宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。今回も前回に引き続き、株式投資のテクニカル分析を学びます。今回は株価の値動きを示す「ロウソク足」からどんなことが読み取れるか、どのように売買のタイミングを判断すれば良いかを考えていきます。

  • 株式投資は買うタイミングも重要。「時を買う」という割り切りが成果を生むことも
  • 株価の動きを表すロウソク足は投資家の心理も表す。上ひげは売り優勢の相場
  • ロウソク足の空白=「窓」から相場の転換点と「買い場」を探る

株は「買うタイミング」でその後の成果が変わる

【質問】
NISAを使ってネット証券で積立投資を始めて3年で、お金が少し増えてます。これだったら、残りのNISA枠で米国などの株を買えば、まだまだ増えていくのかと思うのですが、この考え方間違っていますか?

今回も前回に引き続き、米国株について考察していきます。

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米国株投資で重要な為替の影響と株価トレンド

前回はテクニカル分析の中でも、トレンドラインの見極めと、トレンドラインが転換する兆候などを見ていきました。
初心者が株を買う際に肝に銘じておかなければならないのは、「買うタイミング」です。

会社の株式を買うのには、経営者が有名だからとか、絶対つぶれないからとか、理由があるでしょう。しかし、ある程度のキャピタルゲイン(値上がり益)を狙うのであれば、「いつ買うか」によって、損益に大きな違いが出てきます。会社を買うより「時を買う」と割り切った感覚の方が、成果をもたらすことがあります。

時を買うとは、「買うタイミング」を選ぶことです。一流企業の株を買ってみたいと思ったけれど、タイミングを見誤って高い値段で買ってしまうのは、株式投資でよくある失敗です。

買うタイミングを見るにあたっては、前回のトレンドラインに加えてもう2つ、「ロウソク足」「移動平均線」を理解できるとたいへん参考になります。
チャート分析にトレンドライン、そしてロウソク足などを読み解くことができれば、今は買いたい銘柄の「買い」のチャンス、あるいは保有する銘柄の「売り」のチャンスなのか、あるいは今は待ったのが良いのか、という判断基準となります。

トラリピインタビュー

折しも日経平均株価は7月11日に4万2000円を超えて、翌日には急反落して窓を空けて下落しています。このシグナルが指す意味とは? いよいよ下落相場の始まりなのかどうか? この時点で、主にロウソク足を中心にチャート分析を理解していると、次に何をしていけば良いのか、だいたいの判断をすることができます。

例えば半導体銘柄の日本株であるルネサスエレクトロニクスは、日経平均株価チャートと同じようなトレンドとロウソク足が出ていますので、非常に参考になると思います。

株価の動きと投資家の心理を表す「ロウソク足」

今回からはルネサスエレクトロニクスのチャートを見ながら、ロウソク足と移動平均線について解説して、チャートの行方を見ていきます。
まずは「ロウソク足」について解説します。

ルネサスエレクトロニクスも、7月11日に高値となりましたが、翌日には窓を空けて急反落しました。25日は1日で14%弱も下落しています。ルネサスの株式を運用していれば1日で大きく資産価値が下がったことになりますが、これが株式投資の怖さでもあります。

それでは本題に戻りますが、ロウソク足とは字のごとく、株価の動きをロウソクのような記号で表現したものです。
1日の株価の動きを表したものが「日足」、1週間を表したものが「週足」、1カ月を表したものが「月足」と言います。

【図表1】ロウソク足の見方
ロウソク足の見方

ロウソク足の作り方は市場の始値(寄付き)と終値(引け値)で矩形を書き、その上下に高値と安値を直線で引きます。ちなみに高値と安値を表す線を「ひげ」あるいは「影」と言いますが、重要なのは始値と終値の位置です。

株価が上がって、終値が始値より高くなる場合と、逆に株価が下がって終値が始値を下回る場合があります。ロウソク足では、終値が始値より高い場合(株価上昇)を「陽線」、低い場合(株価下落)を「陰線」と言います。一般的に陽線は白抜き、陰線はベタ黒で表します。
始値と終値が同じときには矩形ではなく横線だけになり、高値か安値が始値あるいは終値と同じ株価のときには、ひげはありません。

ロウソク足は投資家の心理状態を反映されたものとも言え、陽線と陰線、そしてひげをつけることで、売買に参加している投資家の行動を読み取ることができます。上ひげは売り優勢の強さを表し、下ひげは買い優勢の強さを表しています。陽線は長いほど買い勢力が強く、陰線は反対に長さが売り勢力の強さになります。特に出来高が高い(売買量が多い)株については、移動平均線とロウソク足をセットで見ることにより、多くの情報を仕入れることができます。

ロウソク足の「窓」に注目

【図表2】ルネサスエレクトロニクス(6723)の株価
ルネサスエレクトロニクス(6723)の株価

ルネサス株で当てはめると、11日に高値を更新する際に「窓」と言われる隙間を空けています。そして翌日には、また「窓」を空けて下落と矩形が離れ小島のようになって、上に長いひげも出ています。
これはロウソク足で言えば、目先の天井を付けた「アイランドリバーサル」という下落のサインとなります。

また、25日までの下落に3つの「窓」=「3空」がありますが、この「3空」は株価が転換するサインです。したがってそろそろ反発もあるかとも考えられますが、一旦急落すると相場の戻りは時間がかかるものです。

「窓」の意味は、終値と翌日の始値の間にできた価格の空白部分のことです。一般的に「窓」が空いた時、株価は「窓」を埋めようとする傾向にあります。しかし、重要なのはそこが抵抗線(上値を抑える線)や支持線(下値を支える線)になることです。

今回の下落のケースで考えると、損失の恐怖で株を手放し、売りが一巡して落ち着くことで、自然と株価も反発して「窓」は埋まります。しかし、株を以前から持っていた投資家の心理は「戻ったら売りたい」であり、さらに株が売られる結果となります。そこが株価の抵抗線となり得るのです。この抵抗線を上抜けば支持線となり、上昇サインともなってきます。

「窓」も必ず埋めるとは限らないので注意は必要ですが、どうでしょうか。今回の私の考えを言うと、ルネサス株は、下落によって買い場も出現してきた。ただ買い場も時期尚早かもしれず、戻るには時間がかかるかもしれません。焦りは禁物です。

あとは出来高と、支持線の抜けを視ながら買うタイミングを図りたい、となると思います。同じことが日経平均株価にも出ていますので、日本株に投資する際の参考になります。

次回は、移動平均線について考えます。

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