投資信託の投資対象には、株式だけでなく債券や不動産投資信託(REIT)、コモディティ(商品・資源)などさまざまな資産があります。投資する銘柄を選ぶ際には、投資先の資産を理解しておくことが欠かせません。この記事では、代表的な投資信託の投資先について解説します。自分のマネープランに合った投資先を選びましょう。

  • 一口に投資信託といっても投資対象によってリターンやリスクは異なる
  • 株式や債券、REIT、バランス型など投資信託の投資対象はさまざま
  • 自身の投資目的やリスク許容度を踏まえ、それに合致した投資先の投資信託を選ぶ

投資信託の仕組みをおさらい

投資信託は、個人の資産形成における中核商品といっても過言ではありません。安定的に資産を成長させるには「長期・分散・積立投資」が有効であることは、すでに多くの投資家が知っていることでしょう。しかし、いくら分散投資を実践するからといって、株式の銘柄をひとつずつ購入するのは、まとまった資金が必要であり、個人の資産運用には、限界があります。投資信託はあらかじめ複数の銘柄に分散投資しているため、投資信託を1口購入するだけでも、分散投資の効果が期待できます。

このほかにも「プロが運用する」「少額から始められる」「日本にいながら海外の資産にも手軽に投資できる」など、たくさんのメリットがあります。ちなみにつみたてNISAの対象商品は、個人の資産形成に資すると判断された投資信託のみ。投資初心者にとって、長期・分散・積立投資を始めるのに最適です。

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とはいえ、一口に投資信託といってもその中身(=投資対象)によって、期待できるリターンや負うリスクは大きく異なります。投資信託の代表的な投資先には、どのような資産があり、それぞれどんな特徴があるか知っておくことが大切です。

投資先① 株式

投資信託の代表的な投資先であるのが株式です。日本株はもちろん、海外の株式に投資する投資信託も数多くあります。海外株式を投資先とする投資信託には、個別の国や地域による分類以外にも、米国や欧州などの先進国、東南アジア諸国や南米など成長著しい新興国、原油や鉱物、食料資源などを産出する資源国といった分類もあります。

投資信託のイメージ
投資信託は中身(=投資対象)によって、期待できる結果は大きく異なる

近年は先進国の中でも、ITやハイテク産業を抱え、高い経済成長率を誇る米国成長株に投資する投資信託が人気でした。しかし、米国の成長株は、コロナの正常化や利上げなどを背景に、足元で大きな調整局面を迎えています。米国成長株投資ブームも一段落しそうな気配です。

株式投資信託では、ESG(環境・社会・ガバナンス)や脱炭素、5G、ロボティクスなど、特定のテーマに即した企業の株式だけを厳選して投資するアクティブファンドもあります。こうした商品は、テーマ型投資信託と呼ばれ、手数料は高めですが運用成果はインデックスファンドを上回ることを目指しています。具体的な組入銘柄は運用レポートで確認できるため、中身を自分の目で確認してから購入することが大切です。

テーマ型ファンドとは? メリット&注意点も解説!

人気の株式投資信託には、日本株に投資するものでしたら「ひふみ投信」、米国株式に投資するものでしたら、インデックスファンドになりますが「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」などがあります。

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投資先② 債券

債券は発行元の企業などが倒産や破綻しない限り、満期まで保有すれば元金と利息が支払われます。株式のような高い成長は期待しにくいかもしれませんが、その分、比較的低リスクで、定期的な金利収入を期待できる点が魅力です。

投資信託の投資先としての債券は、発行元により国債・社債・政府機関債などがあり、地域別では国内債券と外国債券に分類されます。先進国の国債を主な投資先とする投資信託や、利率が高めの社債(ハイイールド債券と呼ばれる)に投資する投資信託など、さまざまな商品があります。

債券に投資する投資信託(債券ファンド)のメリットは、株式に比べると比較的値動きが緩やかなことです。そうはいっても、新興国の債券や、格付けが低く倒産のリスクがあるハイイールド債券は値動きが激しくなりがちなことに気をつけましょう。

資産運用に「債券」は本当にいらない?

近年、世界的な金融緩和でゼロ金利やマイナス金利が常態化し、債券の利率が下がって投資の魅力が薄れる傾向にありました。しかし、米国をはじめ海外は金融政策を転換し、金利が復活しつつあります。日本は依然ゼロ金利政策を続行していますが、金利収入が期待できる海外の債券ファンドは、今後人気が高まるかもしれません。

債券ファンドで人気のあるものには、「たわらノーロード 先進国債券」「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」などがあります。

投資先③ REIT

REIT(=不動産投資信託)は、不動産を投資先とする投資信託の一種です。REITの仕組みは、投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、ホテルなどの不動産を所有し、賃料収入や売却益を投資家に分配するというものです。不動産投資を個人で行うのは、莫大な資金が必要です。REITは投資家から集めたお金を不動産投資の専門家が運用してくれるため、投資初心者でも数万円程度から手軽に不動産投資を実践できるのが魅力です。

そして、REITを投資先とする投資信託であるREITファンドを使えば、より手軽に不動産へ投資できます。

REITが人気を集めている理由の中に、分配金の利回りが比較的高いというものがあります。また、不動産は株式とは異なる値動きをする場面があります。株式市場が悪化した際に、リスクヘッジとしても活用できるかもしれません。

人気のREITファンドには「ダイワJ-REITオープン(毎月分配型)」、「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」などがあります。

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投資先④ 複数の資産(バランスファンド)

バランスファンドとは、株式、債券、REIT、コモディティ(商品・資源)などさまざまな資産に対して分散投資を行う投資信託のことです。株式ファンドや債券ファンドなど、分散投資するために複数のファンドを購入しなくてもよいのがバランスファンドの便利なところです。値動きの異なる複数の資産を組み入れるため、どのような経済環境になっても底堅い運用成果を目指す、というのがバランスファンドの理念です。

バランスファンドのイメージ
どのような経済環境でも底堅い運用を目指す、というのがバランスファンド

バランスファンドに明確な定義はなく、決められた割合で資産を割り振るものもあれば、相場に応じて機動的に組み入れ比率を変動させるファンドもあります。あまりリスクを取りたくないと考えている人が、比較的リスクの高い株式やREITの比率が高いバランスファンドを選ぶのは得策ではありません。「バランスファンドなら安心」と考えず、中身をしっかりチェックして銘柄を選びましょう。

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代表的なバランスファンドには、「投資のソムリエ」などがあります。

投資信託とは、さまざまな資産の「詰め合わせ」です。スイーツの詰め合わせを求めている人が、ハムやソーセージの詰め合わせを購入するのはニーズに合っていませんよね? 投資信託を購入する際には、自分の投資目的やリスク許容度をよく考え、それに合致した中身(=投資先)の詰め合わせ(=投資信託)を選ぶことが肝心です。

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