この記事では、米国「S&P500」や「NYダウ」などの指数を算出しているS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスと、「MSCI World Index」や「MSCI ACWI Index」などの指数を算出しているMSCIが開発した「GICS」(世界産業分類基準)を参考に、株価指数の業種(セクター)の分け方とセクターごとの特徴について説明します。

  • 世界産業分類基準(GICS)では企業を11セクター、25の産業グループに分類
  • 投資信託のレポートでは、セクターや産業グループ別の投資比率を掲載している
  • 「景気に敏感かどうか」などの基準で、業種別比率をファンド選びに活用する

ファンドを選ぶ時は業種ごとの投資比率に注目

株式指数(インデックス)は、数多くの銘柄の時価総額や株価から算出されています。
日経平均株価は225銘柄、米国S&P500は500銘柄、先進国の銘柄を対象にしたMSCI World Indexが1,429銘柄、TOPIX(東証株価指数)は2,132銘柄、先進国と新興国を対象にしたMSCI ACWI Index(オルカン)が2,757銘柄になります(銘柄数は、2024年8月末現在)。

NYダウは30銘柄で構成された指数なので、一般の投資家の方でも個別銘柄の状況を確認することは可能ですが、それ以外のインデックスでは、個別銘柄ごとの確認は難しいでしょう。
その場合、銘柄ではなく比較的同じ値動きをする業種の投資比率に注目すると、そのインデックスに連動している投資信託の特徴を知ることができます。

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S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスとMSCIが開発した世界産業分類基準(GICS)とは

S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスとMSCIが開発した世界産業分類基準(GICS)では、セクターを11に、産業グループを25、産業を74、産業サブグループを163に分類しています。

世界産業分類基準(GICS)のセクターと産業グループの分類は、下表の通りです(2024年9月22日時点)。

セクター
(11セクター)
産業グループ
(25グループ)
エネルギー エネルギー
素材 素材
資本財・サービス 資本財/商業・専門サービス/運輸
一般消費財・サービス 自動車・自動車部品/耐久消費財・アパレル/消費者サービス/一般消費財・サービス流通・小売り
生活必需品 生活必需品流通・小売り/食品・飲料・タバコ/家庭用品・パーソナル用品
ヘルスケア ヘルスケア機器・サービス/医薬品・バイオテクノロジー・ライフサイエンス
金融 銀行/金融サービス/保険
情報技術 ソフトウェア・サービス/テクノロジー・ハード/半導体・半導体製造
コミュニケーション・サービス 電気通信サービス/メディア・娯楽
公共事業 公共事業
不動産 エクイティ不動産投資信託(REIT)/不動産管理・開発

また、個々のファンド(投資信託)のレポートでは、セクターの比率を掲載しているところ、産業グループの上位10業種を掲載しているところなど、ファンドにより違いがあります。

セクター別投資比率の例
セクター別投資比率の例
産業グループ別投資比率の例
産業グループ別投資比率の例

セクターごとの特徴について

ここでは、セクターごとの特徴について見ていきます。
セクターは、景気に敏感なセクターと、景気動向に左右されにくいディフェンシブなセクターに大きく分類されます。

景気に敏感なセクターの代表的なものとして、以下が挙げられます。

  • 石油や天然ガスなどの「エネルギー」
  • 化学や鉄鋼、繊維など「素材」
  • 設備投資関連の「資本財・サービス」
  • 自動車や耐久消費財、レジャーなどの「一般消費財サービス」
  • 半導体、半導体製造装置、ソフトウエアなどの「情報技術」

景気動向に業績が左右されづらいセクターの代表的な業種は以下の通りです。

  • 食品や日用品などの「生活必需品」
  • 医薬品などの「ヘルスケア」
  • 電気、ガス、水道などの「公共事業」
  • インターネットなど通信関連の「コミュニケーション・サービス」

最後に

記事では、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスとMSCIが開発したGICS(世界産業分類基準)を参考に、業種(セクター)の分け方やセクターごとの特徴について見てきました。

日本株を対象にした指数では、日経平均株価は36業種を6つのセクター「技術」「金融」「消費」「素材」「資本財・その他」「運輸・公共」に分けています。TOPIX(東証株価指数)では、33業種に区分しています。

それぞれの株価指数(インデックス)の業種区分を理解することで、自身の投資方針に合ったファンドを探す一助としていただければと思います。

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