宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。今回のテーマは、前回に続いて「経済的自由」。金融リテラシーやお金に関するスキルを、働くことを通じて得るためにはどうすればいいのか、小田さん自身の経験をもとに考えていきます。

  • 経済的自由を目指すなら、働くことを通じて金融リテラシーやスキルを学びたい
  • さまざまな仕事の経験から、お金に関する幅広い学びを得られた
  • 仕事からの学びは、ほかの「お金に余裕をもたらすための行動」にもつながる

経済的自由を目指すなら、働くことを通じて勉強する

【質問】
自分の友人ですが、最近お金の使い方がハッキリとわかるぐらい余裕があります。何かあった? 理由を聞いたら、相談できる人ができたからだよ!という回答。楽観的な答えに驚きました。どうしたものでしょうか?

前回は「金融リテラシー」について基本的な考え方を解説していきました。何も金融商品(もしくはNISA、iDeCoなどの制度)でのお金儲けのために、金融リテラシーを身に付けるわけではありません。「お金持ちが知ってること」を我々が知らないと、どれだけ経済的に損をしてしまうのか? それを知ることが、いかに大事であるのか? ぜひ理解していただきたいと思います。

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経済的自由への最初の一歩は「金融リテラシー」

前回は、「お金に余裕をもたらすための行動」に順番を付けました。今回からも、このステップについて順次説明していきます。

①最低限の金融リテラシーを身に付ける
②お金について勉強するために働く
③お金のことを相談できる人を見つける
④自分のために働く
⑤お金を創り出す
⑥働いて得たお金を回してあげる
⑦そのお金を社会に還元する

前回は①を中心に説明しましたが、今回は次のステップである「②勉強するために働く」について解説していきます。

「勉強するために働く」、これは言葉で表すのは非常に難しいことです。昔からの一般的な考えとして、人は安定した職種で働き、仕事の安全を優先させることに注視するはずです。これが「稼ぐために働く」の根拠となります。しかしこれでは、「生活する収入を得るために、必要以上に長期間働いている」というネガティブな考え方しか湧いてきません。これでは老後の経済的余裕を生み出す資産を創り出すことができません。

現在では、経済的自由を享受したいのならば、お金を得るために働くのではなく、お金に関して何かを勉強するために働くと考えるべきなのです。誰かのために働いて得られるスキルは、自分の将来に必ず帰ってきますが、自分のためにも働くようにならなければ、お金の価値は高まらないし、お金はなかなか増えていきません。それでは、今自分が働いている行動に、はたしてどれくらいの意味があるのか? 現在の仕事を通じて、金融リテラシーや運用スキルを構築できているのか? 実際のところ疑問は増幅されるだけで、このままでは解決できるすべがありません。

仕事を通じて得られたお金の知識とスキル

そこでここからは、私自身がたまたま体験してきた仕事と照らし合わせていきながら、「ふ~む!こういうことか~。こうなり得るんだなぁ」と、漠然でいいので感覚を得てくれればありがたいです。この経験が正解ではありませんが、参考にはなるはずですので、確認いただければ幸いです。

恥ずかしながら履歴書みたいになってしまいますが、私は義務教育が終了すると、関東へ働くことを選び、宮崎から上京しました。

A. 一部上場企業(製造業)設計課で働く
 ※3年間勤め宮崎に戻ります
B. 小企業(製造業)設計課で働く
C. 病院(個人病院59床)総務部の事務で働く
D. 中企業(販売業)
E. 自営業(保険代理業)
F. 小企業(保険代理業)

という経歴となっています。製造業、医療業、営業と、転職をしながら働く日々でした。今思えば、これが「勉強するために働く」の一歩だったと思います。

A・Bの製造業では、設計に携わることで顧客との打ち合わせを何度も繰り返し、相手側とコミュニケーションを取ることができました。2・3交替制も経験し、業態も理解できました。

Cの病院では総務管理課で給与計算を行い、労務や銀行との関わりの中でお金の貸し借りにも携わり、さらに確定申告のため税理士との相談や関わりなど、多くの学びを働くことで経験できました。時に個人病院であったため、法人との違いなども知ります。このときが、社会の流れの全般の基礎が頭に入っていった時期となります。さらに病院内の保険管理もしていたことから、保険に詳しくなったことも今に至ります。

そして、税理士事務所で働く方に親身になって教えていただき、その方がアパート経営をやられていたことも、自分の身になっています。Eの保険代理業で、個人から法人へと自力で立ち上げたのも学びの一つ。経済的自由を得るための絶対条件とも言えるスキルを得られました。具体的なスキルとして、

  • コミュニケーション能力
  • 物事を決断できる能力(リーダーシップなど)
  • 財務諸表の理解と知識

が重要だと個人的に思っています。

「お金に余裕をもたらすための行動」も日々の仕事から

最初に挙げた「お金に余裕をもたらすための行動」の順番の中で検証してみると、③「お金のことを相談できる人を見つける」は、私にとっては税理士事務所の担当者でした。④「自分のために働く」とは、働きながら日々の出費を抑え、借金を減らしながら、自分で所有することにあります。私の場合は株式、投資信託、不動産などを所有しました。

⑤「お金を創り出す」。例えば不動産所有であれば、おんぼろ物件を手に入れてリフォーム工事して貸し出す。数年後に売却し、売却益を得る。お金を創り出すために、お金を低金利で借りて、賃貸で家賃を回収し返済終えたら売却する、ということをしました。④は所有すること、そして⑤は所有したものを次のステップに引き上げるという考えになります。これらを最初から、当たり前の行動としてなかなかできるものではありませんが、上記のスキルを身に着けると可能になります。

⑥「お金を回してあげる」。例えば、タンス預金などの使わないお金(普通預金の高額残高を含む)などを、これまでのデフレ経済の低金利での運用から、これからのインフレ経済への金利収入を期待する運用に移行してあげるなどの方法です。⑥の手段としては、

  1. 経済状況にあったお金の預け先を考える
  2. 経済のために消費してあげる

などがあります。お金を使えば損をするだけではなく、使った分だけ得もすることも意識していくと、感覚がポジティブになるものです。

そして最後に⑦「お金を社会に還元する」。還元にはいろいろな意味合いがあります。「儲かったら寄付もしなさい」と、言葉で言ってしまえば簡単ですが、実際にお金を社会に還元できる人は、お金の使い方を知っている人ともいえます。多額か少額かはありますが、税法上の寄付控除もあるように、私たちも、ふるさと納税などによって、少なからず還元できています。

今回は私の長きにわたる働き方を参考として、経済的自由に近づくための方法について述べてきました。何気ない日常の中でも、お金について意識していくことで、経済的自由のヒントを見つけられるのかもしれません。

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