものです。自分の投資が失敗だったことを認めるのは勇気がいりますが、それをしなければ次につながりません。

小型株投資で陥りがちな失敗、どうやって避ける?

企業業績だけでなく「旬」にも注目する

投資経験を重ねると、「この会社は成長しそうだ」という感覚が少しずつ身に付いてきます。ところが、株を買った会社の売り上げや利益が順調に伸びているのに、肝心の株価が上がらないこともあります。

業績が伸びているのに株価が下がる要因として、業界自体が時代の「旬」から外れていることが考えられます。まだ旬の時期ではないか、あるいは旬が過ぎてしまったのか、いずれにしても投資家がその会社や業界に関心を示さなければ、いくら業績が良くても株価には反映されません。その場合は早めに損切りして、より良さそうな銘柄を探した方がいいでしょう。

上がる銘柄を見つけるためには、会社の業績や時価総額を見るだけでは不十分で、世の中の時流も見極める必要があります。個人投資家だけでなく、機関投資家と呼ばれるプロの投資家も含めて、今どういった業界に注目しているかを確認することが大切です。

理想は、投資家が注目している業界の中で、時価総額が低いけれど業績がしっかり伸びている会社を見つけることです。その会社が世の中に広まり始めたタイミングで投資できればベストですね。

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