現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第31回は、エアコンなど空調機の世界大手メーカー、ダイキン工業(6367)を取り上げます。

  • ダイキン工業の空調事業の売上高は世界ナンバーワン
  • 温度・湿度・気流・空気清浄の4要素を自在にコントロールする技術が強み
  • 4~9月期は大幅増収増益で過去最高。2023年3月期の業績予想を上方修正

ダイキン工業(6367)はどんな会社?

ダイキン工業は、エアコンなど空調機の世界大手です。住宅用や業務用のエアコン、空気清浄機、温水暖房機、給湯器などの空調事業のほか、冷媒ガスなどの化学事業などを手がけています。空調事業の売上高は世界ナンバーワンの規模を誇っています。

ダイキン工業は、1924年(大正13年)に初代社長の山田晁氏によって設立された大阪金属工業所として創業しました。当初は軍事用の航空機の部品などを手がけていましたが、新規事業として冷凍機と冷媒ガスの製造に取り組み、1934年には日本で初めての冷凍機「ミフジレーター」の製造を開始しました。「ミフジレーター」の語源は富士山山頂の白雪のような、という意味を込めた「三富士」と冷凍機の英語名である「リフリジレーター」を組み合わせて付けられました。

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1950年代には日本で最初のボタン一つで簡単に操作できるパッケージ型エアコンの「ミフジレーターエヤコン」を発売し、大ヒットしました。現在のエアコンはこの時代のダイキン工業の「エヤコン」が祖となっています。

1970年に大阪で開催された日本万国博覧会ではダイキン工業の巨大なターボ冷凍機を導入するなど、業務用、オフィス用途でも事業拡大してゆきました。

ダイキン工業(6367)の強みは?

ダイキン工業の強みは「温度」「湿度」「気流」「空気清浄」といった空調に重要な4つの要素を自在にコントロールする技術です。

エアコンの心臓部である「圧縮機」のモーターを的確にコントロールするための「インバーター」は温度をコントロールするために欠かせない機器です。ダイキン工業は世界で初めて空調専用のインバーターを開発しました。インバーターを搭載したエアコンは圧縮機の動作を適切にコントロールすることにより快適に省エネを実現できます。

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また、熱を効率的に運ぶための冷媒の温度のコントロール技術にも優れており、省エネ性能や細かな温度管理を実現しています。

そのほか、人に直接風を当てない気流の技術や空気中の水分を集めて加湿する無給水加湿の技術などによるエアコン、空調機の高い性能がダイキン工業の強みといえます。

空調機イメージ
環境技術を生かした製品・サービスを世界中に提供している
※画像はイメージ

ダイキン工業(6367)の業績や株価は?

ダイキン工業は11月8日に今期2023年3月期の業績予想を上方修正しました。上方修正は今期で2度目となります。為替の円安による増益効果や値上げ、コストダウンなどの効果により、売上高が前期比21%増の3兆7600億円、営業利益が15%増の3630億円を見込んでいます。

同時に発表した4~9月期の決算は売上高が30%増の2兆197億円、営業利益が15%増の2216億円と大幅増収増益で過去最高となりました。空調事業では米国やアジアでの販売が拡大しました。欧州では需要が好調なヒートポンプ式温水暖房機が伸びました。

銅やアルミなどの原材料の価格、運送費コストが上昇し、中国では上海のロックダウンなどの影響もありましたが、コストの削減や販売の強化、値上げなどでカバーしました。

11月18日の終値は22530円で投資単位は100株単位となり最低投資金額は約226万円です。投資金額が大きいため、100株以下で購入できる単元未満株の投資を検討しても良いでしょう。

ダイキン工業(6367)の株価(2018年1月~、月足)
ダイキン工業の株価チャート

株価は、週足ベースでは昨年の12月以降19000円~26000円を中心としたボックス相場が続いています。しかし、長期の月足チャートで見ると右肩上がりのきれいな上昇基調が続いています。

世界的なカーボンニュートラルの動きで、ダイキン工業の注力する高性能で省エネ性能の優れたインバーターエアコンの需要が高まっています。

また、新型コロナウイルス感染症によって新たに出てきた換気のニーズもチャンスととらえており、中国、インド、欧州、米国の各地域で事業拡大の余地があると見ています。

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