新型コロナウイルスの影響で、多くの投資信託(以下:ファンド)の基準価額が下がっています。これにより、タイミングをはかって新規に投資を始める方も増えるでしょう。今回は、ファンドの説明書である「目論見書(もくろみしょ)」の見方について解説します。

第15回「投資信託の「指数」にはどんな種類があるの?」はこちらから

目論見書とは

目論見書とは、ファンドの内容やリスクなど重要事項を説明した書類です。

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目論見書には「交付目論見書」と「請求目論見書」の2種類があります。今回は、投資する人が必ず確認することを求められている「交付目論見書」(以下、目論見書)についてご説明します。

目論見書に記載されている主な項目は、「ファンドの基本的な性格」「ファンドの目的・特色」「リスク」「運用実績」「手続き・手数料等」です。以下、項目ごとにその内容をみていきましょう。

ファンドの基本的な性格

目論見書の表紙か2ページ目に、以下のような表の形式で、ファンドの基本的な性格の記載がされています。

基本的な性格の記載例

商品分類
単位型・追加型 投資対象地域 投資対象資産
(収益の源泉)
追加型 海外 株式
属性区分
投資対象資産 決算頻度 投資対象地域 投資形態 為替ヘッジ
その他資産
(投資信託証券
(株式))
年1回 グローバル
(日本を除く)
ファミリー・
ファンド
なし

ファンドによっては、項目数が上記の表より多いものもあります。

表の下段にある太字が、そのファンドの基本的な性格を表しています。「投資対象地域」など、商品分類と属性区分で同じ名称の項目がありますが、属性区分の方がより詳しい内容となります。

ここからは、各項目を順にみていきましょう。

商品区分:単位型・追加型

単位型は、募集期間や運用期間をあらかじめ決めて設定するファンドのこと。
追加型は、いつでも時価で売買できるファンド
です。追加型ファンドの多くは、運用期間(信託期間)無期限の設定がされています。

商品区分:投資対象地域

この項目では、そのファンドがどの地域の資産に投資するのかを確認できます。
上記の例では、商品分類で「海外」に投資することが分かり、属性区分でより詳しく「日本を除くグローバル」に投資することが確認できます。

商品区分:投資対象資産

債券や株式、リートなど、どんな資産で運用するファンドなのかを確認できます。
上記の商品分類の項目を見ると、投資対象は「株式」ということが分かります。また、その運用方法については、区分属性の「投資対象資産」と「投資形態」に記載されている内容から確認できます

この場合は、「その他資産(投資信託証券(株式))」「ファミリーファンド」との記載から、このファンドが個別株に直接投資するタイプではなく、マザーファンド(※)に投資するタイプであることが確認できます。

※マザーファンドとは、複数のファンドから資金を預かり、それをまとめて運用する投資信託のこと

属性区分:決算頻度

決算頻度の項目では、年間の決算回数と分配金の支払回数が確認できます。
上記のファンドの場合は年1回決算ということになるので、年に一度、分配金が支払われます。ただし運用状況によっては、分配金が支払われない場合もあります。

属性区分:為替ヘッジ

為替ヘッジの「あり・なし」が確認でます。
「あり」の場合は、為替変動リスクを小さくすることができます。

ファンドの目的・特色

ここでは、ファンドの運用方針などについて詳しく確認することができます。
例えば投資先が株式の投資信託の場合は、どのような業種に投資するのか、成長株中心に運用するファンドか、配当利回りの高い株中心に運用するファンドなのか……など。
また運用先が債券であれば、高格付けの債券で運用するものなのか、低格付けで運用するものなのかなどを確認できます。

投資リスク

基準価額の主な変動要因について説明しています。海外株式に投資するファンドでは「株価変動リスク」「為替変動リスク」「信用リスク」「カントリーリスク」などについての記載があります。

運用実績

すでに運用を開始しているファンドでは、目論見書に運用実績が記載されています。
記載内容は、基準価額・純資産の推移や分配金の実績、主な投資先についてなど。新規に販売されるファンドでは、過去の株価データなどから同じように運用した場合のシミュレーションを掲載するものもあります。

手続・手数料等

ここでは、購入時や換金時の手続きや、各手数料(購入時手数料・信託報酬・その他費用・手数料)の料率、分配時・換金(解約)時にかかる税金などが記載されています。

ファンド購入の前に必ず交付する重要書類

以上、目論見書に記載されている主な内容についてみてきました。目論見書は、ファンドを購入する前に販売会社が必ず投資家に交付しなければならない重要な書類です。しっかりと目論見書のポイントを押さて、投資するファンドを選びましょう。

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