投資信託は定期預金などの元本保証の商品に比べ、大きな利益をあげるチャンスがあります。しかし一方で、元本割れの可能性があることも事実です。投資信託の価格はさまざまな要因で動きます。投資の世界では、価格の上昇や下落が起きる可能性を「リスク」と呼びます。この記事では、投資信託のリスクの主な要因について解説します。

  • 投資の世界におけるリスクとは、値動きの大きさのこと
  • 価格変動、金利変動、為替変動、信用、カントリー、流動性などのリスクに注目
  • 投資信託を選ぶ際には、どのようなリスクがあるのかしっかり確認する

投資のリスクとは値動きの大きさのこと

投資の世界におけるリスクとは、値動きの大きさのことをさします。リスクが無いということは値動きがないことと同義になるため、利益も上がりません。よって投資の世界では、リスクという言葉が、必ずしも悪い意味だけで使われるわけではありません。

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投資信託にはどんなリスクがある?

投資信託には、商品によってさまざまな種類のリスクがあります。主なリスクについて解説します。

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価格変動リスク

価格変動リスクとは、投資信託が保有している株式や債券の価格が変動するリスクです。株価や債券価格などが変動することで、投資信託の基準価額が変動します。

株式は企業の売上や財務状況、経済情勢などによって価格が変動する点が特徴です。一方、債券は発行する企業などの信用力によって価格が変動することがあります。

東京証券取引所
株式型の投資信託なら、株価の価格変動リスクは基準価額が動く最大の要因となる
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金利変動リスク

金利変動リスクとは、おもに債券に投資をしているときに気を付けるべきリスクです。一般的には、金利が上昇すると債券価格が下がります。逆に金利が下落すると債券価格が上昇することが普通です。

金利が上昇すると債券価格が下落する理由は、新たに発行される債券の金利が高くなると、すでに発行されている債券の魅力が相対的に低下するからです。したがって、債券型の投資信託を買う際には、金利情勢に注目する必要があります。

為替変動リスク

為替変動リスクとは、海外の株式や債券などに投資をする際に注目するべきリスクです。外貨建ての株式や債券などを投資対象とする投資信託は、その国の通貨と日本円に換算する際の為替変動によって、基準価額が変動します。

為替変動リスクは、その国の通貨によって変動の大きさが異なる点が特徴です。一般的に先進国であるアメリカのドルよりも、ブラジルのレアルやトルコのリラのほうが変動幅は大きくなります。

また、為替は政治情勢によっても大きな影響を受けます。直近の例として、ロシア・ウクライナ情勢の緊迫化によってロシアルーブルが大きく下落し、取引をすること自体が難しくなる局面もありました。

信用リスク

信用リスクとは、債券などの発行体が債務の利払いや元本の償還が遅れたり、できなかったりするリスクを指します。信用リスクが顕在化することはデフォルト(債務不履行)やデフォルトリスクと呼ばれています。

債券の発行体は企業や国、地方自治体などさまざまです。また、発行体によってリスクの大きさも異なります。財務状況が健全でない発行体であればあるほど、信用リスクは高くなることが一般的です。信用リスクが高い発行体であればあるほど、資金調達のために高い金利設定にすることが多くなります。

債券の価格は金利情勢によって大きく影響を受けますが、債券型の投資信託に投資する場合は信用リスクにも注意しておかなくてはいけません。

カントリーリスク

カントリーリスクとは、投資対象となっている国・地域の政治や経済情勢などの影響によって受けるリスクです。一般に、先進国と比較して新興国は政権が安定していない場合が多く、カントリーリスクが高い傾向があります。

戦争や武力衝突はカントリーリスクを高める代表例です。例えば、ロシア・ウクライナ情勢の緊迫化は、ロシアだけでなく周辺の国にも影響を与えています。

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流動性リスク

流動性リスクとは株式などの取引量が少なくなったり、取引に規制がかかったりすることで、おもに換金ができなくなるリスクです。流動性リスクが顕在化すると、投資信託のファンドマネージャーは保有する株式などを売りたくても売れないという事態に陥ってしまいます。流動性リスクが顕在化する可能性は高くありませんが、もし発生すれば大きなリスクといえるでしょう。換金できない状況が続くと、換金が可能になった後に売却が押し寄せることが多く、価格の急落につながります。

流動性リスクの具体例としては、株式の上場廃止などがあげられます。株式は上場廃止されると、自由に売却することが難しくなります。上場廃止の恐れがあるとあわてて売却する人が増えるため、株価が大きく下落する要因にもなりえます。

購入前に必ずリスクの存在を理解しよう

投資信託によってリスクの種類や大きさは異なります。投資をする際には、どのようなリスクがあるのか、投資信託の交付目論見書でしっかり確認することが大切です。

また、投資をする際のリスクは複合的に発生します。たとえば最近では米国の金利上昇が問題になっていますが、日米の金利差が円安ドル高の一因にもなっており、金利変動リスクと為替変動リスクが同時に高まっているので、外国債券に投資する投資信託への影響は大きくなりそうです。

経済ニュースや政治ニュースなどをみて、どんなリスクが高まっているかを考えながら、どの投資信託を選ぶかを検討するといいでしょう。すでに投資信託を運用している方は、自分が保有している投資信託にどのような影響があるかに注目しましょう。リスクを抑えるために、投資対象や投資のタイミングを分散することも重要です。

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