資産形成の近道は小型株にあり──。「小型株集中投資」を実践する気鋭の投資家・遠藤洋さんに、今からでも始められる小型株投資の極意を教えていただく連載。第19回は、2020年2月に株価が暴落した「コロナショック」を振り返りながら、VIXという指数を活用した株式投資の危機対応について考えます。

  • コロナの影響で観光客が減るなど実体経済に変化。しかし株価はすぐに動かなかった
  • 株価暴落の予兆を感じたら、保有銘柄を整理するか「売り」ポジションを利用する
  • 株価が暴落すると上がる性質がある「VIX指数」に連動する商品を活用

実体経済が悪化し始めても、すぐに下がらなかった株価

遠藤洋
遠藤 洋
投資家
投資コミュニティixi主宰

2020年2月の終わりから3月にかけて、新型コロナウイルス感染症の影響で株価が大きく下がりました。当初は一過性のもので終わるのではないかという風潮でしたが、実は2月中旬の時点で、株価の暴落を示唆するような前兆がありました。

まず、外国人観光客が減りました。特に、コロナが最初に流行した中国からの観光客が減り、東京・銀座のラオックスや京都の錦市場のような中国人に人気のスポットから人がいなくなった様子を、SNSなどで目にすることが増えました。僕は2月19日時点で、この事実を投資コミュニティのメンバーに伝えていました。

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この年の2月22日からは3連休でしたが、初日の東京から関西方面への新幹線はがらがらで、東京都内でもイベントの中止が続き、原宿のホコ天も人通りが少なくなるなど、明らかに様子が変わっていました。

しかし、2月21日時点では日経平均株価には特に変わった様子はなく、直前までバブル期以来の高値を付けていました。アメリカのNYダウに至っては史上最高値に沸いていました。実体経済を見ると、コロナで人の動きが止まり、売上も落ちているはずなのに、株価が変わらないのは理にかなっていないと感じました。

どこかのタイミングで、株価は実体経済のレベルに収束する、つまり大きく下落する可能性があると感じて、僕は投資コミュニティのメンバーに次のようなことを伝えました。

「人が外に出なくなれば、外食やエンタメ、旅行などの業界は急激に業績が悪化して、これらの会社に商品を卸している会社にも悪影響が連鎖的に広がっていく。コロナが一時的なもので終わればいいが、長期化すると経済が一気に悪くなる。この先、株価が下がるかどうかわからないが、下がってもいいように準備が必要ではないか」

そして、ご存知のように株価は2月下旬から暴落を始めました。

【図表1】2020年上半期の日経平均株価
2020年上半期の日経平均株価
出所:市場データよりMonJa編集部作成

株価が暴落すると上昇する「VIX指数」

株価はほとんど変わっていないのに、世の中が変わり始めて、近いうちに株が大きく下がるかもしれないと思ったとき、実際に何をすればいいのでしょうか?

最もわかりやすいのは、今持っているポジションを清算することです。上がった株も下がった株もいったん売ってしまえば、暴落が来ても怖くありません。

しかし、僕はこの方法を選びませんでした。僕の投資スタイルは小型株投資が基本で、小型株は大量の売り注文を出すとそれだけで株価が暴落しかねないので、あまり気軽に売り買いできないという事情があったからです。そこで僕が取った対策は、株式市場の下落にベットするという方法でした。

相場が下落したときに利益を出す方法はいろいろあります。信用取引で株を空売りする、株価指数先物を売りで持つなどの方法もありますが、僕が選んだのは「VIX」という指数に連動する商品を買うことでした。

VIX指数は「恐怖指数」とも呼ばれる指数で、厳密にはアメリカのS&P500指数のオプション取引をもとに算出している指数ですが、平たく言うと、株価が暴落するような状況で指数が上昇する性質があります。この指数に連動する金融商品を買えば、株価指数を売りで持つのと似たような効果が期待できます。逆に、株式相場に何もないときにはじわじわ下がっていくので、株が暴落しなければある程度の損失が発生します。VIXに連動する商品は、株の暴落に備える保険のようなものだといえます。

【図表2】VIX指数の推移(2020年1月~直近)
VIX指数の推移(2020年1月~直近)
出所:市場データよりMonJa編集部作成

僕がVIXの商品を買ったのが、3連休が明けた2月25日でした。日本もアメリカもこの日から株価が目に見えて下がり始めたので、結果的に絶妙なタイミングとなりました。日経平均は1月下旬に2万4000円近くまで上がっていたのが、3月中旬には1万6000円台まで落ち込んだのですが、僕は1万7000円台のときにVIX指数の利益を確定させました。

今後もコロナのような暴落の場面があるかもしれません。世の中の変化を見て「株が下がるかもしれない」と感じたら、VIXのような「株価が暴落したときに上がる商品」を一種の保険として保有しておくのも有効な対策になると思います。

【図表3】VIX指数に連動するETFと日経平均株価の値動きの比較
VIX指数に連動するETFと日経平均株価の値動きの比較
※期間は2020年2月~4月。2020年2月3日を100として指数化(対数目盛)
出所:市場データおよび株価データよりMonJa編集部作成

株価の暴落を止めた政府と日銀

実はこの話には後日談があります。ご存知のようにコロナは長引いて、バス会社の売上高が99%減少するというニュースも見ました。経済への影響は予想以上に深刻で、株価もさらに下がってしまうかもしれないと思い、VIXをさらに購入しました。

ところが、ここで日銀が出動して、株を買い支える方針を打ち出しました。これをきっかけに株価は下げ止まり、VIX指数は下落したため、VIX連動商品を損切りすることになってしまいました。「日銀と国には逆らうな」という思いを新たにした出来事でした。

次回は、コロナの流行で影響を受けた個別銘柄について振り返ります。

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