FX(外国為替証拠金取引)にかかる税金
FXとは為替レートの差を活かして利益を得る投資方法です。実際に投資をする金額の一部のみ「証拠金」としてFX会社に預けるため、少額の資金から始められます。投資をする金額÷証拠金を「レバレッジ」と呼び、日本のFX会社では最大25倍まで設定可能です。
FXの課税対象は図表5の通りです。為替が変動したときに売却して確定した「為替差益」に対しては、20.315%の税金が課せられます。
FX口座で保有する通貨ペアに金利差があるときは、保有日数に応じて「スワップポイント」が発生します。金利差がプラスのときは、通貨ペアを保有しているだけでも利益を得ることが可能です。なお、スワップポイントによる利益には、為替差益と同じく20.315%の税金が課せられます。
課税対象 | 税率 |
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為替差益 | 20.315% (所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%) |
スワップポイント による利益 |
20.315% (所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%) |
FXの確定申告の基準
以下の計算式でFXの利益を求め、給与所得以外の所得と合算して年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。正しく申告して納税しましょう。
FXの利益 = 為替差益 + スワップポイントによる利益 – FX投資にかかった必要経費
FXの損益通算の基準
FXも株式投資と同じく、損益通算や繰越控除が適用できます。FXの利益は、法律上は「雑所得」の「先物取引に係る雑所得等」に分類されており、FXと同じ分類に属する投資対象には「先物取引」「オプション取引」「CFD取引」があります。複数のFX口座で取引を行っている場合や、株の先物取引を行っている場合は、これらをまとめて損益通算や繰越控除をすることが可能です。
ただし、FXは株式や投資信託の譲渡損益とは損益通算ができません。また、暗号資産(仮想通貨)の損益も法的にはFXと異なる分類となるため、FXの損益とは損益通算ができません。
不動産投資にかかる税金
不動産投資といってもいろいろな種類がありますが、ここではマンションやアパートを所有して家賃収入を得る場合について紹介します(図表6)。
税金の種類 | 課税対象・税率 |
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所得税・復興特別所得税 | 家賃収入から必要経費を差し引いた不動産所得が課税対象。給与所得等の他の所得との合計額により税率が決まる |
住民税 | 家賃収入から必要経費を差し引いた不動産所得が課税対象。所得割額の税率は10% |
個人事業税 | 個人事業主として不動産投資を行うときは不動産所得が課税対象。控除額は290万円、税率は5% |
消費税 | 貸オフィスや貸店舗の家賃収入。税率は10% |
不動産取得税 | 取得した不動産の固定資産税評価額が課税対象。税率は土地と住宅家屋に対しては3%(※1)、非住宅の建物は4%(※1) |
登録免許税 | 登記する不動産の固定資産税評価額が課税対象。税率は新築物件が0.15%(※1)、中古物件が0.3%(※1)、土地が1.5%(※2) |
印紙税 | 不動産売買契約書を作成するときは、不動産購入価格が課税対象。ローンを利用するときは借入額が課税対象。税率は各金額によって異なる |
固定資産税・都市計画税 | 所有する不動産の固定資産税評価額が課税対象。固定資産税の税率は1.4%、都市計画税の税率は0.3% |
上記のうち不動産取得税と登録免許税、印紙税は毎年発生するものではありません。また、住宅用地に関しては、1戸あたり200m2以下なら固定資産税額は1/6、都市計画税額は1/3に軽減されます。
暗号資産にかかる税金
暗号資産とは、インターネット上で取引できる財産的価値のことで、日本円などの法定通貨に交換可能なものを指します。俗称として「仮想通貨」と呼ばれることもあります。
暗号資産は、価値が上がったときに売却すると売却益を得られます。売却益には、株式の譲渡益などと同じく所得税と復興特別所得税、住民税が課せられます。ある暗号資産を他の暗号資産に交換するときや、暗号資産でリアルな商品やサービスを購入する場合も、その時点で暗号資産の価値が購入時より上昇している場合は売却益が発生したとみなされ、課税対象となるため注意が必要です。
ただし、暗号資産の売却益の税率は、株式や投資信託、FXと同じ一律20.135%ではありません。株式やFXなどは「分離課税」の扱いですが、暗号資産は「総合課税」となっており、給与所得などと合算した金額によって税率が変わる、累進課税が適用されます(図表7)。
そのため、暗号資産の損益については、株式や投資信託、FXや先物取引、不動産所得などと損益通算することができません。
課税対象 | 税率 |
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売却益 | 給与所得などの他の所得との合計額が課税対象。所得税と復興特別所得税、住民税が発生。所得税については課税対象額によって税率が異なる。所得税の最高税率は45%。住民税の所得割額の税率は10% |
金投資にかかる税金
金投資には、純金そのものを売買する「金地金」や、少額ずつ金を購入する「純金積み立て」、金を投資対象とした投資信託「金ETF」などの種類があります。それぞれ課税対象と税率は以下の通りです。
課税対象 | 税率 |
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金地金の購入額 | 消費税10%を支払う |
金地金の売却額 | 消費税10%分を受け取る |
金地金の譲渡益 | 給与所得などの他の所得との合計額に対して所得税が発生する。税率は課税所得額によって異なる |
金投資商品の譲渡益 | 20.315% (所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%) |
金そのものを売却したときに生じた利益は雑所得となり、暗号資産の売却益と同じく、他の所得と合算して税率が決まります。ただし、金地金を所有していた期間によって課税対象額の計算方法が異なるため注意が必要です(図表9)。
所有期間 | 課税対象額 |
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5年以下 | 金地金の譲渡益 + それ以外の総合課税の譲渡益 – 50万円 |
5年超 | (金地金の譲渡益 + それ以外の総合課税の譲渡益 – 50万円) × 1/2 |
一方、金投資口座や金貯蓄口座などで取引している純金積み立てや金ETFの場合は、譲渡益に対して20.315%の税金が発生します。また、金ETFについては、税制上は株式と同じ扱いなので、株式や投資信託と損益通算ができます。
実はお年玉にも税金がかかる!?
お年玉は、社会通念上相当であると考えられる金額であれば贈与税の課税対象外です。親戚や知人が多く、合計額が110万円を超える場合でも、1人から受け取る金額が社会通念上相当と考えられるものであれば、贈与税は課せられません。
しかし、1人から数十万円をお年玉として受け取ったときは、社会通念上相当とはみなされないこともあるので注意が必要です。このようなケースでは、1年間に受け取った金額が110万円を超えると贈与税が課せられる可能性があります。
まとめ
投資の種類によって、かかる税金の種類や計算方法が異なります。特に、損益通算や繰越控除の仕組みや、損益通算ができる金融商品の組み合わせを知っておくことは、節税を考えるうえではとても大事です。
NISAやつみたてNISA、iDeCoなどの非課税制度を利用したり、確定申告で忘れずに損益通算や繰越控除の手続きをしたりすることで、投資にかかる税金の支払いを減らしながら、より良い資産形成を実践していきましょう。