子どもの誕生は人生の一大イベントなだけあり、まとまったお金が必要になるものです。コツコツ貯蓄をして備えてきたという人も多いでしょうが、費用負担を軽減するために、公的制度でもらえるお金をしっかり把握しておきましょう。

  • 子育てに関連する手当は多数あるので、加入している保険と共によく確認したい
  • 児童手当は、2024年10月の制度改正で所得制限が撤廃、受取額も拡充された
  • 独自に出産・育児支援の制度を用意している自治体もある

出産・育児で活用したい5つの制度とその概要

出産や育児に関連して受け取れる手当には、いくつかの種類があります。また、加入をしている健康保険の種類によっては、受け取れるもの・受け取れないものがあります。

【図表1】子育てに関連して受け取れる手当一覧
健康保険
(協会けんぽなど)、
雇用保険
共済組合 国民健康保険
妊婦健診費用助成
(住んでいる自治体に
助成制度がある場合)
出産育児一時金
(出産費・家族出産費)

50万円または48万8千円
出産手当金
支給開始日以前の12ヶ月間の
標準報酬月額を平均した額の
3分の2相当
×
育児休業給付金・
出生時育児
休業給付金

休業開始時賃金日額
×支給日数×67%
(181日以降は50%)

1日につき標準報酬の日額
(標準報酬の月額の
1/22相当額)
×67%(181日目以降は50%)
×
児童手当
3歳未満:1万5千円
3歳以上から高校生:1万円
(第3子以降は3万円)

各制度の概要を順番に見ていきましょう。

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※ここでは各制度の概要を説明しています。詳細は必ず各自治体・健康保険組合・共済組合などのウェブサイトや資料をご確認ください。

妊婦健診費用助成は自治体によっては助成あり

妊婦さんが定期的に受ける妊婦健診の費用は基本的に全額自己負担ですが、自治体によっては助成を受けられます。所定の医療機関で健診を受けた時のほか、里帰り時の受診も対象となることもあるようです。

ただし、助成には上限額が定められており、助成対象となる健診・検査内容や対象医療機関も決められています。受けた健診・検査の内容や回数などによっては、助成のある自治体でも自己負担が発生する可能性もある点は把握しておきましょう。

1児につき最大50万円を受け取れる出産育児一時金

健康保険、共済、国民健康保険の被保険者(共済の場合は組合員)またはその被扶養者が出産をした場合に、出産育児一時金(共済の場合は出産費または家族出産費)を受け取れます。

受取額は50万円(産科医療補償制度対象外(在胎週数22週未満や、産科医療補償制度に加入していない医療機関などでの出産)の場合は48万8千円)となります。これに加えて、健康保険組合や共済組合によっては、2万~5万円などの付加給付を受けられることもあるようです。

受け取り方法は、現金給付・医療機関に直接支払われる直接支払制度・受取代理制度の3種類があります。それぞれ必要な手続きや書類が異なりますので、詳細は加入している健康保険または共済のサイトを確認してみてください。

産休中・育休中の収入減少に備える出産手当金・育児休業給付金

お仕事をされている方の場合、産休中の収入減少に備えるための給付として、出産手当金が用意されています。出産手当金は、出産日以前の42日間と、出産の翌日以後56日間の範囲(出産が予定より遅れた場合は、その期間分も)で、給与の約3分の2程度の金額を受け取れます。

また、育児休業を取得すると、2種類の育児休業給付を受け取れます。

子どもが生まれてから8週間までの間に最大28日間の出生時育児休業(産後パパ育休)を取得した場合は、出生時育児休業給付金を受け取れます。
出生時育児休業は2回まで分割取得ができ、その2回とも給付金の対象になります。この給付金を受け取った日数は、育児休業給付金の受け取り日数に通算されます。

子どもが生まれてから1歳になるまでの育休期間には、育児休業給付金を受け取れます。育休開始前6カ月間の給与を基準に、育休開始から180日までは1日当たりの給与の67%、181日からは50%を、育休取得日数分受け取れます。なお、保育園に入れなかったなど育休の延長が必要であると認められた場合には、最長で2歳まで育休延長が可能です。

いずれの給付金も、会社から給与を受け取っている場合は、給与との差額を受け取れることもあります。なお、加入しているのが国民健康保険の場合はどちらの手当ても原則受け取れません。

育児休暇中の父親育児休業を取得すると、2種類の育児休業給付を受け取れる

また、受取額は普段の給与額より少ないのが一般的です。ただし、育児休業中は要件を満たすと各種社会保険の保険料が免除されますので、より負担軽減ができます。免除を受けるには企業への申し出が必要ですので、事前の相談を忘れないようにしましょう。

2024年10月の改正で18歳までの児童が児童手当の対象に

児童手当は、養育中の子どもの年齢と人数に応じて受け取れる手当です。2024年10月に制度改正が行われ、所得制限が撤廃され、対象および受取額も拡充されました。

対象は0歳~18歳になってから最初の年度末までで、受け取れる金額は以下のようになります。

【図表2】受け取れる金額の違い
第1子・第2子 第3子以降
3歳未満 1万5千円 3万円
3歳~高校生まで 1万円

申請月の翌月分から支給を開始され、6月に2~5月分、10月に6~9月分、2月に10~1月分がまとめて支給されるしくみです。
毎年6月には受給要件を確認するための現況届提出が必須です。その時期が近付くと、郵送でもお知らせが届きますので、しっかり確認しておきましょう。

自治体独自の制度もあるので要チェック

これら健康保険・雇用保険による助成や給付に加えて、自治体が独自に出産・育児支援の制度を用意している場合があります。

例えば、0歳児を養育していると月々1万3千円を最大12回受け取れる「乳児養育手当」(江戸川区)、一妊娠につき一時金4万5千円を受け取れる「誕生準備手当」(千代田区)、1人の出産につき最大で10万円を受け取れる「ハッピーマザー出産助成金」(渋谷区)などがあります。

出産前後は何かと入用な時期ですので、お住いの自治体で活用できる制度がないか、ぜひ確認してみてくださいね。

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