資産運用に興味があっても、初心者にとって株式投資のハードルは高いもの。本連載では、現役の証券アナリストが株式投資の魅力や付き合い方をやさしく伝えます。

  • 割安株投資は高値掴みのリスクが低く、上昇すればより大きなリターンを得やすい
  • 成長株投資は将来大きく成長しそうなビジネスモデルや技術を持つ企業への投資
  • どちらが優れているということではなく、それぞれにメリットとデメリットがある

株式投資の銘柄の選び方には、色々な方法があります。その中で代表的なものに、割安株投資と成長株投資があります。

今回はこの2つの銘柄の選び方と、そのメリット・デメリットを解説していきたいと思います。

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株価が割安時に買いを入れる「割安株投資」

割安株投資とは企業の持っている資産や利益、配当の水準からみて株価が割安な場合に投資する方法です。バリュー(お値打ち)株投資とも呼ばれています。

株式投資は、安く買って高く売るのが基本です。株価は企業の業績だけではなく全体の相場や経済情勢などさまざまな要因によって上下します。そこで企業の個別の要因以外で株価が安い時に投資するのが割安株投資です。

割安株投資のメリット

割安株投資は、基本的に株価が下がっているところを買う「逆張り」という手法になります。そのため、高値掴みのリスクが低くなるメリットがあります。また、株価が割安になっている間に買いを入れる手法であることから、その後株価が上昇してくるとより大きなリターンを得やすいのが特徴です。

例えば、NTTドコモやKDDIといった業績が比較的安定していて配当もきちんと出している企業の場合、なかなか株価が下がりにくい性質があります。何かの外部要因で全体の相場につられて株価が安くなってくる時を狙って割安に投資したいところです。

スマートフォンに表示されたau、docomo、Softbankのアプリ業績が比較的安定しているNTTドコモ、KDDIは割安時に投資したい銘柄のひとつ
Koshiro K / Shutterstock.com

割安株投資のデメリット

デメリットは、必ずしも「株価が下がる=割安」ではないという難しさです。

例えば、ある企業の株価が業績悪化で大きく下げた場合、その時は割安だと思っても利益の減少や配当金の減額によって後からみると割安ではなかったということも往々にしてあります。あくまで、株価は下がっているけれど今後も成長が見込める、あるいは業績の安定が期待できる企業に投資するのが基本となります。

また、投資家の当たり前の心理として、株価が上げ基調の時はさらに株価が上がるように見えてつい買いたくなり、株価が下げ基調の時は株価がさらに下がるように見えてなかなか買えないということがあります。割安株投資はこのような株価が下げ基調の時に投資するのが基本なので、ある程度株価が下がって落ち着いてきたら少しずつ買いを入れるという良い意味での割り切りが必要です。

成長が期待できる株に投資する「成長株投資」

成長株投資とは、今後成長が見込めそうな企業に投資する手法です。グロース株投資とも呼ばれます。

現在は赤字であっても将来大きく成長しそうなビジネスモデルや技術を持っている企業などに対して投資するベンチャー投資をイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。

米国のアマゾンやユニクロを展開するファーストリテイリング、業態を次々と時代に合わせて変えているソフトバンクグループなど、今でこそ大企業になっているこれらの企業の創成期に投資をしていれば大きなリターンを得ることができたでしょう。

賑わうユニクロ店内ファーストリテイリングの株価は上場時から80倍以上に値上がりした
EQRoy / Shutterstock.com

成長株投資のメリットとデメリット

成長株投資のメリットは、成長する企業の種をうまく見つけることができれば大きな値上がり益を得られる点です。逆にデメリットは、赤字や利益が少ない企業であっても投資家の期待が大きい場合は割高になってしまいやすい点です。

特に現在では、AIや自動運転、5Gといったテクノロジーをもつ成長企業はそれだけで投資家の目にとまりやすく、株価が上昇しやすい相場となっています。そのため、期待が実際の利益に結び付かないことが続くと結果として高値づかみになってしまうことには注意すべきでしょう。

投資スタイルや考え方によって使い分ける

今回は割安株投資と成長株投資について解説しました。

それぞれどちらが優れているということではなく、それぞれにメリットとデメリットがあります。ご自身の投資スタイルや考え方によって、向き不向きもあるでしょう。うまく使いこなして投資リターンの向上に役立ててもらえれば幸いです。

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