テレビ、ラジオ、動画配信も含めて様々なコンテンツの台本や脚本を執筆する放送作家&脚本家が700人以上所属する日本放送作家協会(放作協)がお送りする豪華リレーエッセイ。ヒット番組を担当する売れっ子作家から放送業界の裏を知り尽くす重鎮作家、目覚ましい活躍をみせる若手作家まで顔ぶれも多彩。この受難の時代に力強く生き抜く放送作家&脚本家たちのユニークかつリアルな処世術はきっと皆様の参考になるはず!
連載第145回は、ファイナンシャルプランナーや寺の住職という肩書を持つ構成作家、高橋泰源さん。

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そもそもどんなお墓が?

高橋泰源
高橋泰源
構成作家
日本放送作家協会会員

筆者の本業は埼玉県南部にある寺の住職である。法律的に言うと、宗教法人の代表役員、である。今回は、多少なりとも墓所を所有し、個人的に保有しているファイナンシャルプランナー資格も活かして檀信徒その他の皆様の終活系の相談に乗っている身として、墓所に関する最新事情を、お金の話も交えながらお知らせする。

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<個人墓>

一般的に「お墓参りをする」といった場合に思い浮かべるのが「○○家之墓」と大きく彫られた墓石を中心とする、1メートル四方程度(地域や経営主体によって差異あり)のエリアの墓所。ご先祖から継承しているこのタイプの墓地を守っておられる方も多いと思う。昨今はお子さんが女子しかおらず、結婚相手の姓に変わっても結婚前の姓の「○○家」を継承する例も増えているが、まったく問題ない。むしろ問題は子がいない、孫がいない、遠方である、住職との相性がどうも、といった理由で、当該墓所から遺骨を取り出し、墓所を閉じたい、という、いわゆる「墓じまい」の必要性である。後述する。

さて、新規購入の場合は、墓地永代使用料については霊園、自治体、寺院と購入主体によって、あるいは地域によっても相場が異なるので、新聞の折り込みチラシやweb検索等で居住地域近くの墓所をリストアップし、必ず現場に足を運び墓地管理者と直接話をしたうえで購入の判断をしていただきたい。その際に、「以前に誰かが墓所として利用していたが現在は空いている区画」が、多くの墓所には存在する。

この「空き墓所」に関しては、外柵・卒塔婆立て・カロート(地中の納骨スペース)をすべて撤去し、完全な更地にして購入希望者さんに提示する場合(画像①)と、墓石のみ撤去し外柵その他をクリーニングして提示する場合(画像②)がある。

画像①
更地にした空き墓所のイメージ外柵・卒塔婆立て・カロート(地中の納骨スペース)をすべて撤去し、完全な更地にした空き墓所
写真:高橋氏提供
画像②
墓石のみ撤去した空き墓所のイメージ
墓石のみを撤去し、外柵その他をクリーニングした空き墓所
写真:高橋氏提供

<永代供養墓>

永代供養墓はざっくり言うと「管理者が未来永劫墓所の管理と供養を行い、墓地所有者に墓参や供養の負荷を求めない墓」である。

野外型・屋内型(納骨堂と呼ばれることも多い)などに分類される。
通常、骨壺のまま十三回忌、あるいは三十三回忌まで保管され、その後遺骨は墓地管理者の手によって合祀(土のスペースに撒くこと)されることが多い。納骨の時点で合祀される方式を選ぶこともできる。

ランニングコスト(年間の維持管理費)は発生しないことが多いが、都市部の屋内型納骨堂形式の永代供養墓はコンピューター制御を行っているところも多いため、年間5,000~10,000円程度の維持管理費を求められることも多い。

<樹木葬墓地>

読んで字のごとく「墓石の代わりに樹木をモニュメントとし、その周りに遺骨を納める形式の墓地」である。樹木は墓石よりも安いので、一般の個人墓よりも価格は安い。その多くは先述した永代供養形式(継承の義務が生じない)の墓所であるが、必ずしもすべての樹木葬墓地が永代供養形式とは限らないので、リサーチ時、見学時にしっかり確認しておきたい。

お墓と青空お墓を新規購入する場合は、必ず現場に足を運び墓地管理者と直接話をしたうえで購入の判断をすること

海洋散骨、墓じまい……さあどうしよう?

<海洋散骨>

こちらも最近流行の兆しが見えている。海に出て予め決められた場所に遺骨を撒く方式で、船に乗らずに業者に一切を任せるコースであれば遺骨を細かく砕く費用も含め10万円を切る価格で提供されている。注意点としては業者が乱立気味で信頼性に疑問符がつく業者もいるので、極力先方の事務所に出向いて直接話を聞くこと。また全部の遺骨を撒いてしまうとあとから取り返しがつかないので、一部は残して専用の容器に入れ、手元で供養を行うことをお勧めする。

<墓じまい>

さて、先に述べた理由で「墓じまい」を検討する場合、まずは現在の墓所の管理者に、「承継者が居ないので」とか「遠方なので」とか、理由を添えて、離檀費用(離檀料、プラス墓石の撤去費用、読経料など)について打診する。離檀料について、筆者の知る範囲においては各宗派とも取り決めは存在しない。ごくまれに「遺骨一体につき100万円」などと想定外の離檀費用を提示してくる管理者もいるという噂がネット上等で聞かれるが(あくまで噂です)、万一そのような管理者に当たった場合は何度か話し合ったうえで、それでも埒が明かなければ「その金額は墓地管理規約に明記してありますか?」「消費生活センターに聞いてみます」「知り合いの法律家に確認します」などといった対応をしてみるのも一つの手であろう。

離檀料の確認と並行して、新規墓所を探す作業も行う。候補としてはここまで述べた通り、

1)居住地近くの個人墓(一般墓・樹木葬)
2)永代供養墓(室内型・野外型・樹木葬)
3)海洋散骨

が主な選択肢になる。コスト面で優位なのは永代供養(特に野外型)、あるいは海洋散骨である。これらの方式を選択すればのちのちの供養からも解放される。ただし家族の供養は「お金が全て」ではない。我々が子どもの頃、有無を言わさず親や祖父母にお墓参りに連れて行かれ、墓石を拭いて花や線香を供え、手を合わせたことは、我々の人格形成に決して無駄な所作ではなかったと思う。

お墓の掃除をする女の子のイメージ
お墓参りや法要の習慣を、後の世代に伝えていっていただきたい

特にお子さんお孫さんなどの継承者のいる方は、できれば個人墓を取っていただき、彼岸や盆のお墓参り、また三回忌、七回忌、十三回忌等の年回法要を実践した上で、その習慣を後の世代に伝えていっていただきたいと、個人的には思う。

事務手続きについては改葬先の墓所がある市町村のwebサイトを参照した上で、墓地管理者に確認をしていただきたい。

*墓所に関する考え方や状況は地域や宗派によっても大幅に異なる。今回ご紹介した内容はあくまでひとつの情報としてとらえ、ご自身でこまめにご近所の寺や墓所を訪ね、疑問点は納得いくまで担当者(住職や霊園管理者)にご確認いただくようお願いします。

次回は西川司さんへ、バトンタッチ!

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一般社団法人 日本放送作家協会
放送作家の地位向上を目指し、昭和34年(1959)に創立された文化団体。初代会長は久保田万太郎、初代理事長は内村直也。毎年NHKと共催で新人コンクール「創作テレビドラマ大賞」「創作ラジオドラマ大賞」で未来を担う若手を発掘。作家養成スクール「市川森一・藤本義一記念 東京作家大学」、宮崎県美郷町主催の「西の正倉院 みさと文学賞」、国際会議「アジアドラマカンファレンス」、脚本の保存「日本脚本アーカイブズ」などさまざまな事業の運営を担う。

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