32年ぶりの円安。やはり、この機会を逃したくはない
報道などによれば、32年ぶりの円安らしいですね。日本銀行の金融政策も気になりますが、現政権は臨時国会を開催し、補正予算を組むことを検討しているそうです。もし、その補正予算の財源が国債ということになれば、(国債の発行額にもよりますが)円の価値はますます下落する可能性があります。
20年先、30年先という長い時間軸ではなく、数年先、長くても10年くらいの運用でしたら、ドル運用も選択肢になり得るかもしれません。とはいっても、未知の未来のことですから、そこは自己責任でご判断ください。
「腐っても鯛」と言ったらお叱りを受けそうですが、今も昔も、世界一の経済大国がアメリカであることには変わりありません。数十年先のドルの価値は別にして、数年先を見据えたドル運用でしたら、ドル建て生命保険以外の選択肢がいくつもあろうかと思います。そもそもドル建て生命保険は「数年先」という時間の運用には向きません。
例えば「ドル預金」という選択肢
例えば、ドル建て定期預金。
つい1か月ほど前のことでしょうか? 三井住友銀行は、1年物のドル定期預金の金利を(税引き前)5.30%としました。
ソニー銀行は6か月物のドル定期預金が何と(年利)9.00%!しかも、100万円以上預けると5,000円の現金をプレゼントとか。
ご覧いただいて心が揺れた方、ご自身の責任と判断で選んでくださいませ。筆者は、これらの金融機関に頼まれて書いているわけではありませんからね。ドル建て預金は預金保険の対象外ですからね。
ところで、1年経って「今よりも円高になり、利息でもリカバリーできず、為替差損が出たらどうしようか?」……当然、そうした想定もしておくべきでしょう。
例えば1年後は、ドル預金を始めた時に比べれば、預け入れた元本に利子が加わった額が新たな元本になります。そして、その新たな元本で同じ金融機関のドル預金に預け替えるのです。少なくとも円高に伴う為替差損が生じることはありませんし、新たな元本で1年間、ドル定期預金を組めば、さらに利息が加わります。
なお、先ほど、ドル建て預金は預金保険の対象外と申し上げましたが、他に留意すべきこととして、利息は20.315%の源泉徴収税が引かれます。解約できるのは満期のみというドル建て定期預金もあります。
為替の動向を見極めながら、ドル建て預金を円に換えたいということでしたら、ドル建て普通預金になろうかと思われますが、ドル建て普通預金はおそらく、期待するほどの高金利ではないと思われます。
また、円⇒ドル(TTS)やドル⇒円(TTB)の為替手数料も含めて、為替の差益・差損を計算する必要があります。なお、為替差益は雑所得です。
雑所得は、お勤めの方ですと、給与所得と雑所得を合算して納税額を計算しますので、場合によっては所得税や住民税の税率が上がってしまうかもしれません。もっとも、他に確定申告する用件がなく、雑所得が20万円以下でしたら、雑所得を申告する必要はありません。
という具合に、ドル預金という選択肢をご検討の方は、視野に入れておくべきことがある点をお忘れなく!
まとめに代えて
現政権が国債を財源に補正予算を組み、日本銀行の金融政策に変化がなく、アメリカの経済や金融にも大きな変化がなければ、むしろ、円安がますます加速するのではないでしょうか?
本稿では、「ドルの価値の下落」と「32年ぶりの円安の機会を逃したくない……短期の運用としてドル定期預金」を取り上げました。数年先も数十年先も、いずれも未知の未来です。しかし、日本で働き、日本に住む、それらの選択を変えない限り、自己責任と自助努力が求められ続けるという点が、今後、ますます強まっていくのは、確実な未来といえるのかもしれません。
いずれにせよ、自国の総理に「増税メガネ」という綽名を付けることが許されてしまうとは、私たちも良い国に住んでいますよね。お隣の2つの大国でしたら、タダでは済まないでしょう。その良い国に住み続けるための対価としての自己責任と自助努力だとしたら……それもまた、やむを得ないことなのでしょうか?
補正予算を組み、減税が実現し、私たちの暮らしが上向けば、その時こそ「減税イケメン」と呼んであげることにしましょう。