資産形成の近道は小型株にあり──。「小型株集中投資」を実践する気鋭の投資家・遠藤洋さんに、今からでも始められる小型株投資の極意を教えていただく連載。第13回は、小型株投資で陥りがちな失敗と、その対策について考えていきます。
- 事業の中身が伴わず、値動きが大きい銘柄はデイトレーダー向き
- 本業がある投資家はチャートに張り付けない。会社の中身をしっかり見て銘柄を選ぶ
- 利益確定を早く、損切りを遅くしがちな投資家が多いが、その逆をするのが良い
失敗例① チャートにとらわれすぎる
株式投資には失敗がつきものとはいえ、同じ失敗を繰り返していては、利益を上げ続けることは難しくなります。
ほかの人のいろいろな例を見ていると、以下の2つのパターンで失敗することが多いようです。
ひとつは、チャートにとらわれすぎてしまうことです。
小型株や新興市場の銘柄を狙っている人は、値動きが激しい銘柄が好きな人が多いように見えます。ストップ高とストップ安を繰り返すような、最近ではネットでも話題になっていたグローバルウェイ(3936)みたいな銘柄を好む傾向があるみたいですね。
グローバルウェイが今後どうなるかはともかく、一般論として、事業の中身が乏しい会社の株価は、最終的には大きく下がる可能性が高くなります。
逆に、中身がしっかりしている会社は、たとえ急に株価が下がることがあっても下げ幅は限定的です。
一日中チャートを見ていられるデイトレーダーであれば、値動きが激しい銘柄は1日で大きな利益を狙えるので、魅力的かもしれません。しかし、本業が会社員である一般の投資家は、休み時間くらいにしか取引できず、株価を確認できる機会も限られます。1日の値動きが激しく、なおかつ事業の中身が伴っているかどうか疑わしい会社の株を持っていては安心できませんし、とても心の平穏を保てないと思います。
株式投資のいちばんいいところは、自分が働かなくても、投資した会社の経営陣が経営戦略を考えてくれて、それを社員が実行して利益を上げてくれることです。自分の時間を犠牲にしながらチャートに張り付いているトレーダーもいますが、僕に言わせると、せっかくの株式投資のメリットを生かしきれず、もったいないと感じます。
チャートばかりを見すぎず、会社の中身をしっかり確認して納得したうえで投資をすれば、日々の株価をそこまで気にしなくてすむので本業に集中できますし、その方が長い目で見れば投資の成績がプラスになりやすいと思います。
失敗例② 利確を早く、損切りを遅くしてしまう
もうひとつは、株価が上がった銘柄の利益確定を急ぎ、下がった銘柄を持ち続けてしまうという失敗です。
以前にお話ししたように、損切りが遅れてしまうのは心理的にはとてもよくわかります。
株を買うときには、時間をかけて検討したうえで「この株は上がる」と判断して投資するわけですから、ちょっと下がったからといって売ることは、自分の行動や考え方を否定することにもなり、つらい気持ちになるのは当然です。しかし、「そのうち戻るだろう」といって持ち続けていても、たいていは塩漬けになるだけです。
そんな人間の心理に逆らって、利確を遅くして、損切りを早くした方が、投資パフォーマンスは上がると僕は考えています。
株価が下がっている株は、ほかの投資家から見向きされなくなった結果としてそうなったので、そのままずるずる下がり続ける可能性が高くなります。
逆に、上がっている株はさらに上がり続ける可能性が高いのも、投資の世界のセオリーです。
下がっている銘柄は損切りして、そのお金で株価が上がっている銘柄を買った方が、投資効率は良くなります。
損切りするかどうかの基準は、以前にもお話ししましたが、「今の株価でその会社の株を買いたいかどうか」という視点で考えるといいでしょう。
次回は、株式投資に慣れて利益も出て、軌道に乗ったと思ったときに陥りがちな失敗について考えていきます。