株式投資を行っていると、成長株(グロース株)・割安株(バリュー株)という言葉をよく耳にすると思います。近年は成長株が優位とされており、パフォーマンスも成長株が割安株を上回るケースが多くありました。しかし、米国利上げやウクライナ情勢などで相場が荒れ模様になると、必ずしも成長株が優位とはいえない状況に陥ります。今回は成長株と割安株の特徴と、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

  • 株式には「成長株(グロース株)」「割安株(バリュー株)」と呼ばれる銘柄がある
  • 近年は成長株が優勢だったが、金利上昇局面では割安株が優位という意見もある
  • 成長株・割安株どちらにも一長一短ある。最終的には個別の銘柄選定が重要

成長株・割安株とは?

2020年3月のコロナショック以降の世界的な景気回復局面を背景に、株式市場は上昇を続けてきました。特に米国の株式市場は、アップルやアマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、テスラといった企業がけん引役となり、株価指数が過去最高値を更新するシーンがたびたびありました。上記に挙げた銘柄は、一般的に成長株(グロース株)といわれています。

成長株とは、好調な業績を背景に株価水準が高く、さらに将来的にもまだまだ業績・株価ともに成長が見込まれる銘柄を指します。ITやハイテクなど、革新的なサービスを提供している企業が多いのが特徴です。成長株かどうかを判断する際の指標のひとつに、ROE(自己資本利益率)があります。

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ROEとは、自己資本でどれくらいの利益を生み出せるかを測る指標です。自己資本で多くの利益を出せる企業には、今後の成長が見込めるという期待感があります。一般的にROEが10%を超えると自己資本に対しての売り上げが多いため、成長が期待できるといわれています。

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一方で、割安株(バリュー株)と呼ばれる銘柄もあります。割安株とは、利益や資産などが株価に反映されず、株価が低い状態に放置されている銘柄のことです。割安株かどうかの判断はPBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)で確認することが多いです。

PBRとは、現在の株価が1株当たり純資産に対して何倍まで買われているかを示す指標です。PBR1倍未満の銘柄は、企業が解散した際の保有資産が時価総額を上回ることになるため、割安な状態であるといえます。

一方、PERは現在の株価が1株あたりの純利益に対して、何倍まで買われているかを示す指標です。PERが低いということは、利益を出している割には株価が低い水準にあるといえます。

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成長株と割安株、それぞれのメリット・デメリット

成長株(グロース株)と割安株(バリュー株)にはそれぞれのメリットとデメリットがあります。どのようなメリット・デメリットがあるのか解説します。

成長株(グロース株)のメリット・デメリット

成長株のメリットは何といっても、大きな成長が期待できる点です。

成長株には革新的なサービスを提供している企業が多く、既存のマーケットを大きく変化させるほどの力を持つ企業があります。成長株の代表的な銘柄であるアップルやアマゾン・ドット・コムは、アメリカの企業でありながら世界中の人々がサービスを利用し、生活そのものを変えています。

このような企業の利益は、けた違いに大きいため、株価も勢いよく上昇していきます。そのため、成長株に投資をすることで、大きな利益を上げられる可能性が高いでしょう。

一方、成長株のデメリットは、株価の上昇までに時間がかかることが多い点です。

成長株は時間をかけて、爆発的な上昇を生み出す半面、成長期待から現在の実力より株価が高くなっていることも多く、短期的には下落することもよくあります。また、成長性を維持するために、得られた利益を新規事業に回すことが多いため、株主への配当は少ない傾向があることも特徴です。

成長株のイメージ
成長株投資のメリットは大きなリターンを期待できる点

割安株(バリュー株)のメリット・デメリット

割安株は純資産や利益からみて割安な株ですので、比較的株価は安定しており、配当も多いというメリットがあります。また、株主優待などで優良なサービスを提供している企業も多く、長期的に保有して、安定的にメリットを得たい人に向いているでしょう。

割安株は大企業で業績が安定している銘柄が多いため、成長株のような爆発的な上昇を期待できない点がデメリットです。そのため、割安株は成長株に比べると安定的な投資といえるかもしれません。

割安株のイメージ
株価が安定していて配当が多い傾向にあるのが割安株

いま投資するならどっち? 成長株or割安株

今後の米国の株式市場を占ううえで、大きなイベントとなるのが、米国の金融引き締めによる金利上昇でしょう。金利上昇局面では、成長株(グロース株)と割安株(バリュー株)はどちらが優位になるのでしょうか。

金利上昇局面では、一般的に成長株よりも割安株の方が有利だといわれています。その理由は、金利上昇局面では投資家が投資価値の評価に慎重になるからです。投資価値の評価に慎重になる局面では、将来の成長期待よりも足元の純資産や利益率を重視するため、割安株に人気が集まりやすいといわれています。

ただし、前回の利上げ局面である2014年から2018年にかけて、成長株が割安株を上回るパフォーマンスをあげています。そのため、今回の利上げ局面でも必ずしも割安株が優位とはいえないでしょう。

どちらがより良いかのイメージ
成長株と割安株、どちらを選ぶべきか

結局重要なのは銘柄選択

成長株と割安株のどちらが優位かを決めることはできません。最終的には、個別の銘柄選定が重要でしょう。また、ご自身の投資スタイルに合わせて投資することも重要です。

成長株と割安株にはそれぞれのメリットとデメリットがあります。例えば、成長株は大きな成長が期待できる一方で、利益を得るまで時間がかかる場合があります。そのため、あまり時間をかけて投資をしたくないという人には、成長株は向いていません。

それぞれの投資スタイルに合わせて、銘柄選定を行いしましょう。

あなたに向くのはどっち? 割安株投資と成長株投資

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