知っておきたい資産運用のキホン【第109回】 月10万円に増額！ クレカ積立のメリットと注意点

2024年3月8日に金融商品取引業等に関する内閣府令が改正され、クレジットカードによる積立投資（クレカ積立）の上限額が、従来の月5万円から10万円に変更されました。それにより、新NISAのつみたて投資枠の年間上限120万円までを、クレカ積立で投資できるようになりました。本記事では、クレカ積立のメリットと注意点について見ていきます。

• クレカ積立は、クレジットカードを利用して投資信託などで積立投資を行う投資方法
• 証券口座への入金の手間が省けるうえ、投資をしながらポイントが貯まるメリット
• 遅延損害金や遅延情報の記録などのペナルティを避けるために引落口座の管理が必要

クレカ積立とは？

クレカ積立とは、クレジットカードのショッピング枠を活用して、投資信託などで積立投資を行う投資方法です。

投資商品を扱っている全ての金融機関がサービスを提供しているわけではなく、現在では一部のネット証券などがサービスを提供しています。支払方法は1回払いのみで、分割払いやリボ払いの利用は不可です。
また、対応しているクレジットカードや、買付額の下限金額（100円～、1,000円～など）は、証券会社により異なるため、事前確認が必要になります。

クレカ積立を利用すると、一般のショッピング利用と同様にポイントが付与されます。

一部の証券会社などでは、ショッピングなどでクレジットカードを使うのと同じ感覚で、投資信託などの積立投資もできる

以上がクレカ積立の概要です。

クレカ積立のメリットとは？

クレカ積立の主なメリットは以下の3点です。

1番目のメリットは、投資信託などの定期的な購入をクレジットカードで行うため、証券総合口座の残高不足により買付ができないというリスクを回避できることです。

2番目のメリットは、通常の証券総合口座では、事前にATMやネットバンキングで投資資金を入金する手間と時間がかかりますが、このような手間を省くことができ、タイムパフォーマンスが向上する点です。

3番目のメリットは、利用したカードにポイントが貯まる点です。また、証券会社によっては獲得したポイントを投資資金に利用できるところもあります。

ポイント還元率は、カードの種類や毎月の積立金額などで異なりますので、事前に証券会社のホームページで確認し、自分に合ったところを見つけるようにしましょう。

クレカ積立の注意点とは？

クレカ積立の主な注意点は、以下の3つです。

1番目の注意点は、クレジットカードの利用限度額を超えていなければ、確実に投資信託などの買付が行われるため、毎月のカードの支払日前には銀行の引落口座の残高確認や、必要額に応じた入金が必要になる点です。

2番目の注意点は、銀行の引落口座の残高が不足していて引き落としができない場合に、遅延損害金が発生する点です。
それを防ぐ方法として、引落日が給料日直後に設定されている証券会社のクレカ積立を選ぶことや、給料が振り込まれる口座を引落口座に設定するなどの対策があります。

3番目の注意点は、支払いが遅れると信用情報機関に遅延情報が登録され、その情報が他の金融機関から参照できる状態になる点です。その場合、新たなクレジットカードの発行や各種のローンの申し込みが通りづらくなるなど、悪影響が発生する可能性が高くなってしまいます。

口座の残高が不足していて積立投資の支払いが遅延してしまうと、ペナルティが発生してしまう

まとめ

以上、クレカ積立の概要とメリットや注意点について見てきました。

クレカ積立は、証券総合口座に入金する手間がいらずに確実に積立投資ができ、さらにポイントも獲得できるメリットがあります。しかし、クレジット会社への支払い遅延を起こすと、遅延損害金の支払いや信用情報に登録されるなど、ペナルティも発生します。

クレジットカードは、ショッピングなどの代金の支払いをクレジットカード会社に肩代わりしてもらう仕組みです。クレカ積立もその仕組みは変わりません。
クレカ積立の利用に際しては、ご自身の余裕資金の金額を考え、無理のない範囲で月の上限額を設定するようにしましょう。