多くの投資信託にはベンチマークが設定されています。ベンチマークは投資信託の成績を評価する指標として重要です。当記事ではベンチマークの意味や確認方法について解説していきます。

  • 投資信託のベンチマークとは、投資信託を運用する際の指標とする基準のこと
  • 市場平均と比べて運用の成果がどうだったかを判断するのに役立つ
  • 『フィデリティ・日本成長株・ファンド』の長期の運用成果はベンチマークを上回る

投資信託のベンチマークとは?

投資信託のベンチマークとは投資信託を運用する際の指標とする基準のことです。通常は一般的な指数が設定されます。日本株に投資する投資信託の場合は、旧東証1部市場全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)などが代表例です。

独自の銘柄選択や資産配分を行い、ベンチマークを上回る投資成果を目指す投資信託はアクティブファンドと呼ばれます。例えば、TOPIXをベンチマークにしているアクティブファンドは、TOPIXを上回るように銘柄選定を行い、運用します。ベンチマークについては投資信託の目論見書や運用報告書などで確認することができます。

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投資信託の中には、ベンチマークが設定されていない投資信託もあります。ベンチマークを設定していない投資信託には、適切なベンチマークがない場合のほか、相場全体の影響も踏まえた相対的な収益を目指すのではなく、どのような相場でも利益を得ることを目指す絶対収益型の投資信託などがあります。

市場平均と比べて運用の成果がどうだったかの判断に

ベンチマークを設定している投資信託の運用成否は、ベンチマークを上回るか否かで判断できます。例えば、ベンチマークとしているTOPIXが30%下落した場合、その投資信託が15%下落していたとしても、ベンチマークを上回る運用成果を出しているため、運用は成功していると判断できます。

投資家としては損失が出ているにも関わらず運用が成功していると言われると納得いかない部分があるかもしれませんが、株式市場が大幅に下落している局面で、下落を抑えられているのであれば、ファンドマネジャーの銘柄選定が優れていると考えることができます。

逆に、利益が出ている場合でも、ベンチマークを下回る成果であれば、運用は成功していないということになります。TOPIXが30%上昇している局面で15%の利益しか出せていなければ、日本株全体の上昇の恩恵に乗り切れていないということになります。

このようにベンチマークを設定している投資信託は、ベンチマークを上回っているか否かが評価基準のひとつとなります。

競走アクティブ型の投資信託は、ベンチマークとしている市場全体の値動きと比較することでその実力を評価できる

『フィデリティ・日本成長株・ファンド』の場合は?

実際に投資信託がベンチマークとどのような関係にあるのか、フィデリティ投信の『フィデリティ・日本成長株・ファンド』の運用状況を確認してみましょう。

『フィデリティ・日本成長株・ファンド』は、ボトムアップアプローチによって成長企業を選定し、ファンドを組成しています。ボトムアップアプローチとは個別の企業を一社ずつ分析し、選定する方法です。

『フィデリティ・日本成長株・ファンド』のベンチマークはTOPIX(配当込み)です。TOPIXは日本の株式市場全体の状況を見ることができる指標であり、ファンドマネジャーの銘柄選定によって日本株全体のリターンを上回っているかがファンドの成否ということになります。

累積リターン(2022年3月31日現在)

『フィデリティ・日本成長株・ファンド』月次運用レポートより抜粋

『フィデリティ・日本成長株・ファンド』の運用状況を見てみると、直近1年の運用成績はベンチマークを下回っています。しかし、3年以上の成果を見てみると運用成果はベンチマークを上回り、設定来でもベンチマークを大きく上回る運用成果となっています。

『フィデリティ・日本成長株・ファンド』は長期的な視点で成長期待ができる企業を選定する商品であり、運用はうまくいっていると見てよさそうです。

このように、投資信託の運用方針を踏まえてベンチマークとの関係を見ることが重要です。自身の投資の目的に合った運用を目指している投資信託を探し、対ベンチマークの成績をチェックすることで、実力のある投資信託かを判断することができます

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