最近は原油価格が上昇しており、コロナ後の経済回復を停滞させている要因のひとつになっています。また、原油高はインフレを起こす要因でもあり、経済の停滞とインフレが同時に起こるスタグフレーションを警戒する記事なども見かけます。今回は、原油や金などの商品(コモディティ)に投資するファンドについて見ていきます。

  • コモディティの投資信託は、金や原油など複数の商品を投資対象とするものが多い
  • 投資一任勘定専用ファンドの純資産総額が大きい傾向
  • コモディティのETFは金や原油、大豆など個別の商品を投資対象とする銘柄が多い

ファンドを通じたコモディティ投資

ファンドを通してコモディティに投資する方法は、一般的な株式投資信託を購入する方法とETF(上場投資信託)を購入する方法の2つがあります。バランス型ファンドの中にも株式や債券以外の分散先として商品を投資対象にしているものがありますが、ここではコモディティに特化したファンドを取り上げます。

「コモディティ」のファンドは17本

投信情報サイトのモーニングスターで「コモディティ」と入力して検索すると17件ヒットしました。

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そのうち1件がバランス型ファンド、9件がラップ(投資一任)専用ファンド、残りの7件がコモディティに特化した普通に購入できるファンドでした。ただし、2件は為替ヘッジ有/無による区分になりますので、実質は6件です (2021年10月27日時点) 。

上記のファンドの多くは、金や原油など複数の商品を投資対象にしたファンドになります。ファンドがベンチマークとしている主な指数は、「S&P GSCI商品指数」「ブルームバーグ商品指数 トータルリターン」「ロジャース国際コモディティ指数」です。

例として「S&P GSCI商品指数」の中身を確認します。この指数は24商品を「エネルギー」「農業」「工業用金属」「貴金属」「畜産品」の5つのセクターに分けて構成されています。

セクターごとの商品は、下表の通りです。

セクター 商品
エネルギー WTI原油、ブレンド原油、ガソリン、ヒーティングオイル、ガスオイル、天然ガス
農業 小麦、カンザス小麦、とうもろこし、大豆、綿、砂糖、コーヒー、ココア
非鉄金属 アルミニウム、銅、鉛、ニッケル、亜鉛
貴金属 金、銀
畜産品 牛肉、生牛、豚肉

その他に金や原油など個別商品を投資対象とするファンドもあります。

一般的な株式投資信託のファンド17本のうち、純資産総額が最も大きいものは投資一任勘定で運用している『ダイワファンドラップ コモディティセレクト』の約920億円でした(2021年10月28日時点)。投資一任勘定専用ではないファンドで純資産総額が大きいものは、『eMAXISプラス コモディティインデックス』(約60億円)、『DWS コモディティ戦略ファンド(年1回決算型)Bコース(為替ヘッジなし)』(約51億円)です。

この点から見ると、投資一任契約に基づくファンドラップの運用担当者(プロ投資家)が資産分散の一環で活用しているように思われます。

コモディティETFは29本

日経新聞の証券、上場投資信託(ETF)欄で商品連動型に分類されているファンドは29本(2020年10月28日時点、1本は整理銘柄)あり、「商品・商品指数」と「商品(外国資産法人債券)」に分類されています。

商品(外国資産法人債券)に分類されている銘柄については、取り扱っている証券会社と扱っていない証券会社があります。こちらに分類されている銘柄への投資を検討している方は、取り扱いの有無を確認して証券会社の口座開設をするようにしましょう。

ETF銘柄の特徴は、金や原油、大豆など個別の商品を投資対象にしたものが22本と多く、各商品セクターを投資対象にしたものが6本、うち1本は整理銘柄になっています。

ETFで純資産総額が確認できるのは「商品・商品指数」に分類されている銘柄になります。商品別では金に投資する銘柄の純資産総額が高く、『SPDRゴールド・シェア』(銘柄コード:1326)が6兆2065.5億円(2021年9月30日時点)です。

投資したい対象に応じてファンドを検討

以上、商品を投資対象とした一般的な株式投資信託とETFを見てきました。

投資スタイルで分けると、商品全体の値動きに対して投資をする場合は、一般的な株式投資信託が選択肢になります。金や原油など1つの商品に注目して投資をしたい場合や、エネルギーや農産物など特定のカテゴリーに投資したい場合はETFが適していると言えます。

ただし、一般的な株式投資信託のところで触れたように、純資産総額の多いファンドは投資一任勘定専用のものが多いことから考えると、商品関連のファンド(ETF含む)への投資は、ある程度投資経験を積んでから臨んだ方がいいと言えるでしょう。

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