テレビ、ラジオ、動画配信も含めて様々なコンテンツの台本や脚本を執筆する放送作家&脚本家が700人以上所属する日本放送作家協会がお送りする豪華リレーエッセイ。ヒット番組を担当する売れっ子作家から放送業界の裏を知り尽くす重鎮作家、目覚ましい活躍をみせる若手作家まで顔ぶれも多彩。この受難の時代に力強く生き抜く放送作家&脚本家たちのユニークかつリアルな処世術はきっと皆様の参考になるはず! 
連載第72回は、沖縄出身で3年前から地元に戻り活動している、放送作家の高山省吾さん。

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沖縄ブランドにちむどんどん

高山省吾さんの写真
高山省吾
放送作家
日本放送作家協会会員

僕はテレビ業界に憧れ、18歳で上京。最初は、アルバイトのADから始めました。そして、就職活動の時期になり、「テレビ局でたくさん番組作るんだ!」「こんな企画をやりたいです!」「テレビが大好きだ〜」など、履歴書に思いの丈を書いたが……現実は甘くなかった。

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全キー局不合格。凹みながらADの仕事へ向かい、会議に参加したらひときわ輝いている人たちを発見したのです。それは、放送作家でした。

企画を考え、会議で提案し、様々なアイデアをポンポンと出しているではないか! これまで、気にも留めなかった方たちが輝いて見えて、ちむどんどん(ドキドキ)したのを覚えています。「僕がやりたいのは、こういう仕事だ……」と。

僕は、「沖縄が大好きだ! 沖縄企画するんだ! 沖縄にいずれは戻って、番組作りするんだ!」と、東京で四六時中「沖縄、沖縄、沖縄」と言っていました。また、自己プロデュースのために、沖縄版アロハシャツ“かりゆしウェア”を着て、色んな会議に参加していました。

そしたら「君、沖縄出身? 今度、沖縄の旅番組するから、企画書作成にリサーチ、構成、コーディネートもやってよ!」、「はい!」と即答。「やっとで沖縄関係の番組が出来るんだ!」と嬉しくて、自然と飛び跳ねていました。

その後も、「沖縄ネタある?」とか色々と聞かれるので、いつ聞かれるか分からないので新しい情報を常に探しては、教えて、まだ探しての日々でした。

沖縄の情報として「沖縄は飲んだ後のシメにステーキ食べますよ〜」と飲んだら常に言っていた僕。
それがなんとテレビ番組内で取り上げられ、大爆発!(番組に情報提供したのは、僕ではないので間違えないでください)

今では『ステーキ=沖縄のシメ』が定番化し、沖縄の観光コンテンツの一つとなり、県外にも沖縄のステーキ店が進出するまでになりました。
テレビ影響力に、ちむどんどんした瞬間でした。

沖縄でステーキのイメージ
『ステーキ=沖縄のシメ』のイメージ定着に一役買った ※写真はイメージです

沖縄流の働き方にちむどんどん

現在、僕は3年前に沖縄へ戻り、放送作家をしています。
今でもコロナ渦も相まって、リモートで仕事をする!が主流となりつつあります。しかし、僕の場合、コロナ前でも「企画書や台本書いて!」「リサーチお願い!」など、沖縄に居ながらもお仕事を頂くことも多々ありました。

さらに、沖縄は東京や大阪への飛行機のアクセスもよく、便数も多く、運賃も安いのです。
羽田発着の格安航空を利用すると片道約10,000円(時期による)、成田発着のLCCなんて約5,000円(時期による)で行けるのです。
今でも沖縄から呼ばれたらすぐに行けるようにしています。

沖縄では、東京のキー局とは違い、番組を成立させるには企画書持って、局の営業や広告代理店に行って、予算も作成し、時には直接クライアントへ営業にも行きます。
ただ、他の地域と圧倒的に違う点は、沖縄県民の大好きな模合(モアイ)がキッカケで番組が始まることもたまにあるのです。

モアイとは、気の合う仲間で毎月集まり飲み会を行い、ついでに資金を積み立てて、旅行や事業に役立てる沖縄文化があるのです。

ある日突然、知り合いの社長に呼ばれ「特番を作りたい!」と言われ、「お金は?」と聞いたら、経営者同士が集まるモアイで積み立てた資金があると。
こんな感じで番組が始まるなんて思ってもみなかったです。
沖縄ならではの番組作りのきっかけにちむどんどんしました。

沖縄のカフェからの眺望イメージ
コロナ前から沖縄に戻り、リモートでお仕事を頂くことも多かった ※写真はイメージです

今、原稿を書いているところはオーシャンビューのカフェです。企画や台本で進まない時は、リゾート感を味わいながら仕事をするのも沖縄流。
皆さんも、沖縄でリゾートワーキングしてみませんか?
ちむどんどんする企画が生まれるかも!? まっちょいびんどー(お待ちしております)

次回は脚本家の平柳益実さんへ、バトンタッチ!

是非見てください!

沖縄で人気のおじさん・いしみね店長をプロデュースしています。
もし沖縄に来る機会がありましたら、ぜひお店へ寄ってみてください。
沖縄情報満載の動画を作成しています。
Youtubeチャンネル『いしみね店長の裏側

一般社団法人 日本放送作家協会
放送作家の地位向上を目指し、昭和34年(1959)に創立された文化団体。初代会長は久保田万太郎、初代理事長は内村直也。毎年NHKと共催で新人コンクール「創作テレビドラマ大賞」「創作ラジオドラマ大賞」で未来を担う若手を発掘。作家養成スクール「市川森一・藤本義一記念 東京作家大学」、宮崎県美郷町主催の「西の正倉院 みさと文学賞」、国際会議「アジアドラマカンファレンス」、脚本の保存「日本脚本アーカイブズ」などさまざまな事業の運営を担う。

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