現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第17回は、電子顕微鏡の世界的大手メーカーであり、半導体関連銘柄としても注目される日本電子(6951)を取り上げます。

  • 電子顕微鏡で培った技術を生かし、さまざまなナノテクノロジーの製品を提供
  • 半導体市場向け電子ビーム描画装置の販売が伸び、半導体関連銘柄としても脚光
  • 株価は高値から4割ほど調整。好調な業績や需要を背景に反騰をうかがう

日本電子はどんな会社?

日本電子は電子顕微鏡の世界的大手メーカーです。そのほかにも電子顕微鏡で培った技術を生かした理化学の研究で用いられる分析器・計測検査機器のほか、産業分野や医療分野にもさまざまなナノテクノロジーの製品を提供しています。

日本電子株式会社のホームページ

日本電子は戦後間もない1949年、東京三鷹市に「日本電子光学研究所」という研究開発ベンチャーとして設立されました。電子顕微鏡は虫眼鏡や光を利用した光学顕微鏡に比べてさらに微細なナノレベルの物質を観察することができ、世界中の研究開発機関や製品検査の場で使われています。日本電子の電子顕微鏡は世界でトップシェアとなっています。

また、製品の提供だけでなく、設置環境の調査、工事や顕微鏡のシェアリング、利用方法の講習などきめ細かいサポートなども行っており、ノーベル賞を受賞した著名な研究者も同社の電子顕微鏡のユーザーとなっています。

2017年には、生体分子を高分解能で構造解析できるクライオ電子顕微鏡を実用化して次世代の創薬研究開発のため大きな貢献を果たしたとして日本医療開発大賞で経済産業大臣賞を受賞しました。

日本電子の強みは?

日本電子の強みは、これまで研究分野で培ってきた光学の技術やノウハウです。これらを強みとして巨大な半導体や産業機器、医療分野向けに新たな製品を提供し業績を拡大しています。

最近では、半導体市場向けのマルチビーム描画装置の販売が伸びています。半導体の回路の描画にはフォトマスクと呼ばれる回路の原版が使用されます。このフォトマスクに電子ビームを飛ばして微細な回路パターンを描画する装置となります。

かつては1本の電子ビームで回路を描くシングルビームタイプの装置が一般的でした。2012年ごろにオランダの研究開発企業の依頼で一度に26万本の電子ビームを同時に照射するマルチビームタイプの製品の開発に着手し、共同で研究を重ね商用化しました。従来品に比べて描画時間が2分の1から3分の1と大きく短縮でき、さらに半導体の回路の微細化で精密な描画ができることからその後大きく販売を伸ばし、日本電子の成長を支えるコア製品の一つとなりました

半導体イメージ
半導体市場向けのマルチビーム描画装置が成長を支えるコア製品の一つに
(画像はイメージ)

日本電子の業績や株価は?

日本電子の2022年3月期は、売上高が前期比18%増の1300億円、営業利益が110%増の110億円と大幅増収増益を見込んでいます。新型コロナ感染拡大などの不透明感はあるものの、主力の電子顕微鏡や半導体市場向けの電子ビーム描画装置、医療分野向けでは生化学自動分析装置などの受注や販売が伸びています。

4月8日の終値は5960円で投資単位は100株単位となり最低投資金額は約60万円です。

日本電子(6951)の株価(2021年1月~、月足、終値)
日本電子の株価チャート

半導体向け電子ビーム描画装置の販売が伸びていることから、株式市場では半導体関連銘柄としても脚光を浴びています。ただ、米国の金融引き締め観測などにより、昨年好調だった半導体やハイテク関連銘柄は今年は売りが先行しています。日本電子の株価も昨年11月の高値9840円から4割ほど調整した水準となっています。しかし今後もデータセンターや脱炭素、防衛分野など半導体の需要はさらに伸びると見られており、医療分野などでも需要増が期待されています。

株価も下値を固めながら売り圧力をこなしつつ反騰のタイミングをうかがう展開と見ており、ハイテク分野で業績の成長が期待できる狙い目の企業の一つとして期待しています

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