最近では副業が許可されている会社が増えてきました。一方で、自分の会社が副業禁止で、収入の足しにするために不動産経営を行ってもよいか悩んでいる人もいるかもしれません。株式投資や不動産投資が副業にあたるのか、さらにはどれくらいの規模なら問題がないか……。会社に認めてもらえるか不安な人は必見の記事です。
- 副業は「本業ではない収入源」。最近は副業を認める企業が増えてきた
- 余暇に行う株式投資やFXなどは副業とはみなされない
- マンション投資は、規模が大きくなると副業として扱われる場合もある
副業は「本業ではない収入源」
副業は法律による明確な規程はありませんが、「メインの仕事以外の収入源」という意味で使われることが一般的です。
かつては就業規則で副業を禁止する会社が一般的で、表立って副業ができる会社員はほとんどいませんでした。これは厚生労働省が作成する「モデル就業規則」に副業を禁止する内容が記されていたことが主な原因とされています。しかし、2017年にこのモデル就業規則が副業を容認する内容に改められたことをきっかけに、2018年頃から副業を容認・推奨する企業が増加傾向です。
また、副業解禁の背景には、国が主導する「働き方改革」による長時間労働の是正、人口減少などを要因とする働き方の多様化があるともいわれています。企業としても、自由な働き方を認めることで従業員のモチベーションアップにつなげて人材の流出を防ぎ、社外での経験を本業でのスキルアップに役立てられるなどの点でメリットがあると考える企業が多くなりました。
近年はメディアでも副業が注目されることが多く、副業を容認することでイメージアップにつながると考える企業も多いようです。
一般企業がいう副業に「投資」は含まない
トレンドとしては副業を解禁する企業が増えていると説明してきましたが、実際には「自分の勤務先は今後もそんな見通しはなさそう……」と落胆している人も少なくないでしょう。ただし、株式や投資信託、FXなど、投資であれば話は別です。
「メインの仕事以外の収入源」という定義からすれば、投資は副業の一種とも考えられますが、一般的な会社員や公務員にとってはあくまでも副業とは違う位置づけです。職員のプライベートな時間内であれば副業とはみなされないため、副業禁止の職場であっても、昼休みに株取引を行ったり、帰宅後に自宅でFXや仮想通貨の取引を行ったりするなど、余暇で取り組む分には問題ありません。
ちなみに、公務員の場合は「会社を経営する」「報酬を受け取って仕事をする」「営利企業の役員をする」といった行為が副業として禁止されています。会社員の場合も、副業の基準はおおむねこれに準じたものと考えれば問題ないでしょう。
しかし、投資はこれらのどれにも該当しません。よって、本業に影響を与えることがなければ、基本的に取り組んでも問題はないと思われます。
不動産投資は、場合によっては副業扱いになるかも
不動産投資が副業に該当するかどうかについてはケースバイケースですが、投資用ワンルームマンションへの投資など、大規模でない不動産投資であれば、副業には該当しないケースがほとんどです。
不動産投資は投資に該当するものだと考えられており、一定の規模までは副業にあたりません。たとえば家族が代々不動産経営をしているなど、やむを得ない事情があることを考えれば、一律に禁止をすることが難しいという事情もあるようです。
あくまでも投資という観点からみれば、株式や投資信託と同じ扱いになっていても不思議ではないでしょう。よって、アパートやマンション経営も個人的な資産運用の範囲であれば副業には該当しないため、余暇の時間を使って取り組んでも問題ないといえます。
ただし、個人の投資を超えるレベルでの不動産経営を行うケースで、本業に支障が出るような状況になると、場合によっては会社側から警告を受ける可能性があります。
一般的に事業的規模と判断される基準は「5棟10室」だといわれています。これは確定申告の際、副業収入と事業収入の境界として使用される基準で、5棟10室以上であれば原則的に事業収入としての申告が必要です。会社側で副業か事業か判断する場合にも、この基準が目安にされることが多いため、大規模な不動産経営を考えている人は認識しておきましょう。