複数のアセット(資産)に分散投資をするバランス型ファンドにはどのような運用タイプがあるのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの恩田雅之さんが解説します。

  • 資産配分均等タイプは、4資産に25%ずつなど、配分比率を均等にして投資する
  • 資産配分固定タイプは、「安定型」「積極型」などアセットごとの配分比率が異なる
  • 資産配分変動タイプは、リスク水準の見直しを定期的に行い、資産配分比率を変える

2つの投資形態

今回は複数のアセット(資産)に分散投資をするバランス型ファンドの運用タイプについて紹介します。最初にバランス型ファンドの仕組みについて見ていきます。

バランス型ファンドは、株式や債券、リート(不動産投資信託)など複数の資産に分散して投資
を行うファンドです。運用形態は「ファミリーファンド方式」が多く、ファミリーファンド方式の場合は下図のようにマザーファンドを通して、株や債券など個別の資産に投資を行います。マザーファンドの数や種類は、ファンドにより異なります。

バランス型ファンドの仕組み

バランス型ファンドの運用タイプ

1.資産配分均等タイプ

資産配分均等タイプは、ファンドが投資をするマザーファンドごとに配分比率を均等にして投資を行います。例えば、国内外の株式と債券に投資をするファンドでは、4つのアセットに投資をすることになりますので、それぞれの資産に25%ずつ投資します。

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資産配分均等タイプ

国内株が値上がりし、国内株マザーファンドの純資産総額が増え比率が25%を超えた場合、増えた部分を売却し、比率が低下した資産を買い増し、各マザーファンドが25%(均等)になるようリバランスを行います。リバランスを行うことで過度なリスク(株式の比率高め)を取ることや、リスクの取らな過ぎ(債券の比率高め)を調整します。

ちなみに、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は年金積立金を上のグラフの配分で運用しています。

基本ポートフォリオの考え方(年金積立金管理運用独立行政法人)

資産均等タイプには、上の図にあります4資産に国内、海外のリートを加えて6資産にしたり、海外株式と海外債券を先進国に新興国に分けて8資産にするファンドなどがあります。

一般的に資産均等タイプの場合、投資する資産が増えると債券の投資比率が下がるため、価格変動などのリスクは高くなります。

2.資産配分固定タイプ

資産配分固定タイプは、アセットごとの配分比率をリスク許容度などに応じて変更した複数のファンドで構成されています。投資家はご自身のリスク許容度を考えてファンドを選ぶことになります。

債券の比率が高い「安定型」、債券の比率が50%、株式とリートを合わせた比率が50%の「標準型」、株式とリートの比率が50%を超える「積極型」などでリスク度合いによって商品分類されています。安定型、標準型、積極型など呼び方は、一例として挙げていますので、各商品より呼び方は異なります。

以下のグラフはぞれぞれの型の一例になります。

安定型の資産配分
標準型の資産配分
積極型の資産配分

資産配分固定タイプは、資産の種類が増えることによって安定資産にあたる債券の比率が下がることがなく、選択する型(安定型、標準型、積極型)にもよりますが、資産比率均等タイプに比べ価格変動などのリスクを抑えることが期待できます。

ファンドごとに投資する資産や比率が異なりますので、投資信託説明書(交付目論見書)でよく確認することが必要です。

3.資産配分変動タイプ

資産配分変動タイプは、各資産の期待収益率や一定期間の価格変動率など基づいてそれぞれのリスクに応じた最適なアセットごとの比率を算出し、その比率に応じてマザーファンドに投資をしていくタイプになります。

経済環境や市場環境により各アセットの期待収益率や価格変動率は違ってきますので、年1回または年2回のリスク水準の見直しが行われ、それに伴い資産配分比率が変動します。見直しの回数は、商品により異なります。

上記2つのタイプのように、各アセットの資産配分を予め決めてその比率で運用し、値上がりした資産を売り、その資金で値下がった資産を買うことで、元の比率へリバランスを行いながら、運用を継続していくタイプとは異なった運用方法です。

ファンドの商品構成はリスク水準(リターンのばらつき)の程度によって、ローリスク・ローリターンのものから、ハイリスク・リスクのものまで、リスク水準によって、いくつかラインアップされています。投資家はご自身のリスク許容度を考えて商品の選択をします。

また、資産配分変動タイプは、購入当初の資産配分比率とは異なる配分比率になる点に注意が必要です。

期待リターンとリスクのイメージ

以上、バランス型ファンドの3つの運用タイプの違いについて見ていきました。バランス型ファンドへの投資を検討する際に参考にしていただければ幸いです。

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