新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界経済の成長は大きく減速しました。中でも特に大きな影響を受けたのが旅行・観光業界ではないでしょうか。新型コロナウイルスの収束が見え始めた現在、株式市場において「旅行」「インバウンド」に注目が集まっています。本記事では、関連する投資信託を4本紹介します。
- コロナ禍が落ち着きを見せ始め、「旅行」「インバウンド」が脚光を浴びている
- 『世界ツーリズム株式ファンド』『インバウンド関連日本株ファンド』に注目
- 旅行・インバウンド関連のETFやREITもある
株式市場でも「旅行」「インバウンド」が熱い!
新型コロナウイルス禍による世界的な渡航規制が緩和され、海外の行き来が増え始めています。全国旅行支援などの政策の恩恵もあり、日本でも国内旅行が活発になってきました。
渡航規制の緩和により、今後は訪日外国人の増加が予想されます。それに伴い、インバウンド消費の拡大も期待できそうです。インバウンド消費とは、訪日外国人が日本で行う消費のことで、「爆買い」と呼ばれる言葉が流行った時期もありました。
株式市場においても、昨今の状況に注目し、旅行・観光業界やインバウンド関連銘柄に資金が集まり始めています。本記事では、「旅行」「インバウンド」関連の投資信託やETF、J-REITを4本紹介します。
世界の旅行関連企業に投資『世界ツーリズム株式ファンド』
キャピタル アセットマネジメントが運用する『世界ツーリズム株式ファンド』は、世界各国の旅行関連企業に投資を行うファンドです。アメリカやスペイン、スイス、フランス、香港など、多くの国・地域の企業に分散投資を行っています。
2019年6月に設定され、2022年10月末現在の純資産総額は226.0億円です。新型コロナウイルスの影響を受け、設定来の騰落率は-14.1%になっています。しかし今後は、世界的な観光需要の回復の恩恵を受けることを期待できそうです。
『世界ツーリズム株式ファンド』は、大手ネット証券や地場証券などで購入できます。
銘柄 | 国 | 比率 | |
---|---|---|---|
1 | ブッキング・ホールディングス | アメリカ | 7.2% |
2 | カーニバル | アメリカ | 6.5% |
3 | メリア・ホテル・インターナショナル | スペイン | 6.4% |
4 | ウィズエアー・ホールディングス | スイス | 6.3% |
5 | デュフリー | スイス | 6.0% |
6 | アコー | フランス | 5.4% |
7 | シクスト | ドイツ | 3.8% |
8 | サムソナイト・インターナショナル | アメリカ | 3.5% |
9 | JCデコー | フランス | 3.1% |
10 | DO&CO | オーストリア | 2.8% |
インバウンドの恩恵が期待できる銘柄に投資『インバウンド関連日本株ファンド』
三井住友トラスト・アセットマネジメントが運用する『インバウンド関連日本株ファンド』も、インバウンド需要の拡大時に恩恵を受けることが期待できるファンドです。
2015年9月に設定され、2022年10月末現在の純資産総額は410.82億円となっています。設定来の騰落率は+31.38%です。
『インバウンド関連日本株ファンド』は、東海旅客鉄道やANAホールディングスといった旅行関連銘柄以外にも広く投資をしています。例えば、ディスカウントショップのドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスや、ドラッグストアのマツモトキヨシを運営するマツキヨココカラ&カンパニーをはじめ、三越伊勢丹ホールディングスといった小売業、三井不動産などの不動産業まで多くの業種に投資を行っており、インバウンドの需要拡大によるメリットを幅広く享受することを目指すファンドといえるでしょう。
『インバウンド関連日本株ファンド』を取り扱う金融機関は、現在のところ三井住友信託銀行、大和証券など全4社となっています。
銘柄 | 業種 | 比率 | |
---|---|---|---|
1 | 三井不動産 | 不動産業 | 3.32% |
2 | パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス | 小売業 | 3.25% |
3 | マツキヨココカラ&カンパニー | 小売業 | 2.96% |
4 | 寿スピリッツ | 食料品 | 2.89% |
5 | 西武ホールディングス | 陸運業 | 2.81% |
6 | 三越伊勢丹ホールディングス | 小売業 | 2.79% |
7 | 東海旅客鉄道 | 陸運業 | 2.62% |
8 | ソニーグループ | 電気機器 | 2.52% |
9 | 日本航空 | 空運業 | 2.52% |
10 | 日本空港ビルディング | 不動産業 | 2.46% |
レジャー関連株に幅広く投資『グローバルX レジャー&エンターテインメント-日本株式 ETF』
『グローバルX レジャー&エンターテインメント-日本株式 ETF』(2645)は、旅行業を含むレジャー関連の日本株などに投資するETFです。ETFとは上場投資信託のことで、一般的に投資信託よりも費用が安く、低コストで運用できる点がメリットです。一般の投資信託とは異なり、取り扱いは証券会社のみで、株式と同じように取引できます。
『グローバルX レジャー&エンターテインメント-日本株式 ETF』は2021年9月に設定され、2022年12月1日時点の運用資産残高は4.45億円です。設定来の騰落率は-10.77%となっています。
レジャーやエンターテイメントに関する企業に幅広く投資しており、VRなど最新技術を提供する企業にも投資をしている点が特徴です。
銘柄 | 比率 | |
---|---|---|
1 | 電通グループ | 3.32% |
2 | リクルートホールディングス | 3.25% |
3 | 楽天グループ | 2.96% |
4 | ソニーグループ | 2.89% |
5 | オリエンタルランド | 2.81% |
6 | 東宝 | 2.79% |
7 | サイバーエージェント | 2.62% |
8 | カシオ計算機 | 2.52% |
9 | 日本テレビホールディングス | 2.52% |
10 | 東映 | 2.46% |
ホテルに特化したJ-REIT『ジャパン・ホテル・リート投資法人』
『ジャパン・ホテル・リート投資法人』(8985)は、ホテル関連銘柄の投資に特化したJ-REITです。J-REITとは、賃貸マンションやオフィスビルなどの不動産を小口証券化した金融商品で、株式と同じように証券会社で取引できます。一般的に不動産投資は大きな資金が必要になりますが、REITの仕組みを使うことで、一般の投資家も不動産に投資しやすくなっています。
高級ホテルや観光地のホテルを多く保有している『ジャパン・ホテル・リート投資法人』は、コロナ禍で投資口価格が大きく下がった時期もありましたが、国内観光業の復活が期待されるなかで2022年に入ってからは回復基調にあり、今後のパフォーマンスにも期待が持てる銘柄のひとつといえるでしょう。
銘柄コード | 8985 |
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投資口価格 | 74,400円(2022年12月1日) |
分配金利回り | 0.45%(2022年12月1日) |
保有物件 | ヒルトン東京お台場、ホリデイ・イン大阪難波、ヒルトン東京ベイなど |
運用会社 | ジャパン・ホテル・リート・アドバイザーズ |