資産形成の近道は小型株にあり──。「小型株集中投資」を実践する気鋭の投資家・遠藤洋さんに、今からでも始められる小型株投資の極意を教えていただく連載。第5回は、有望な小型株を見つける「目」を養うために必要なことは何か、遠藤さんの経験をもとに語っていただきます。

  • 世の中の変化を見て、人の行動やお金の使い方がどう変わるのかを想像する
  • ニュースやTwitterも有効な情報源。「何が話題になっているか」を確認する
  • 勉強だけではだめで、学びながら実践するのが大切。お金のことは他人に任せない

世の中の変化に対して敏感になる

遠藤洋
遠藤 洋
投資家
投資コミュニティixi主宰

前回は、上がりそうな小型株を見つけるためのポイントや、いつ買っていつ売ればいいのかという目安についてお話ししました。
有望な会社を見つけたいのなら、テレビやインターネットをただ漫然と眺めているだけでは難しいと思います。世の中を見て、会社を見るための「目」を養うことが大切です。
では、具体的に何を心がければいいのでしょうか?

上がる小型株を見極めるポイントと売買タイミング

ひとつは、世の中の変化に対して敏感になることです。特に自分にとって興味や知識がある分野では、流行に敏感であることを心がければ、世の中の変化をいち早くとらえられると思います。

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世の中に変化があると、必ず人の行動が変わります。人の行動が変われば必ず、お金の使い方も変わります。人がどのような行動を取るようになるのか、想像してみるのです。

最近の大きな変化といえば、やはり新型コロナウイルスです。コロナ前にはアクティブに外で遊んでいた人たちが、外出できなくなったときにどういう行動を取るのか? コロナ禍でも収入が変わらず、消費をやめないとすれば、きっと家の中での生活を充実させるためにお金を使うようになるでしょう。
たとえば通販での買い物が増えたり、AmazonプライムやNetflixのようなコンテンツを利用したり、料理や楽器に凝ってみたり、新しい家具を買ったり部屋の模様替えをしたり……。

ホームシアター
新型コロナウイルス感染症の流行は、「おうち時間」を充実させるためのさまざまな消費を促すという側面もあった

このように、世の中の変化によって人が次にどう行動するか、どこにお金を使うかを想像して、なおかつそれを確かめたうえで、投資をするのです。
この「確かめる」という手順が大切で、実際に株を買うのは、その会社の商品やサービスが本当に売れ始めてきたのかを確かめたあとでも遅くありません。

動くのは早すぎてもだめです。前回紹介した「いきなり!ステーキ」のペッパーフードサービスの株価も、僕が行列を見かけてから株価が動き始めるまで1年かかりました。「周りより早く」というのを意識しすぎる必要はなくて、むしろ株価が少し動き始めたところがチャンスと考えるのがちょうどいいと思います。

トラリピインタビュー

「この世界の片隅で」の評判をTwitterで見て、株を買ったら値上がり

世の中の変化や流行を見るときに、僕はよくSmartNewsやTwitterを参考にしています。これらを見ていれば世の中の動きはだいたいキャッチできますね。ただ、ニュースは必ず誰かの主観や意図が入っているので、ニュースをすべて信じるのではなく、実際のサービスなどを自分で体験することも大切だと思います。

Twitterは株に関するツイートより、何が話題になっているかに注目しています。Twitterを使ってうまくいったのが東京テアトルという会社への投資です。大ヒットアニメ映画「この世界の片隅に」の配給会社ですが、同社が運営する映画館のテアトル新宿では、映画の公開直後から3日間超満員で立ち見ができるほどでした。それでテアトル新宿の売り上げが過去最高を更新したというツイートを見かけたので、東京テアトルの株に投資したら、3日か4日で株価は1.5倍ほど上がりました。

【図表】東京テアトルの株価推移(2016年11月1日~12月30日)
東京テアトルの株価

Twitterを使うときは、世の中で何がはやっているか、あるいは目を付けていたものが本当に流行しているか、意識しながらツイートを見てみるといいと思います。

勉強だけではだめ。学びながら実践するのが大切

投資に必要な「目」を養うためには、株の仕組みなどについて勉強することも必要です。でも日本人はまじめな人が多いので、本を買って一生懸命勉強するのですが、準備ができたら投資をしようと言いながら、いつまで経っても投資しない人もいます。

少額でもいいので株を買って、本を読んで学びながら投資を実践するのが、投資で成功するための最短距離だと僕は思います。

勉強する人
勉強も大切だけれど、投資の実践あってこそ

株式投資には僕ですらわからないこともたくさんあります。たとえば、機関投資家と呼ばれるプロの投資家が企業価値を分析するときに使う、微分・積分が必要な「ディスカウントキャッシュフロー方式」という考え方があります。もちろんこういった論理を理解することは大切ですが、これを使いこなせるようになるのと、投資で勝てるようになるのはまた別の話です。
実際、僕自身がこの公式を日常的に使うかというと、実はほとんど使ったことがありません。

それでも株式投資で利益を出すこと、投資の期待値をプラスに持っていくことはできます。本に書いてあることを全部理解しなくても成功できる。そこが受験勉強や大学の試験とは違うところです。

投資は、自分で考えて行動することが何より大切です。病気のことなら医師に任せてもいいのですが、大切なお金のことだけは他人に任せるべきではないと、これまでいろいろな投資の経験を通じて実感しました。
自分で考えて、自分で勉強するのが面倒なのはわかりますが、お金のことだけはめんどくさがってはいけないと思います。

投資についてしっかり勉強しながら、世の中の変化や流行にも気を配り、そして投資を実践する。学びながら経験を重ねることで、誰もが投資家として成長していけるはずです。

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