テレビ、ラジオ、動画配信も含めて様々なコンテンツの台本や脚本を執筆する放送作家&脚本家が700人以上所属する日本放送作家協会がお送りする豪華リレーエッセイ。ヒット番組を担当する売れっ子作家から放送業界の裏を知り尽くす重鎮作家、目覚ましい活躍をみせる若手作家まで顔ぶれも多彩。この受難の時代に力強く生き抜く放送作家&脚本家たちのユニークかつリアルな処世術はきっと皆様の参考になるはず! 
連載第85回は、「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」など、アニメの脚本でおなじみの清水東(しみずひがし)さん。

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買い物と居酒屋がストレス発散だった?

清水東さんの写真
清水東(しみずひがし)
脚本家、放送作家
日本放送作家協会会員

僕は若い頃から、買い物と飲み会が大好き! 買う物は洋服類、スニーカー、バッグ、アクセサリー類、オモチャ系……つまり、単なる無駄使い。物が欲しいというよりも、お店に立ち寄り買い物すること自体が楽しいのです。なので、家に帰ってから、「なんでこんなシャツ買ったんだろう」と、自分で驚くこともしばしばありました。とにかく、僕の気分転換、ストレス発散になっていたのは確かです。

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もうひとつの楽しみは、お酒です。バラエティ番組の構成を中心にやっていた時代も、アニメの脚本を書くようになってからも、ディレクターや、監督、作家仲間たちと、居酒屋で盛り上がる。それが一日のしめでした。その席で産まれた、新しい企画やアイディアも数多くありました。

それらは全て、番組の会議終わりの楽しみでした。ところが、この数年、コロナの影響で会議は全てリモートになりました。リモート会議は、確かに便利で、コロナ禍が終わった後も、続くのかも知れません。でも、もともと家に閉じこもって原稿を書く仕事。打ち合わせまで家でやるようになって、全く外に出なくなり、ストレスは溜まる一方。買い物をしている夢を見る始末です。家に居ながら、街をほっつき歩いたり、居酒屋でバカ話をしたりできるバーチャル空間も開発されているようですが、やっぱりそれでは物足りないのです。

居酒屋のイメージ
ディレクターや、監督、作家仲間たちと、居酒屋で盛り上がる。それが一日のしめだった

僕はアナログ人間

リモート会議だけでなく、ここ数年でパソコンやスマホに頼る事が増えました。スマホだけで小説を書き上げる人もいるくらいです。僕も、原稿はパソコンで打ち、スタッフとのやりとりや原稿を送ったりは、メールかLINEでやっています。ですが、大抵の場合、コピー用紙にボールペンで下書きをして、それを見ながらパソコンを打っているのです。

恐らく、手書きで書き出さないと、アイディアや台詞が出て来ない、旧式のアナログ頭脳なのだと思います。一番最初、コント作家から仕事を始めた頃は、テレビ用原稿用紙に鉛筆で書いていました。変更するときは消しゴムでゴシゴシ消して、手が真っ黒になったのを覚えています。ストーリーや構成を考える時も、真っ白なコピー用紙に、キーワードや図みたいなモノをグシャグシャ書いているうちに何かを思いつく……まさにアナログ人間なのです。流行に敏感なフリをしている人達の中にも、アナログで発想してそれをデジタルに変換している人って、意外と多いのかも知れません。

トラリピインタビュー

手描きでアイデアを具現化する
「手書きで書き出さないと、アイディアや台詞が出て来ない」という清水さん。写真はイメージです

次回は放送作家の新田哲嗣さんへ、バトンタッチ!

是非チェックしてください!

僕が主宰し、台本を書いている「劇団EASTONES」が、この3年間の沈黙を破り、復活公演を行ないます!

「股旅☆ギャングスター」
日時・2022年11月1日~6日
場所・大塚萬劇場(東京都豊島区北大塚2-32-22)

興味がおありな方は劇団サイトをチェックしてみてください!
https://www.eastones.jp/

私の主な脚本作品はこちらから

一般社団法人 日本放送作家協会
放送作家の地位向上を目指し、昭和34年(1959)に創立された文化団体。初代会長は久保田万太郎、初代理事長は内村直也。毎年NHKと共催で新人コンクール「創作テレビドラマ大賞」「創作ラジオドラマ大賞」で未来を担う若手を発掘。作家養成スクール「市川森一・藤本義一記念 東京作家大学」、宮崎県美郷町主催の「西の正倉院 みさと文学賞」、国際会議「アジアドラマカンファレンス」、脚本の保存「日本脚本アーカイブズ」などさまざまな事業の運営を担う。

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