「アクティブファンドは結局インデックスファンドに勝てない」という説がありますが、ファンドの内容や状況によってはアクティブファンドが勝つケースもあります。本記事では、実際のアクティブファンドに関する統計も紹介しながら、「アクティブファンドは本当にインデックスファンドに勝てないのか?」というテーマについて探っていきます。
- 大半のアクティブファンドが市場平均に勝てていないというデータがある
- 中には市場平均に勝ち続けているアクティブファンドもある
- 「アクティブファンドはダメ」と決めつけず、優秀なファンドを選ぶのが大切
市場平均を上回る成果を目指すのがアクティブファンド
投資信託は、運用の手法によって「アクティブファンド」と「インデックスファンド」の2つに分類できます。アクティブファンドとは、市場平均を上回る運用成果を目指すファンドです(もしくは、独自のコンセプトに基づいて市場全体の動きにとらわれない運用を行うものもあります)。つまり、アクティブファンドとは何らかの意志にもとづいて銘柄を選定して作られたファンドのことをいいます。
アクティブファンドは、TOPIXのような指数を上回る成果を出そうとするため、値動きは大きくなりやすい傾向があります。ファンドが値上がりすれば大きく利益が出ますが、値下がりした時のダメージも大きくなりやすいのがアクティブファンドの特徴です。
例えばロシア株式の銘柄を選んで投資するアクティブファンドなどは、ウクライナ危機を受けて著しい値下がりを経験しています。これは極端な例ですが、投資対象が限定的であるほど急落のリスクは高くなる傾向があります。
これに対してインデックスファンドは、指数への連動を目指して運用するため、ファンドに組み入れられる銘柄は機械的に選定されます。代表的な指数には日経平均株価やNYダウなどがありますが、連動を目指す指数が同じであれば、どのファンドも同じような値動きをします。アクティブファンドと違って運用担当者が銘柄選択を行わないので、運用コストが安いというメリットもあります。
よって、インデックスファンドは商品選びでの失敗が起きにくく、アクティブファンドほど激しい値下がりもしにくいこともあって、投資初心者に向いていると解釈されることが多いのです。
アクティブファンドは市場平均に劣るという「定説」
「積立投資ならインデックスファンドが王道。アクティブファンドはいらない」と言われることがあります。実際にアクティブファンドが市場平均に勝てないというデータも公表されています。
米国のS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが提供する「SPIVA」というデータによると、過去5年の運用実績では約7割の日本株のアクティブファンドが市場平均を下回り、過去10年で見ると8割のファンドが市場平均を下回っています。アクティブファンドはただでさえ手数料が高いのに、運用実績でも負けが多いとなると厳しく感じる人が多いのはうなずけます。
ただし、全体の割合からいえば市場平均に勝てないファンドの方が多いですが、中には市場平均に勝ち続けているアクティブファンドもあるということも見逃せません。インデックスファンドだけで積立をしても平均値の結果しか期待できませんが、アクティブファンドには指数を上回る「超過収益」という夢があります。
大切なのは、「アクティブファンドはダメ」と決めつけるのではなく、アクティブファンドの中でも本当に優秀なファンドを探すことではないでしょうか。
成績と手数料以外に、運用方針や組入れ銘柄も確認
インデックスファンドを上回る優秀なアクティブファンドを探すには、どうすればいいのでしょうか?
アクティブファンドを選ぶ際に一番重要なのは、過去の運用実績のチェックです。似たようなテーマやコンセプトのファンドであっても、ファンドによっても実績がまったく異なるのがアクティブファンドの特徴です。
もちろん過去の実績が優れていてもそれが今後も続くとは限りませんが、ファンドの実力を測るには、やはり実績は大事です。ファンドごとの騰落率(トータルリターン)や値動きの大きさ(リスク)は必ず確認し、安定して成果が出せているものを選ぶようにしましょう。
また、運用にかかるコスト(手数料)もできれば低いものが理想的です。コストは巡り巡って運用収益にも影響を与えますので、ファンド選びの観点に「実績とコストのバランス」も加えることが大切です。
余裕があれば、資産運用会社のウェブサイトでファンドマネージャーの運用方針や、どんな銘柄が実際に組み入れられているのかも確認したいところです。なかには、違うファンドなのに組み入れ銘柄がほとんど同じで「実質的に同じ投資信託」というケースもあります。表面だけでは気付けない落とし穴を見つけるためには、中身を自分で確認するというひと手間も重要です。