宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。今回のテーマも「利回り」。小田さんが独断で考える金融商品の利回りランキングを5年ぶりに紹介するとともに、金融機関で運用商品を選ぶ際にやらなければいけないことを確認します。

  • 株価の上昇が続く環境で「一気買い」を勧める金融機関の担当者には注意する
  • 金融商品は買う前に調べることが重要。評価会社のファンドスコアも参考になる
  • 利回り商品について、今の環境で予想期待利回りが低い順にランキングを決定

金融商品の誤った買い方

【質問】
こんなに物価も上がってきてたいへん。お金を増やすのにはリスクは当たり前のことじゃけど、金利も上がってきたから、定期預金も良いちゃないですか? 安心、安全パイだし。

前号で「金利と利回り」について再確認をしていきましたが、今回からは「利回り」をメインにした商品を、現在の経済環境でどうマッチさせていくのか、私だったらどうするかを基準に考えていきます。

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金利がいいから定期預金? インフレと利回りの関係

まず最初に、どんな利回り商品を購入するにしても、リスクを負わない限り先に進むことはできません。ぜひ行動を起こしていただきたいと願って、リスク商品を買う過程を、大半の方があてはまるであろうシチュエーションで考え、上手く乗り切る方法を見ていきます。

例えば、銀行通帳に残高100万円くらいあったとして、銀行の窓口で、NISAを活用するため投資信託を勧められたと仮定します。
さぁ、あなただったら、どう対応するのか? 自分に置き換えて、どう行動するのか考えてみてください。

相談のなかで最も起こりやすい「購入事案」で考えてみてください。ここからは、実際にあった実例です。

金融機関の窓口担当者から、
「お客様はNISAやっていますか? やられていないのなら、お金を増やすためにやってみませんか?」
「投資信託も高値が続いていますので、始めるなら今です。やっといた方が良いと思いますよ。」
などの話がされました。

それからNISA口座を開設し、100万円のお金がリスク商品に振り分けられていきました。
商品は、毎月1万円のNISA対応商品で積み立て。もう一つは、残金99万円をまとめて購入した、NISAに対応していない海外資産の毎月分配型商品。

皆さんはもうお分かりでしょう。積み立てと一気買いを2商品で同時に実施した典型ですが、これはひどいと言わざるを得ません。
特に後者の一気買いは、99万円から購入手数料(約3万円)を引かれたのちの購入と、最初から価値が目減りしています。それも高値で買っているので、約3%の手数料を取り戻すのには時間がかかります。

金融機関の担当者は毎月分配金が入ると言っていますが、NISA商品ではないため、運用難に至った場合のリスクは、よりハイリスクとなります。
分かっていればいいのですが、早く気づくべきでした。

金融商品を勧誘されたらやるべきこと

対処方法を、窓口担当者の言葉から検証します。

①今回のように、株価の上昇が続くときに安易に一気買いを促す言葉を発する方に、運用商品のリスクをわかっているはずはありません。買えば、ハイリスクだと思うべきです。

②積み立て商品を購入したことは良いと思いたいのですが、2つの商品を買う前に、必ずやらないといけないことがあります。それは「調べる」こと。調べてから買っても遅くはありません。相場は日々動きます。調べないで買うなんて、損してもしょうがないという典型だと思います。

調べ方は、まずはネットで商品を検索してみることから始めて、金融担当からの説明が間違いないか、照らし合わせてみます。
ここでは手数料などの数値も見て、自分が負担するコストを確認するといいでしょう。

そして最大のやるべきことは、他の商品との比較です。評価機関のファンドスコアを参考にして、総合的に評価がどうなのか?
スコアは5段階、10段階などありますが、数が多くなるほど高評価とされます。代表的なものに「QUICKファンドスコア」などがあります。スコアでスクーリングすることによって、商品が絞られます。

評価機関の分析を参考にして投資信託を選ぶ

ここまですると、買うべきか、買わないべきかを判断できる1つの要因になりますし、新たな商品を知るきっかけにもなります。

株価など上昇している今、「取り残されるのではないか?」などの心理的な問題も出てきます。いやいや全然問題ございません。市場の不安要素など全てがクリアされた後での買いでもまったく遅くはなく、それが市場との向き合い方の基本だと覚えておいてください。

利回り商品を含む運用商品は、その全てにおいてリスクが多かれ少なかれ存在します。十分にわきまえておきましょう。

現在の利回り商品を独断で評価

少し本題から外れましたが、ここからは現在の利回り商品についてどうなのか、話をしていきます。
今回も私の独断と偏見、そして願望で、100万円をこれから1年間運用したと仮定して、予想期待利回りが低い順(リスクが低い順)からランキングを付けてみました。5年前との違いなど理解しながら、経済の変化など、どうぞ参考に運用を楽しんでいただければ嬉しいです。

①債券 10,000円~(1%~)
②外貨預金(米ドル) 30,000円~(3%~)
③不動産投資 30,000円~100,000円(3%~10%)
④投資信託 30,000円~150,000円(3%~15%)
⑤株式投資 マイナス~300,000円(~30%)

番外編として、

⑥個人型確定拠出年金(iDeCo)
⑦金
⑧一時払い生命保険

番外編は別として、上記の順に決めさせていただきました。

お断りしておきますが、あくまでも私の独断ですので、参考の1つとしてご認識ください。5年前と順位の変化はないように見えますが、今回は本来の「利回り」基準と「変動リスク」の2つを踏まえてランキングしています。

次回から各商品を細かく分析していきます。

運用利回りランキング① 個人向け国債・外貨預金

運用利回りランキング② 投資信託・不動産投資

運用利回りランキング③ 株式投資──銘柄の選び方