投資を始めるにあたって、証券会社や銀行など、どの金融機関に口座開設するかは重要です。今回は、株式や債券、投資信託など取り扱う投資商品からみた金融機関の選び方について、ファイナンシャルプランナーの恩田雅之さんが解説します。

  • 投資信託・公共債は多くの金融機関で取り扱う
  • 株式・ETF・社債・外国債・リートは証券会社のみ取り扱う
  • 口座開設時に特定口座(源泉徴収ありorなし)or一般口座を選ぶ

金融機関により投資商品の取り扱いは異なる

投資信託・ETF(上場投資信託)

投資信託は、証券会社、銀行、信用金庫、ゆうちょなど多くの金融機関で取り扱っています。ただし、各金融機関により扱っている投資信託の種類や本数が異なりますので、ご自身が投資したいファンド(投資信託)の取り扱いがあるかどうかをまず確認しましょう。複数の金融機関で取り扱いがあれば、使い勝手を考慮した上で販売手数料の安いところを選ぶといいでしょう。販売手数料がノーロードとなっていれば販売手数料はかかりません。

また、ETFは、証券会社のみの取り扱いになりますので、ETFでの投資を考えているのでしたら、口座開設は証券会社の中から選ぶようになります。

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個別株

個別の株取引ができる金融機関は証券会社のみです。株式については、どの証券会社でも取引できる銘柄数は変わりませんので、手数料の違いや使い勝手で選ぶことになります。新規公開株(IPO)の投資も考えているのであれば、IPOの主幹事会社になる確率が高い大手証券会社から選択するほうが投資しやすいでしょう。

証券会社によっては、ミニ株(単位株の10分の1取引ができる)投資や1株投資、るいとう(株式累積投資)の少額投資が可能なサービスを提供している証券会社もあります。少額からの株式投資や分散投資を考えられている方は、そのようなサービスを提供している証券会社が選択肢になります。
*るいとう:毎月定額で株式やリート、ETFを購入する投資方法。1万円以上1,000円単位で買い付けることができる。

ただし、ミニ株投資、1株投資、るいとうとも上場しているすべての銘柄を売買できるわけではなく、証券会社により取り扱う銘柄に異なりがあります。口座開設前にご自身が投資したい銘柄が入っているかどうか確認しておきましょう。

債券

債券は、国債などの公共債、社債、外国債などにより取り扱う金融機関が異なります。国債などの公共債は、証券会社、銀行、信用金庫、ゆうちょ(国債のみ)などほとんどの金融機関で取り扱いがあります。

社債や外国債は、証券会社のみの取り扱いになります。ただし、株式とは異なり証券会社により取り扱っている社債や外国債券の種類は異なりますので、社債や外国債券を中心に投資を考えているのであれば、取り扱い銘柄の種類が多い証券会社を選択しましょう。

リート(不動産投資信託)

個別リートは、銀行等では購入できず、証券会社のみ購入することができます。株式やETFと同様、どの証券会社もすべての銘柄を取引することができます。

<金融機関別の取扱商品一覧>
  証券会社 銀行など
投資信託 △(ETF除く)
×
債券 △(社債・外債除く)
リート ×

特定口座(源泉徴収あり)は確定申告が不要

ここまで、投資商品ごとの金融機関の選び方についてみてきました。最後に口座開設時に選択される方が多い特定口座について説明します。

特定口座では「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」のどちらかを口座開設時に選びます。その他に一般口座があり、ここまでが課税口座になります。

違いは、下表の通りです。

特定口座 源泉徴収あり 証券会社・銀行などが納税し投資家は確定申告不要。
投資信託や株式など複数の商品の売買をした場合、口座内で損益通算。
源泉徴収なし 投資家が特定口座年間取引報告書で簡易申告し納税。
一般口座 投資家が確定申告を行い納税。

*特定口座と一般口座は併用可。

NISAを利用する場合は、課税口座とは別に非課税口座(NISA口座)の開設が必要になります。

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